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睡眠薬について知ろう~発達障害と睡眠~

発達障害と睡眠障害

我が家の末っ子は、ASD(自閉症スペクトラム)がベースにあるADHD(注意欠如・多動症)という診断がついています。

最近、今まで受診していた小児精神科クリニックから、カウンセラー常駐の精神科メインの病院に転院しました。お薬はいくつか処方されていたのですが、体の成長に伴い、その中でも特に効果がみられなくなっていたのが
睡眠導入剤です。

ADHDを有するお子さんの73.3%、ASDを有するお子さんの60~86%で、何らかの睡眠障害を抱えていることがわかっていますが、息子も小学生から不眠。聴覚過敏を抱えているからか、中途覚醒も多い。
発達障害は、脳の機能障害ですが、脳の神経ネットワークの一部は睡眠―覚醒の調整に関与することがわかっています。また、心理ストレスやコミュニケーションの不足などが、睡眠の質や量、体内時計の調節機能の低下などをもたらす可能性があります。ただあくまでも推測の域であり、研究では明らかにされておりません。

睡眠薬の種類

そこで、睡眠薬を小学生の頃から服用しています。

ご高齢の方は、レンドルミン、ハルシオンといった昔からのベンゾジアゼピン系のお薬をよくご存じだと思いますが、こちらは、よく言われているように、脳をリラックスさせるGABAの働きを高めて、気分の高ぶりを抑えるので、即効性があり、筋肉の凝りを和らげる働きなどもあり、良いお薬なのですが、問題は、長期服用で依存性や慣れがあること。睡眠の質が低下すること。

今は、非ベンゾジアゼピン系のお薬(マイスリー、ルネスタなど)の処方が増えてきています。

お薬の作用としては、ベンゾジアゼピン系と同じく、GABAの働きを高めることによる効果なのですが、依存性が少なく、深い睡眠を得ることができます。翌朝、眠気が残ることもあまり起きないようです。
しかし、効果としてはやや弱め。

そして、ここ数年で、発売されたのが、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ、デエビゴ)

今までのお薬とは、まったく、作用が違います。

オレキシンは、脳が「起きている」状態を維持する役割がありますが、オレキシン受容体拮抗薬は、そのオレキシンの働きを弱めることで、眠りやすくするお薬です。

依存性や、お薬の慣れはほとんど問題がなく、自然な眠りに近いのと、処方日数に制限がなく、筋肉を和らげる効果はないので、高齢者の転倒などの心配はありません。アルツハイマーの患者さんにいたっては、進行を緩やかにする可能性も研究で示されています。
しかし、欠点は、「悪夢」をみやすいこと。食後に服用すると、効き目が遅く出ること。

現在、末っ子も認知症の義母も、オレキシン受容体拮抗薬であるデエビゴを服用しています。

ちょっと前まで服用していたのが、ロゼレム。

ロゼレムは、メラトニン受容体作動薬。こちらも新しいタイプの睡眠薬。

体内時計のリズムを調整するホルモンであるメラトニンに働きかけ、自然な眠気を促します。生理的な睡眠のメカニズムから効果が生じるお薬ですので、服用を続けることで、少しずつ睡眠全体が改善していきます。副作用が非常に少ないお薬です。
しかし、ロゼレムは、非常に弱いお薬なので、毎日、しっかり、2週間くらい続けて服用することで、やっと効果が感じられる程度です。

もうひとつのメラトニン受容体作動薬は、メラトニンそのものであるメラトベル。ただし、こちらは、神経発達症(自閉症スペクトラム障害やADHDなど)のお子さんのみの処方となります。

睡眠や運動など、生活習慣を改善することでADHD特有の症状が緩和されるという研究結果もあります。発達障害があるお子さんは、睡眠をしっかり確保できるよう、気を付けてあげましょう。


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