平成、この佳き日に。(Ⅰ・平成二年)
「ミヤちゃん。見て、このあいだうちのお姉ちゃんが結婚式あげたんだ」
その日は確か、校庭のイチョウが小さな鳥の形をして舞い落ちる金色の秋の日だった。
ミヤは制服のスカートのプリーツを整えながら、現代文で習った歌を思い出したりしていた。
同級生のアキが両手で差し出してきた写真には、花嫁花婿とその家族たちが笑顔で写っていた。幸福そのものの形をしたそれは、アキの祖母譲りだという金色の混じった長い髪の毛と一緒に、秋の陽にきらめいていた。
友だちのえくぼが、いつもよりも下手くそな形をして