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『燃えよ剣』を読んで 前編 

 今年は、司馬遼󠄁太郎生誕100周年ということで、『燃えよ剣』について書いてみます。

 『燃えよ剣』は、幕末動乱の京都で治安維持を担った最強の剣客集団、新選組の興隆と衰亡を描いた歴史小説です。
 主人公は、新選組の副長土方歳三。彼は、幕府直轄領武蔵国、現在の東京都日野市の、裕福な豪農の生まれで、天然理心流という剣術を習っていました。新選組の主要なメンバーは、天然理心流の剣士と、その道場の食客です。食客というのは、対外試合の助っ人をする代わりに飯を食わせてもらう人達で、彼らはそれぞれ別の流派の剣術家でした。
 ザッと書くと。

局長    近藤勇 天然理心流
副長    土方歳三 天然理心流
一番隊組長 沖田総司 天然理心流
六番隊組長 井上源三郎 天然理心流

総長    山南敬助 北辰一刀流
二番隊組長 永倉新八 神道無念流
副長助勤  原田左之助 宝蔵院流槍術
八番隊組長 藤堂平助 北辰一刀流

 自分が、『燃えよ剣』と同著者の『新選組血風録』(新選組にまつわる短編集)を読んだのは、1999年でした。同じ頃偶然に、高校からの付き合いの友人が、『燃えよ剣』にハマっていました。それで、2人して日野市にある土方歳三資料館や新選組関連史跡を観に行ったのです。
 土方歳三資料館では、若い御嬢さんが新選組の隊服を着て遺品の説明をしていました。聞いたところ、その御嬢さんは土方歳三と同じ血筋だそうで。佐藤家(歳三の姉の嫁ぎ先の家系)か土方家(歳三の兄の家系)、どちらか忘れてしまいましたが、そういう話をしてくれました。
 その御嬢さんに対して、女性客達が「キャ~♡」となっていて、自分と友人は面を食らってしまい。「俺達は間違ってここに来たのか?」なんてことを呟きながら笑い合っていました。
 後々、アイドルグループのファンのようなノリで、新選組を愛しているファン層があることを知りました。何にしても歴史上の偉人には、色んな興味の惹かれ方があります。そして、新選組は、いつの世でもある程度の人々に強く推されている。それはおそらく、日本人の判官贔屓、敗れた人を認めたり敬う文化があるからだと思います。
 新選組は確かに、薩長の官軍との戦いに敗れ、江戸幕府と共に時代から消えていきました。それでも、彼らの物語には、心を引き付けるものがあります。
 次回後編で、『燃えよ剣』の内容をふまえ、新選組の魅力について書こうと思います。
     後編へ続く
 

  


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