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モテ考察。私はギャルじゃない

可愛いを自認する私がモテについて浅い考察をしてみた。
私は可愛い。
夫、両親を始めとして親族縁者一同がそう言っているので間違いない。
この点において疑いの余地は一切ないと最初に申し伝えておこう。

嫁(私の母)虐めが酷かった意地悪ばあちゃんですら、「たいたいは鼻筋がスッと通って美しか。美人毛(もみあげのことらしい)がフサフサしてるのもよか!」と私の外見に関しては認めざるを得ないようであった。

ちなみにもみあげが濃いのは、つまり私が毛深いということと同義である。
昔の人は濃いめの顔立ち(イコール大体毛深い)を美男美女と定める節があったような気がする。

学生時代の私はまつ毛も眉毛もふさふさ、豊かな御髪をポニーテールにでもしようとしたら馬の尻尾のような逞しさで、所謂田舎の芋っこであった。
私の隠された美しさ、可愛らしさに気付く目利きは家族・親族以外におらず、ダイヤの原石として地味に暮らしていた。

高校3年生の時、見かねた私の数少ない美意識高い系友人が、あんたの眉毛見ちゃおれん!と奮起しざっくざっくと形を整えてくれた瞬間、私のBEAUTYランクが一気に急上昇した。

こんもりと茂ったハの字眉が、私をこんなにも子熊っぽく見せていたとは。
それはそれで愛らしいが(尽きぬ自己肯定)シュッとアーチを描いたニュー眉毛は、私を暴力的なまでに垢抜けさせてくれて、自分でも戸惑ったことを覚えている。

そんな私が高校を卒業し、初めて床屋ではなく街の美容室のドアをくぐった。(つまり高校生まで私は地元の床屋で髪を切っていたんだなぁ)

一つ結びをすると荒縄のように雄々しくなる私の黒艶髪を「梳く」という神業で軽やかにしてもらい、軽くカラーリングをしてみたら、そこには都会の風を吹かす美人が立っていた。

ああ…モテの考察をしようと思っていたのになぜ私は自分の美しさについて700字も割いてしまったのだろう。
悪い癖が出た。

さっそくモテについて考察したい。
もう耳タコだとは思うが、私は可愛かった。今でも可愛い。(尽きぬ自己肯定)
だがモテたかと聞かれれば答えに窮してしまう。

モテなかったわけではない。
ただ、私のモテは私にとって有用ではなかった。
ままあることだと思うが、当時はモテたい層にモテなかったのだ。

私を口説いてくれる男性は何故かみんな…ヤンキーであった。
「天使なんかじゃない」の須藤晃みたいな一本筋の通った硬派系ヤンキーならまだ良い。

雨に濡れた捨て猫を拾う硬派系ヤンキー


80年代の少女漫画には真面目な女子と硬派系不良のラブストーリーがわんさかとある。
良い。とても良い。

だが、私に近づいてくる男性は硬派系ではなく「yeah yeah yo yo」言ってるようなチャラ男どもばかりであった。
出会い頭にゼロ距離、タメ口で名前を呼び捨てするようなチャラい男には用はないのである。
私は真面目一本主義の硬派な女である。
だのになぜ、健全誠実を掲げた男は寄ってこず、yeah yeah yo yoが寄ってくるのか。

需要と供給のバランスが崩壊している。
誰も幸せにならない。
私は本気で苦悩した。
出会いは数ではない。質なのだ。
マッチングこそ全てなのだ。

ある日、その謎を解くきっかけとなる出来事が起きる。
当時同僚であったある男性と雑談している時に言われたこの一言がカギであった。

「俺、たいたいちゃんを初めて見たときめっちゃギャルだと思ったわ」
私はこの時愚かにも彼が冗談を言っているのだろうと信じていた。

私はギャルとは対極に位置する存在である。
真面目・誠実・純粋無垢。
スカート丈はひざ下。ゆえに私の膝小僧を拝んだ者はいない、伝説の膝を持つ女。
お化粧は控えめどころか、お化粧デビューが遅かったせいで時々化粧自体を忘れて出勤することもある始末。
初対面でのタメ口は明確にノーだ。
ノーと言える日本人だ。

そんな私のどこにギャル要素が?

よくよく考えてみた。
そういえば私はどちらかと言えば派手顔で、薄化粧だろうがすっぴんだろうが生まれつきなんとなく「盛ってる感」がある。

さらに非常に日に焼けやすく夏場はインドアで外に一歩も出ずにしてこんがり肌が焼けてしまう。ご存じの通り日焼け止めを使用しなかったのも一因。

夏季休暇を家の中で読書したりTVを見たり品行方正に過ごして休暇明けに出社した時、同僚に「すっごい焼けましたね~!海に行ったんですか!?」と聞かれたこともある。
一歩も外に出てないよ。
なんだか悲しくてつい「あ…うん、そんな感じ」と答えてしまったことをうっすら覚えている。

当時私は日焼けサロンに足繁く通う、もしくは夏の海辺でバーベキューするようなパーリーな肌色を確かにしていた。

スカート丈こそ短くないが、一時期黒いタイトスカートに網タイツを愛用していたこともある。
何故網タイツか。
教えてしんぜよう。
楽だからだ。
ストッキングにぎゅっと腹周りおよび両足を締め付けられるのを拷問のように感じていた時に、ひょんなきっかけで網タイツに出会った。

網タイツは柔らかく伸びるゴムで腹および足全体を完全に覆うこともなく、締め付け感が非常にマイルドなのだ。
楽だったんだ。
純粋だったからこそ、網タイツにセクシーを感じるアンテナも持ち合わせておらず無垢に愛用していた。網タイツが大好きだったんだ。

さらに、パーマをかけて茶色くカラーした髪は胸までのロングで、派手顔をさらに盛る役目を立派に果たしていた。
…美容院行くのが面倒で、いつの間にか伸びていたんだ。

そうか、なるほど、ギャルに見えていたんだ。
だからギャル男系ヤンキーが寄って来ていたんだ。

誰も幸せにならないこのアンマッチの原因はチャラい系ヤンキーのせいではなかった。
この不幸は私の招いたことだった。
彼らは正しい。
彼らは自然の法則に従い、より成功の確率を高めてくれる自分に似た異性をきちんと選んでいたのだ。
なんてことだ。私は被害者ではなく、彼らを裏切り失望させていた加害者だった。

このシンプルな公式に気づくのに私は20代の大半を費やした。

私が得た教訓は一つ。
自分に有用なモテを獲得するためには、自分の内面に沿った外見を作る方が効率がいい。


もちろん自分の好きなように外見を作って楽しむことには何の異論もない。
ただ、もし出会いのアンマッチに悩んでいる人がいれば、ぜひ試してみてほしい。

少女マンガみたいに、真面目系女子と不良男子の意外なカップリングが存外うまくいく、みたいなお話も、それはそれでまたいいんだけどね~



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