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過剰包括世界に反抗する不便益マーケティングの可能性

はじめに

現代において社会における便益性の向上は目を見張るものがあります。
より自分たちの生活が豊かになり、時間の創出や仕事の生産性への寄与は計り知れないものがあります。
しかし、この便利になりすぎた世の中においてそれが当たり前になってくると便益よりも逆機能への注目が集まりそれが悲観的な社会へと働きかけられているものと考えています。

不便益とは

一方で不便益性というものは、人に意味の価値を与えるときがあります。
たとえば、キャンプやアウトドアです。
わざわざ、安全、便利、快適を捨てて、なぜ人はキャンプをするのでしょうか?
害虫や動物などの危険性もあり、調理なども火なども安定しませんし、テントでの居心地なども決してよいとは思えません。
これに比較をするならば、豪華なホテルで食事、ふかふかなベットで寝るほうがよいとされる時間の過ごし方でしょう。

この不便によってもたされる意味とはなんなのでしょうか

それは自分たちが普段、暮らしている中にあるシステム社会の外にでるための作法なのです。
便利、安全、快適とはすべてその計算可能性の上に成立しています。
それゆえに、俗っぽい言い方をするのであれば「刺激」がないのです。
不便益とはこのようなわたしたちをシステム社会の外に連れ出してくれるという側面も持っているのです。
キャンプという体験も、不便益マーケティングの観点から興味深いです。キャンプは、通常の生活から離れ、自然と直接触れ合うことで、満足感を得るというものです。

これは、上記のシステム社会をハーバーマスが指摘した「システム世界」に置き換えてみましょう。
システム世界から一時的に離れることで、個々の人々が自身の存在や生活の意味を見つめ直す機会を提供します。
そして、一人でキャンプをするという体験は、特にこの点が顕著です。
一人でキャンプをすることによって、他人との直接的な交流を避け、自己と向き合う機会を増やすことができます。
これは、不快な体験を経験することで、自己の成長や満足感を得るという、不便益マーケティングの一面を示しています。

不便益マーケティングという事例

不便益マーケティングとは、一見すると顧客にとって不便な製品やサービスを提供することで、実はその不便さが新たな価値を生み出し、満足度を高めるというマーケティング戦略であります。これはIKEA効果とも関連しており、顧客自身が製品の組み立てなどに時間を費やすことで、製品への満足度が高まる現象を指します。
『僕』はこの現象を海外の論文を通じて深く探求し、日本の事例であるマクドナルドのシャカシャカポテトや、キャンプなどの体験型レジャーと絡めて考えていきます。

マクドナルドのシャカシャカポテトは、顧客がフライドポテトに自分で味付けをするという、一見すると不便なシステムです。しかし、これは顧客が自分でひと手間を加えることで、製品への満足度が高まるという不便益マーケティングの良い例です。顧客は自分で調理するという行為を通じて、商品への満足感を得ます。

また、キャンプは一見不便な活動と捉えられがちです。
自然の中で生活することは、一般的には都市生活と比べて利便性が低いと言えます。しかし、その中で火を起こしたり、テントを設営したりという自身で行う作業は、結果として参加者に満足感をもたらします。
特に、一人でキャンプをする場合、他の人から声をかけられることは不快に感じることが多いです。
しかし、その中で自己充足を得ることができるのは、不便益マーケティングの力によるものです。


以上のように、不便益マーケティングは、顧客が自分自身の労力を商品やサービスに投入することで、満足感を得るという現象を指します。そして、この現象は、商品やサービスの利用体験を通じて、顧客が自己投影を行うことと深く関連しています。したがって、マーケティングの観点から言えば、顧客が自分自身の労力を投入できる商品やサービスを提供することで、顧客満足度を向上させることが可能と言えます。

結語

便益性や合理性、効率性というものは最大化されることがよいという風習があります。
これを何にでも適用しているのが現代で、その順機能性としては豊かであり、モノの均質化があり、お金持ちもお金がない人も同じように包括されて同じ世界にいれられています。

これを過剰包括世界といい、『僕』たちはこの世界にいます。

そして、その結果として様々な現象が目立つようになるのです.これは現象であって問題ではないのです。
その様々は少子化という現象であったり、若い人の自殺でもあります。

不便益というものに寛容になってまなざすことで、『僕』たちは便益性を求めたときに殴り捨ててきた何かを取り戻せるのではないでしょうか

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