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ピエール瀧騒動に思う、クスリの話。

ピエール瀧がコカインで捕まりましたが、何やら香ばしい発言がちらほら見えてきています。

揚げ足を取るようで恐縮ですが、「コカイン=クスリ=シャブ」と認識している人も少なくないようです。当然「シャブ=覚せい剤≠コカイン」です。

いやいや、ドラッグなんで全部一緒でしょ!

と仰る方もいるでしょうが、一緒じゃないと国が定めているのです。覚せい剤は「覚せい剤取締法」、コカインは「麻薬及び向精神薬取締法」。それぞれ異なる法律で規制されています。そして、大麻は「大麻取締法」というまた別の法律。これらは、さらに今はほとんど名前を聞かない「あへん法」を加えて「薬物四法」と呼ばれています。

法律でまで明確に分けられているのに、なぜ人々は「クスリ」と一緒くたにしてしまうのでしょう。

薬物乱用は恐ろしい!絶対ダメ!薬物乱用は、乱用者の身体、生命に危害を及ぼすのみならず、友人や家族を失い、家庭を崩壊させる等、想像もつかない影響を及ぼします。誘われても断る勇気を持ってください。一生を棒に振らないように、決して薬物などには関わらないようにしてください。(大阪産業大学HPより抜粋)

「超」が付くほどの正論です。瀧が今この状態に陥っていますね。本当にクスリは身を滅ぼします。でも、おそらくほとんどの日本人について、クスリに対する認識はここで止まっているのではないでしょうか。「ダメなもんはダメ」と、思考を停止し、知見を放棄している状況は、臭いものに蓋をしているだけだと思うのです。

では、何を考えろというのか?そのヒントは「ポルトガル」にあります。

若者の薬物使用が深刻な問題だったポルトガルは、さまざまな科学的なエビデンスを元に、2001年にすべての薬物について、少量の所持や使用を非犯罪化しました。合法化ではなくて、非犯罪化。逮捕して刑務所にぶっこむのではなく、治療プログラムの導入推進を図ったわけです。企業に対しても、薬物依存者の雇用に対する助成金の制度を整えるなど、社会の中でヤク中を支える仕組みをつくっていきました。そして10年後、薬物による死者やHIVの感染が減り、薬物に手を出す若者も減りました。現在、ポルトガルの成功に倣い、薬物を犯罪や刑罰ではなく、健康問題として見直そうという考え方が国際的な主流になっているのです。

欧米に比べても薬物使用者の少ない日本。これと同じことをすべき!とは思いません。ただ、医療大麻の解禁もそうですが、国際的な流れを知っていて損はないはず。ヒステリックに薬物から目をそらさずに、きちんと知ろうということなんです。

以下、ここ数年の大麻を取り巻く動きです。

米国では医療大麻を合法とした州は28、9州が嗜好用マリファナを認める。ハワイ・マウイ島にて医療大麻、2017年初旬発売開始。カナダが医療目的の大規模な大麻生産計画、嗜好品としての大麻を合法化。イギリスも医療大麻を解禁。ドイツが医療大麻を合法化。マケドニア、医療大麻を合法化。フィリピンが医療大麻を合法化。イタリア政府が大麻栽培容認、医療用限定で。プエルトリコ、医療大麻販売プログラムに管理制度を採用。コロンビア、医療大麻を合法化。デンマーク、医療大麻の試験的導入プログラムを実施。ポーランドで医療大麻を全面解禁。メキシコ上院で医療大麻合法化法案が圧倒的多数の賛成で通過。マケドニア、医療大麻を合法化。チリで医療用大麻の種蒔き。チェコ、医療用マリファナの合法的販売の実施。ルーマニア、医療大麻の合法化を決定。スウェーデンで大麻合法化。オランダの下院、大麻栽培の合法化を可決。スイス、少量の大麻所持を非犯罪化。クロアチアが医療大麻を合法化。イスラエルで大麻の個人使用を非犯罪化。ブラジルがマリファナなどを非犯罪化。コスタリカ、医療大麻栽培合法化を検討。フランスも医療大麻を合法化。ベルギーもマリファナ公認。グルジアでマリファナ吸引が合法に。ウルグアイが世界で始めて大麻の使用、生産、売買を合法化へ。アルゼンチン大麻の使用を合法化へ。韓国が医療大麻を合法化、東アジアでは初。

ついでに最近テレビでもお馴染みらしい、各ドラッグの中毒性の比較表です。

日本でも!と言いたいのではありません。そして、こういう発言すると「ここは日本ですから!日本では違法ですから!!」という主張が出てきます。ええ、そうですよ。ダメなものはダメです。国際的な主流がどうであろうと、今の日本では絶対にダメなのです。ただ、大切なのは知った上で批判すること。知ろうと傾聴することが必要なのではないでしょうか。

何にせよ、ピエール瀧はきちんと裁かれるべき。これは残念ながら、いくらファンでも覆しようのない事実です。

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