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日本語取り出し授業で面接練習の話を聞き 心が温かくなったこと

嬉しいことは、突然やってくるんだなと思った瞬間。
先日は、中国ルーツの中3女子Rさんの日本語取り出し授業だった。

授業の始めに、彼女は1枚の紙を見せてくれた。
面接練習を受けての評価表だ。

実は、この日の授業の数日前に、中3の彼女は受験に向けて、面接練習をしていたのだった。しかも校長先生と!1対1で!

この評価表、見開きになっていて、左には受験校や、自分の長所・短所などを自分で書き込む。右ページは「大きな声で前を向いて答えられたか」「身だしなみはきちんとしていたか」など20項目ほどを、面接者がA~Dで評価。そして、総合コメントを書く欄もある。

なんと。評価は全てA!
その上、総合コメントは校長先生自筆!

そこには、
「この1年で日本語が本当に上手になった。試験当日は緊張するのは当然だけど、自信を持って乗り越えてほしい。吉報を待っている。」旨(本当はもっと長い)が、自筆署名と共に書かれていた。

・・・驚いた。彼女の中学校は、生徒数が多い。そのため、高校入試で面接を受ける生徒も多い。それを多忙の中、校長先生は時間を取って1人1人面接練習。その後、評価表を手書きし、翌日に渡されているのだ。

校長先生の熱きエールを感じ、感動してしまった。


校長先生に「中学生活で一番心に残っていることは?」と聞かれて、「体育祭の時、クラス全員リレーに出たけど、他のクラスに抜かされてしまった。クラスメイトに謝ったけど、『全然気にしなくっていいよ』と笑って言われて、とても嬉しかった。」

・・・と、Rさんは面接でのことを私に話してくれた。私は、涙が出るほど嬉しかった。ここまでのことをきちんと日本語で話せ、友達とも温かく交流できているということに。

去年の3月。私と初めて会った時、「あいうえお」からのスタートだった。でも、彼女はここまで日本語が操れるようになったのだ。まさに、彼女の努力の賜物。だから、校長先生も心から驚かれたのだろう。

「この面接評価表は、まだ家族にも見せていません。見るのは、先生が最初です。」

急に言った彼女の言葉に、私は涙が出るほど嬉しかった!
Rさんは、家族よりまず、一番初めにこの結果を私に伝えてくれたのだ。「早く家の人にも見せてあげてね」と言ったのだが、嬉しさと感動で私の心は、じわじわと温かくなり、思わず泣きそうにもなってしまった・・・

さあ、彼女は来月受験に臨む。新しい世界への扉を開けるために。
私は、ただただ静かに見守るだけだ。

「頑張れ、Rさん!」の思いと共に。



・長文をお読みいただき、ありがとうございました。






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