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【1通目】大好きな息子へ。

18トリソミーで人工死産を選択した息子とのことを振り返ります。
あくまで私の主観であり、不快に思われる方は閲覧をお控えいただきますよう、お願い申し上げます。

空へ。
生まれてくるって、どんな感じなんだろうね。
ママたちだって、生まれてきたのに、全然覚えてないの。不思議だね。
暗い水の底から、一生懸命に水をかいて、遠くに見える光を目指して泳ぎ続けて。
細くて狭いトンネルを抜けたら、眩しいくらいの光に包まれる。
温かくて、少し不安で、でも幸福で。そんなイメージ。だった。
あの日を迎えるまでは。

私の初めてのお産は、いわゆる【産声のないお産】だった。
「頑張れ!」というエールもなく、手を握ってくれる人もなく、ただ、淡々と進んでいく。命との別れを何もできずに待っている。そんな時間。

お産を無事に終えたことよりも、私の体内の残留物に夢中な先生たち。
あぁ、終わったんだと、はっきりわかった。
もう私には何も残っていない。

私から出てきたはずのあの子は、
いつまで命があったんだろう。

誕生日が、死亡日。
そうさせてしまったのは、私。
2023年1月18日16時10分。

3ヶ月経った今でも思い出す、分娩台から見た皮肉なまでに明るい天井。
確か、命の誕生を喜ぶ…という意味が込められていた。
産後、ひとりぼっちで取り残された分娩室の肌寒さ。
機械的に進む先生たちの作業も、
普通なら赤ちゃんの鳴き声やおめでとうの声、
バースプランによっては好きな音楽が流れて、気持ちも高ぶって、
誰も気にすることがないのかもしれない。

たくさんの命が生まれた分娩室で、
一人ぼっちでお空へ行ってしまった息子のことを想った。
でも、先生や助産師さんの前では泣かなかった。泣く資格はないと思ったし、一生消えない大きな十字架を背負ったと思っていたから。
でも同時に、あの子の分も幸せにならないといけない。そんな強い意志もあった。

人生は、つらい。
人生は、長い。でも、息子の人生は短かった。
始まる前に終わらせてしまった。私自身の選択で。

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ごめんね、ごめんね、愛してる。
私を親にしてくれてありがとう。

あなたとお別れして今日で3ヶ月。
心を整理するために、過去を振り返りながら、たまにお手紙書きます。

最愛の息子、空へ。
今日も、明日も、明後日も。ずっと愛してる。

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