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近く、そして細かく【新人読書日記/毎日20頁を】(72)

『歌川広重の声を聴く』、101〜120頁、読了です。

第五章には「『土産』の絵と『図会』の挿絵における構図の類型」という表があります。「絵本江戸土産」と「江戸名所図会」の両書における各構図の類型の数をデータ化した表です、これを見ると、「土産」は「図会」より俯瞰景が圧倒的に少なくなり、「対象物に近接する描写」が多いことがわかります。もっと身近な視点で描かれた絵は読み手に臨場感を与えます。「芝浦」の絵を見るとき、遠く離れた場所に身をおいた状態ではなく、実際に船に乗って景色を眺めているような感覚を味わうことができます。

また、名所を丸ごと「投げ込む」ではなく、自ら選びとった風景の一部だけを絵にして、その雰囲気を重視して伝えたい広重の気持ちが感じられます。


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