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結婚指輪はいつから左手の薬指に輝くようになったのか

先日、ロンドンナショナルギャラリー展に行った際に《喪服姿のスペイン王妃マリアナ》という作品があった。

1666年に描かれた作品で、王妃マリアナが(そして犬も)悲しげにこちらを見つめている。よく見ると、目を奪われるのが王妃の左手の薬指の指輪。

ああ、300年以上前にも結婚の際には左手の薬指に指輪を嵌める風習があったのか、と思うとなんだかとても興味深かった。見にまとう服も、取り巻く環境もまるで大きく違うはずなのに、この風習だけは今でも変わらず残っている。

一体いつからこの風習はあるのだろうと調べてみると、男性から女性へと指輪を贈る慣習は、古代ローマの時代にはすでに存在していたといわれているそうな。(思っていたよりもずっと昔だった!)

かつては、妻はお金で買われるものであり、指輪はお金を支払った証拠として、女性ではなく女性の父に渡されていたという。 もし、今そんなことが叫ばれていたら、きっと非難が殺到するだろう。
紀元前3世紀くらいには、婚約指輪は婚約が成立したことの証しとして用いられるようになり、指輪をもらった花嫁は未来の夫に対して純潔を守る義務が発生した。これを破ってしまうと、法的な責任も問われたのだとか。

また、指輪は左手薬指にはめるものとされているが、これは 左手が右手よりも心臓に近く、さらに薬指が心臓につながっていると考えられたからだそうで。心臓の中には感情の中心があり、それが愛に結び付くと考えられていたという背景もあるらしい。

参考:https://zexy.net/mar/manual/ring_info/article-151.html

生活様式が変化しても変わらず残っている風習というものは面白い。
手元のスマホ一つで世界中と繋がることができる現代社会だというのに、結婚指輪に関しては紀元前3世紀と同じことをしているのだ。

「指輪の有無」が既婚/未婚を判断する材料になっていると思うと、そんな記号を身につけながら歩いているのはやや滑稽なようにも、すごくピュアな可愛らしいもののようにも思える。

この絵が描かれた当時はまだ写真のない時代だったけれど、一つの絵画から色々なことを教えてくれるから面白い。

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