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『マンガ家再入門』1-2巻 中川いさみ

ゲストがすごい。大友克洋、松本大洋、ちばてつや、弘兼憲史、諸星大二郎、東村アキコという漫画家から、演劇の松尾スズキ、鴻上尚史、日本画家の山口晃などなど。借りた1巻で止めようと思ったら、続きが読みたくて電子書籍で2巻を購入。

私は『スピリッツ』で読んでいたギャグマンガ家の中川いさみさんがデビューから30年を経て、新たにストーリー漫画を描こうとする。さしあたっては先輩方に描き方を習おう、というインタビューのマンガ。冒頭に書いたようにゲストが大物。彼らがどうやって漫画を描くのか、ストーリーやキャラクターはどう作るのか、絵はどのように配置するのか、どんな気持ちで描いているのか、時代性をどうとらえるのか、といった話が紹介される。マンガ家ってストーリーも絵も自分で作るしアシスタントさんのマネジメントもするし、ほんとにすごいと思う。そんな彼らが〆切に追われながら積み重ねた知見と哲学を知ることができる。

友達から聞いた話、例えば「人生で大切にしていること」を漫画にできるか?といったら私は描けない。「小学校の運動会」であれば時系列に体操着の子供が綱引きをしたり、玉入れをしたりする漫画を描けばいいかもしれない。でも抽象的な話を漫画にするのってすごく難しいんじゃないかと思う。中川さんはシンプルな絵で、彼らから聞いたこと(「ストーリー漫画とはは恥ずかしさとの戦い」by大友克洋など)を「それってこういうことだよね」と解釈して、自分の絵とストーリーでわかりやすいマンガにする。これって卓越した技量が必要。

私は浦沢直樹さんがマンガ家の職場を訪ねて仕事ぶりを見たり対談をするNHKの『漫勉』という番組も好きで、一時期昼休みにYouTubeで見ていたことがある。これもマンガ家の哲学がわかって好きなんだけど、アウトプットは動画だから浦沢さんの作品とはちょっと違う。『マンガ家再入門』は中川さんが描いた作品だし、中川さんとゲストの距離が近しい感じがするので彼だからこそ聞き出せたことがある気がする。(大友克洋と吉祥寺や渋谷で飲んでるって、すごい・・・)ストーリー漫画なんて描かなくても、もう十分じゃないかと思うけれど、この後中川さんが実際ストーリー漫画を描いたらしい。楽しみ・・・

漫画277-278 マンガ家再入門 1-2巻


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