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【90点】映画 万引き家族

アマプラのお勧めで出てきた
映画「万引き家族」

公開当初から、面白そうだな、見たいな~見たいな~と思っていたけど見れてなかったので見ました。

面白いですね、この映画。

是枝監督、やってくれましたね。
リリーフランキーと安藤サクラもめっちゃ良かった。

映画見るときに、事前にこんな映画だろうなってのを想像してから見るんですよ、私は。万引き家族って名前だから、家族みんなが万引きしてるんだろうなとか。
経済的に豊かな日本においても、一部ではインドのカースト制のように、
親の生業をトレースした生き方を強いられる人たちがいるという話があって、万引き家族もそのたぐいの映画だろうと予想していた。
窃盗を生業とする家族の子供は、善悪の判断が付く前から窃盗の手伝いをさせられるし、殺人を生業とする家族の子供は・・・みたいな話も聞いた事あった。

が、ちがうんですね~、もうちょっと深い。

確かにこの家族、みんな万引きしてるんですよ。
家計が苦しいから、万引きで家計を賄っている。

でもね、なんで万引きするかなんですよ。
家計が苦しいから?家計が苦しいなら生活保護でいいんですよ。
でもね生活保護を受けられない人がいる。
これはネタバレですが、犯罪者や後ろ暗い行動のある人達ですね。

調べられたら捕まってしまうからね。
そして、無知である事。これが全ての悪習慣を加速させる。
でもね、犯罪者だろうが、後ろ暗い行動がある人だろうが、
心が汚れているかと言えばそうじゃない。
彼らとて、優しい心、隣人を愛する心があり、それは時として、
世間に胸を張って生活する真っ当な人たちよりも善良だったりする。

この点がこの映画のポイントの1つ。

優しい犯罪者と、ひどい一般人、どちらの家庭が幸せですか。

主人公の家庭は、多くの闇を抱えている。犯罪にも手を染めている。
あまつさえ、ネグレクトで虐待されていた女児をかくまって面倒まで見ている。法的に言えば誘拐にあたる。

だけどね、その家族には笑いが絶えない。幸せな日常があるんですよ。
みんなで万引きしてても、本当の家族でなくても。

これを法に照らして正当に対処すると、女児はDV家庭に戻されるか、施設へ行く事となる。暖かい家族の中で笑いながら暮らす事は出来ない。
まあ、このまま万引き家族の中で育っても最底辺サイクルを回す歯車になるだけだろうし・・・
などと考えて行くと、この国のアウトサイダーに対しての社会インフラがまだまだ未発達であるという結論に至ってしまう。結局安っぽい社会批判にいきつくという地獄。

さらに後半に畳みかけるように様々な事象が折り重なって、この期間限定の幸せな家族は崩壊していく。登場人物が抱える闇は外部の第三者(基本的には善意の警察)によって暴かれていく。

一般社会の善意が、絶妙なバランスの上に成り立っていた幸せな家族を崩壊させる様はぐっとくるものがあるんだよなぁ。是枝監督よ~。

あとは良くわからん伏線と伏線回収がいろいろ入り込んでいるんだけど、
その伏線必要か?と思うような良くわからん設定まであって、それも含めてリアル。こういう映画好きな人にはありだね。90点!!おめでとう!

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