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グローバルか?民営化。

 一昔前です。私が就職する直前「郵政国会」という国論を二分する出来事がありました。時の小泉純一郎内閣はいわゆる「郵政族議員」の反対を押し切って法案を通すことを失敗。解散総選挙が行われ、族議員には公認を与えず党が用意した対抗馬を擁立しました。これはいわゆる「刺客候補」と言われ、多くの族議員は落選します。
 実は一口に族議員と言っても「日本人の財産である郵便貯金が外資の食い物にされる!」と言った右翼議員も反対していました。代表格は平沼赳夫。彼は一応イデオロギー上反対派を貫き通さざるをえず復党は遅れます。平沼もどこか甘さの残る世襲議員で自分が代表となって極右政党を作る!という政治力はなかったです。もうフランス国民戦線はあったのだから、そこから極右色を残したポピュリズム政党なんかいくらでも作れただろうに最後は包括されていきます。
 さてこの日本式郵政民営化は族議員の敗北で終わりましたが、安倍晋三がその方針を緩めて族議員ながら刺客候補を打ち破った議員を復党させます。有権者はあの時代「公務員は特権階級!1円たりとも税金を無駄にするな!」と言う思想だったので大いに反発され安倍は一度失脚するのですが今回の話はそれが主旨ではないです。税金に関して言えば日本の市民である限り皆恩恵を受けていますが、自分は取られるばかりで何一つそれを得ていないという人間が多いのでどれだけ言っても無駄ですが少しずつそのイデオロギーも変容していきました。「流石に公務員をというかよく分からない特権階級を叩きすぎたのでは?」と。民主党政権時大いに官僚は叩かれましたが最近はマシです。それでも今でも官僚を非難する人も多いですが。自分の仕事をよく考えてみなさい。予算がないない言って、何も買ってくれないブラック企業!と思ってませんか?かくいう私もその1人かもしれないです。文句が多いですから。文句はあって当然なんですよ。ただ何かのコストをカットする時本来なら色々と国民的な議論を深めないといけない場合もあります。安かろう悪かろうなんですよ。基本は。安くて高級肉を食おうとする人間なんざそれこそ自分の都合よく考えすぎ。いい商品は高価なものなんです。

テスラ自動車と労働組合

 イーロン・マスクは最近非常に名前が聞きますね。TwitterをXと名称を変えました。私はTwitterという言葉の方がカッコいいと思うのでそれで通していますが、マスク自体経営者として賛否両論です。彼の会社経営は反労組という事は一貫しています。私が判断しても彼は独裁的ワンマン経営者です。経営者の評価は売り上げや利益なんでしょうが。現在テスラ自動車スウェーデンではストライキが行われています。労組側は「テスラは代替労働力を雇っている」という指摘も。テスラ愛好者は「実際ストライキ参加者は10人前後なのでは?」と言われています。反労組であり反労働基準のテスラが10人前後のストなら全員クビを切って終わりにすると思うので代替労働力が有力ですが、日本人の私としては色々と複雑です。会社のために滅私奉公、ただ労働者として人権を!という二面性を持つ日本労働運動家としてはここまで手段を選ばないと闘えない企業は日本じゃどうなるんですかね。労組不毛のテスラになりそうです。ソーシャルメディアがある時代労組も企業も情報戦にはバチバチやり合っています。
 あくまで個人的な考え方ですが人権に対して一歩でも引くと権力側はどんどん権利を制限していくという思いを持っているのでテスラの要求を飲む必要はないです。顧客のためなら会社は何でも耐えろという時代を迎えたら困るのは経営者ではなく労働者です。それなら何一つ譲る必要はないです。テスラの人気もいつまで続くのか不透明です。今は敏腕経営者のイーロン・マスクも数年すればしくじり社長になるかもしれないです。世の中分からない。

イギリス郵政民営化と富士通

 今英国で大問題となっているのが、富士通の完全子会社が開発したホライゾンという会計システムにより、多くの委託郵便局長が会計不正の嫌疑をかけられ、1999年から2015年までで実に700人以上の局長が窃盗や横領のかどで起訴され、有罪判決を受け、財産、名誉を失ったが、これが冤罪だったというスキャンダルである。国際労働財団メールマガジンで流れてきたニュースです。
 また引用しますが「2012年郵便や小包の配達、物流事業に従事するローヤルメール・グループと全国の窓口ネットワークを運営するポストオフィス・リミテッド(POL)に分かれた。そして2015年にはローヤルメール株式の90%を売却し、民営化されたが、POLは国営のまま残った。POLが持つ窓口ネットワークは直営店であるクラウンポストオフィスと委託局であるサブポストオフィスに分かれる。約1万1000局ある郵便局の内、クラウンオフィスは114局に留まる。委託局の局長は公募で、個人自営業者の扱いである。彼らは概して給料が安く、休暇や年金など個人自営業者が抱える問題を全て抱えている。」というのが事の本質でさて日本がそういうポジションに置かれたら、皆んなどういう反応をするでしょう。ちなみに労組側は個人事業主に近い委託事業主局長の組織化に失敗しました。個人事業主は民営化された郵便事業会社が籠絡してました。個人事業主の利益にはならなかったのですが、それでも彼らはついていきました。麗しい労使腐敗です。
 さて上記したように富士通子会社のホライゾン社の会計ソフトを使っていたイギリス郵便事業はそのミスで多くの自殺者が出ていました。ソフトが間違えるわけがないと強気な郵便事業会社側でしたが最終的には一部の郵便局長の名誉は回復されました。ただ全員ではなく本当にごく一部の話でしたが。
 海外のM&Aが本当に正しかったのか、買収後の統治を現地に任せっぱなしで、上がってくる数字と事後報告だけで満足していなかったかなど、我々労働組合としても反省し、今後よくチェックする必要があろう。JILAFのメルマガは書き残しています。現在は便利な電脳世界ですが、本当にそれがあげられる数字が正しいのか?私達は分かるすべはないですが、分からないから人が亡くなっていいはずではありません。大いに反省すべき点は少なくないです。

郵政民営化始末記

 さて結局郵政民営化は民主党政権で多少修正がなされ、自民党が政権を回復した後、あれだけ目の敵にされた特定郵便局長の組織通称大樹はあっさり自民党と復縁しました。政策実現は与党であり、与党も票田は欲しいからです。たかが20年前の話。節操なき世の中にこれほどの呉越同舟は珍しくないんでしょうね。ちなみに日本郵便は価格転嫁を下請けにしていない企業として最近ニュースになりました。これは民営化のせいとは思えないですが、コストカットが行き着く先は下請けイジメどころか搾り取るぐらいの事は平気でやるでしょう。企業というところは結局そういう黒いところもあります。人情もカケラもない漆黒なところです。
 さて現在こういう連中はまた色々なところの利権だなんだと言って粛清を繰り返そうとしています。スターリンと違って命は奪いませんが、労働者としての尊厳は平気で奪います。彼らはそのことについてなんら良心の呵責もなく、次々と民営化今ならギグワーク化を進めるでしょう。技術を軽んじているのはいけない!と口では言っていても結局その技術の選別をしているのです。今は助かっている技術者も、そもそもコストがかかるのが当たり前の労働力育成を放棄し安易にギグワークに解禁します。寿司屋なんて専門学校で教わった学生の寿司でも十分美味いと豪語した六本木ヒルズの元社長はしっかりと銀座の寿司屋で美味しいお寿司を食べていました。おかしな話です。別に銀座で高級寿司を食べに行かなくても十分満足できるなら何故ここの店主と昵懇だと主張する必要があるのか?それを指摘してもそういう人間ほど相手を罵倒するだけで言葉にはなっていません。
 そういう言えばその社長は郵政選挙にも出馬しました。縁もゆかりもない広島の地で。相手は族議員というより反グローバリスト系でしたがちゃんと利益誘導もやっていたその代議士は六本木ヒルズ社長に勝ちました。彼は別に褒められた議員活動をしていませんが、あの時あの社長が勝てば一体今頃どうなっていることやら。飽き性にも見えるあの六本木ヒルズ社長は議員から足を洗って、もっと面倒な評論家ポジションかもしれないです。うまくいけば市長や知事だったかもしれないあの人。勝手に擁護する人間もいるので、捻くれた私だけは批判しておきます。


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