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当事者×元教師×療育 ADHDの「一歩突っ込んだ」特性/徹底解説

今日はお昼にシュークリームをいただきました✨

どちらかというと、
洋菓子より、
和菓子が好きな筆者。

何~カスタードだと~!?

・・・うん、やっぱり洋菓子もおいしい笑


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


近年、相当認知が広がってきたADHD。

別名、注意欠如多動症。

ADHDのイメージと言えば・・・

忘れ物が多い
遅刻が多い
思い立ったら即行動
動きが激しい
好きなものに熱中

などなどでしょうか。

一方で、
特徴が認知されてくると同時に、
なぜそのような行動になるのか
脳内のどのような仕組みがそれを生み出しているのかは、あまり認知されていません。

ASDもそうですが、
1つ1つの対応策を勉強するのは大変でも、
脳内で何が起こっているかという原理原則の部分を押さえていると、逐次的な対応ではなく、自動的に何を支援すればよいのかが分かるようになります。

今回はそんなADHDの特徴を、

ADHD×ASDの両方の特性をもっており、
教師歴10年100名以上のADHD児と出会い、
発達心理検査の検査視覚も取得中の筆者が、
シンプルに、コンパクトに、
一歩突っ込んで解説します。

共感、好奇心、必要性、
様々なニーズに合わせてご覧ください。



ADHDの基本モデル

ADHDの特徴は、
大きくは3つに分けられます。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

不注意
多動性
衝動性

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

です。

不注意は、
ワーキングメモリが原因で、
多くのことを覚えていられないこと。

多方面に集中を分散できないこと。

多動性は、
じっとしていられないこと。

衝動性は、
ガマンができないこと。

シンプルに言えばそんな感じです。

さて、
このADHDの特徴を説明する際のモデルに、
「デュアルパスウェイ」というものがあります。

ADHDは基本的に、
脳の前頭葉の機能不全
他の脳の部分とのつながりの不具合が原因とされています。

よって、

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

実行機能障害
報酬機能障害

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

の2つに困難を分けることができる。

実行機能障害は、
自己抑制がきかなかったり、
ワーキングメモリが低いが故に、
忘れやすかったり、
優先順位が分からなくなったり、
する困り感。

人間は酔っぱらうと、
実行機能が弱くなるので、
定型発達の人が酔っぱらった状態に近いと言われます。

報酬機能障害は、
長期的利益よりも、
短期的利益を優先するという困り感です。

これは、
神経発達症に関連する、
脳内ホルモンビック3を見てみると分かりやすい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◆ドーパミン → 楽しい・興奮
(注意を1つに向けるホルモン)

◆ノルアドレナリン → 緊張・集中
(注意を全方位へ向けるホルモン)

◆セロトニン → 安心・幸せ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ADHDは、
前頭葉の機能不全があるので、
ドーパミン、ノルアドレナリンが、
適切に供給されない
のです。

よって、
ドーパミンが足りないが故に、
楽しいものや興奮できるもので、
ドーパミンを供給しようとして

目先の快楽にすぐに手を出してしまう。

ガマンができない。

ノルアドレナリンが足りないが故に、
集中が続かない。
1つのことを考えると、
他のことを考えることができない

といった事態が発生します。

セロトニンも関係しますが、
セロトニンのメインは、
不安傾向が強いASD支援です。
(ADHDにも必要ではあります)

ちなみに、
発達と同時に実行機能が育ってくるので、
小学校高学年には、
衝動性と多動性はかなり弱まります

ただ、不注意は変わらない

最終的に大人になったADHDの人は、
不注意が残るため、
不注意支援が中心となっていくのです。

そして、
このADHDの脳内の状態に関して、
近年明らかになっている説があります。

次で解説しますね。


ADHDは脳の切り替えが弱い?

ADHDについて、
近年認知されてきている説。

私たちは日常で、
意識して集中させている時と、
ボーっとしている時の2種類の脳を使い分けています。

ボーっとしている時に使っているのは、

「デフォルトモードネットワーク」

と言われ、安静状態の脳。
心理学的には内言語と言われることもあり、
この状態の時に、
脳は60~80%稼働していることが分かっています。

対して、
集中して作業している時は、

「セントラルエグゼクティブネットワーク」

と言われ、脳内全体の5%しか使っていないのです。

つまり、
集中している時ほど脳は働いておらず、
ボーっとしている時ほど、
脳は働いていることになります。

ちなみに、
デフォルトモードの時が、
直感を司る右脳で、

セントラルエグゼクティブの時が、
言語を司る左脳です。

人間は、この2つの状態を、
切り替えながら生活しているのですが、
ADHDの人は、
この切り替えに困難を抱えています

だからこそ、
集中して作業している時に、
ポンッポンッとアイディアや余計な発想が浮かんできてしまったり

ボーっとしている時に、
グルグルと頭の中で色んな思考がうずまいてしまったり
します。

筆者はこれが、
本当によーく分かる!笑

このような捉え方で、
ADHDという症状を見ることもできるでしょう。


ADHDと二次障害

ASDとADHDが併発している場合は別ですが、

ADHDという特性は、
基本的には素直で、
おっちょこちょいではありながらも、
楽しいことに目をキラキラさせる特性です。

衝動性が強い、
動き回るが故に、
友達とすぐに喧嘩になり、
手を出してしまう。

もし、
それを日常的に繰り返しているとなれば、
それはADHDの特性ではなく、
周囲の環境の問題
です。

ADHDの子どもは、
定型発達の子どもに比べて、
10倍大人に叱られやすいという統計が出ています。

自分ではコントロールできない行動を叱られ続けたら、反抗的になったり、自己肯定感が下がったり、不安が強まってしまっても仕方がありません。

そのようなケースが強く働くと、

反抗性挑戦障害や、
うつ病といった、
二次障害に陥ってしまう場合が発生します。

これは、
統計的なデータ上も、
明らかに多い。

ADHDの特性がない人の場合、
各症状を併発する割合は以下となっています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

LD → 5%
行為障害 → 2%
不安障害 → 2%
うつ病 → 1%

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちなみに、
行為障害とは、
他者の基本的な権利を侵害する行動を繰り返す症状です。

これが、
ADHDがある場合だと激変します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

LD → 46%
行為障害 → 27%
不安障害 → 18%
うつ病 → 14%

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

LDが9倍、
行為障害が13倍、
不安障害が9倍、
うつが14倍
に跳ね上がるのです。

ちなみに、LD(限局性学習症)は、
先天的なものなので、
生まれた時から併発しているということです。

「じゃあ、周囲のサポートをもっと適切にすればいいじゃないか!」

という声があがるかもしれませんね。

ただ、ADHDの子育てというのは、
そこまで簡単ではないのです。

アメリカでは、
養育スコアといって、
養育者がどれだけ適切な子育てができるのかという力を数値化する指標があります。

定型発達の子を育てている親は、
スコア的には相対的に高い

ADHDの子を育てている親は、
スコアは相対的に低かった

神経発達症は遺伝的な要素が強いです。
よって、

「家族も同じ特性を抱えているから、よりスコアが低いのではないか」

研究者たちは最初はそう思ったそうです。

そこで、
子どもを入れ替えてみた。

すると、
見事にスコアが逆転しました。

定型発達の子どもは、
特性があろうとなかろうと、
誰が育てても相対的に育てやすい

一方、
ADHDの子どもは、
どのような親が育てても、
叱ったり、感情的になってしまうことが増える
のです。

つまり、
子どものせいでもないし、
親の子育てのせいでもない。
(完全にゼロという意味ではありません)

ということは、
周囲が特性をよく理解することと、
環境調整をすること
が、
支援の根幹となるのです。


その他の特徴

基本的には、
不注意、多動性、衝動性の3つで説明がつくのですが、
ちょっと角度の違う特徴を最後にまとめておきます。


◆新奇追求傾向

ADHDの人は新しいことが好きです。

なぜならドーパミンが出るから。

よって、
好奇心旺盛であり、
色々なものを知ろうとします。
新しいテクノロジーが出れば、
すぐに使ってみたりする柔軟性があります。

一生の間、
何か夢中になれるものを探して、
探究し続ける行動を繰り返す傾向があるのです。


◆過集中

これは文字通り、

「集中し過ぎる」

ということです。

いわゆるフロー状態というものです。

筆者は、ADHDの薬物療法で使う、
コンサータという薬を飲んだことがあるのですが、
飲むと、ノルアドレナリンやドーパミンが調整され、
多方面に集中力を分散することができます。

ただ、そうなると、
フロー状態にもっていくのが難しくなる。

ADHDはノルアドレナリンが少ないため、
他のことに集中力を分散できず、
1つのことに全振りして没頭できるのです。

フロー状態に入りやすいのは、
ADHDの特権とも言えるでしょう。


◆権威に反抗

これは、
ADHDの要素だけかの判断は微妙なところですが、
ADHDの人は権威に反抗しやすい傾向があると言われています。

世の中の矛盾や、
本質を見抜く
習性をもつ。

筆者は、

「ADHDの”D”は、『Dの一族』の”D”である」

と勝手に思っています笑

ワンピースのルフィは典型的なADHDです。

そして、
世界政府や天竜人という、
世界の権威に対して革命を起こしていきます。

権威を恐れないとも言えるでしょう。

これは、筆者の本当に勝手な想像ですが、

「こういう主人公の性格やストーリーの構造を思いつくということは、尾田栄一郎さんもそういう思考なんだろうな」

と、勝手に親近感をわかせているところがあります笑

常に、
時代を変革してきたリーダー、
テクノロジーは、
すべからくADHDやASD、LDの特性をもつ人が生み出してきたという説が有力なので、

神経発達症をもつ人は、
『Dの一族』であると考え、
勝手に楽しんでいます笑

ただ、
この権威に反抗するという特性は、
愛着障害の特徴の中にもあると言われているので、本当にADHDの特性としてそうなのか、愛着障害から来ているのか、見極めることが必要です。


まとめ

筆者は、
会議や講演会で起きているのが苦手です。

座っている間も、
身体のどこかを動かし続けなければ、
ドーパミンが足りなくなり、
身体の覚醒が極端に低くなってしまう

すると、いつの間にか寝てしまうのです。

逆に、
メモを取りまくる内容であったり、
常にどこかを動かしてもOKだったり、
議論形式のように話せる会議だったり、
授業のように参加型の形式だったり、
何かワクワクすることで頭がいっぱいだと、
ドーパミンが脳の覚醒を維持してくれ、
起きていることができます。

実行機能障害、
報酬系機能障害、
ドーパミン、
ノルアドレナリン、
脳の切り替えの不得手。

そういった、
ADHDの主格ともいえる特徴をつかむと、
あらゆる行動を説明できる
ようになります。

これが支援を行うときのベースとして、
考える土台になってくれるでしょう。

ADHDの支援方法については、
また別の記事でお伝えします。


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