LiB羊

文章を書くのが幸せです。

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マガジン

  • 平成、この佳き日に。(小説)

    結婚にかんする平成のあれこれを書いた小説的ななにかです。 ヘッダー画像はこちら(https://www.pixiv.net/artworks/61056803)からお借りしました!

  • 私は私のままで結婚したかった

    2016年にあげた結婚式についてつらつら書いてます

  • 好きを叫ぶ

    好きなものへの愛をひたすら叫ぶ用。

  • 花束抱えて劇場へ(ミュージカル考)

    好きなミュージカルを好き勝手に語ります

最近の記事

ワンオペ育児は抑圧である。

ワンオペ育児は社会的な抑圧なんだろうな、と最近考えている。 子育ては楽しい。 けれど、その負担量が膨大なため、とても大人ひとりで担えるものではないのだ。 いまは人口に膾炙しているこの「ワンオペ育児」という言葉、調べてみると、2015年ころからネットで使われ始めたようだ。 流行語大賞にノミネートされたのが2017年。*1 「ワンオペ育児」という言葉のなにが画期的だったかって、当事者コミュニティの外にその負担を可視化したことだ。 それまでは、当事者以外には、「子育て=幸せ」「

    • 平成、この佳き日に。(終・令和1年)

       よく晴れた初夏の日、マンションのポストに歌うような手紙が届いた。  封筒をひっくり返すと、つい一か月前には頻繁にやりとりを交わしていたふたりの名前が裏側にあって、結夏は微笑んだ。  メールアドレスもラインも知っているのに、わざわざ手紙を選ぶとは、言葉を大切にするあのふたりらしいな、と思った。きっと知央さん発案なのだろう。年下の愛すべき人を思い出して、結夏はその星みたいに柔らかな黄色の便箋を、そっとバッグにしまった。  仕事の間はひっつめにしている黒髪が解きはなたれて、晴れや

      • 平成、この佳き日に。(平成三十一年)

         晴れやかなところの少ない部分だけを歩んできた人生でした。  手をつないで歩くことができたら、それが僕らの勝利だと思いながら生きてきた。  都心に繋がる線路が顔を覗かせる夜のホームは真っ暗で、大きなひとつの暗闇がのたくっているみたいだ。  ひとりぼっちの孤独だってぽっかりと呑みこまれてしまいそうで、知央(ちお)はそっと悠斗の背広を掴んだ。  「どうしたんだい?」  「……夜のホームってなんだか怖いな」  さっきまで鮮やかな紅の世界にいたから、尚更だった。そうやってすり寄れば

        • 平成、この佳き日に。(Ⅱ・平成二十三年)

           いつか僕ら、シルクロードへ行きたかった。  ドアの外がかしましい。  アルコール臭が拭いきれない居酒屋のトイレで、タクミは白い便器に腰かけて、祈るように手を組んだ。  目をつむると、真っ暗なまぶたの裏に宇宙が浮かぶ。  そっと宇宙に集中すると、唇は黒く小さく硬くなり、ゆっくりと白く細い糸を吐きだしはじめた。  現実世界の喧騒が遠くさり、この広い世界にぽつり、と浮かんでいる気がする。  小さなころから、一人になりたいときは、決まってこうして白い繭になった。  かつて世界の

        ワンオペ育児は抑圧である。

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        • 平成、この佳き日に。(小説)
          4本
        • 私は私のままで結婚したかった
          3本
        • 好きを叫ぶ
          1本
        • 花束抱えて劇場へ(ミュージカル考)
          1本

        記事

          平成、この佳き日に。(Ⅰ・平成二年)

          「ミヤちゃん。見て、このあいだうちのお姉ちゃんが結婚式あげたんだ」 その日は確か、校庭のイチョウが小さな鳥の形をして舞い落ちる金色の秋の日だった。 ミヤは制服のスカートのプリーツを整えながら、現代文で習った歌を思い出したりしていた。 同級生のアキが両手で差し出してきた写真には、花嫁花婿とその家族たちが笑顔で写っていた。幸福そのものの形をしたそれは、アキの祖母譲りだという金色の混じった長い髪の毛と一緒に、秋の陽にきらめいていた。 友だちのえくぼが、いつもよりも下手くそな形をして

          平成、この佳き日に。(Ⅰ・平成二年)

          美弥るりかさんが好きです。

           美弥るりかさんへの好きを叫ぶだけのnoteです。  拝啓、美弥るりか様。  宝塚公演のご卒業おめでとうございます。関東住みのため現地には伺えませんでしたが、心だけは宝塚にあります。  今、日比谷公園ではネモフィラが青く美しく咲いています。  宝塚は昨日までの雨があがって、散らずに残った桜が美弥さんの卒業を彩っていると伺いました。  宝塚公演のご卒業おめでとうございます。東京公演でお姿を拝見できるのがとても楽しみです。  BADDYから入った日の浅いファンで、とうとうファ

          美弥るりかさんが好きです。

          【女子学生へ】「ノブレス・オブリージュ」ドーピングへの警鐘

           平成最後の東京大学入学式の祝辞が話題になっていますね!  私がいた頃よりも母校は確実に前を進んでいて、それが卒業生として何より嬉しいです。  上野千鶴子先生の祝辞を読んで、ツイッターにもいろいろ呟いたんですが、文章できちんと書きたいなと思ったのでnoteにも書きます。伝えたい内容としてはこの連ツイやこの連ツイと同じです。  上野千鶴子先生の祝辞は、東大の学生のうち、特にマジョリティである男子学生向けだと感じました。  私は、2割しかいない東大の女子学生に向けて、少し補足を

          【女子学生へ】「ノブレス・オブリージュ」ドーピングへの警鐘

          【※あくまで個人夫婦の感覚です】子どもについて

           労働から解放された週末、近所の定食屋で夫とぐだぐだ話してたのが楽しくてやっぱりこの人好きだなあってなったので、とりとめもなく書き留めておきます(ほろ酔いです)  定食屋で何をぐだぐだ話してたかというと子どもについてなんだけど、うちはまだ子どもがいなくて、共働きでそれぞれ好き好きに暮らしている。  鶏の南蛮煮をつまみながら、夫が「いやでも二人で暮らすのが正直超楽しくて、生涯ずっとふたりきりでもいいかなって思うときもある」と宣うから「分かりみ深い~」「分かってくれるの最高~」

          【※あくまで個人夫婦の感覚です】子どもについて

          夫の呪いをといた話(個性至上主義の価値観の相対化)

           わたしは愛夫家です(トップ画像は「夫」で検索したらヒットしたやつ。なんだろうこれ。)  「恋女房」も「愛妻家」も「妻のことを大好きな夫」という意味の言葉はあるのに、「夫のことを大好きな妻」という言葉はなくて、日本語って相変わらず超不便なので、もう自分で作って名乗ることにしました。  私は愛夫家です。お好きなように読んでください。  「恋女房」も「愛妻家」も対義語が無い理由はうっすら分かるし、その理由を想像するとこの国の闇が深くて背筋が寒くなるのだけど、それは今回は置いておき

          夫の呪いをといた話(個性至上主義の価値観の相対化)

          帝国劇場「モーツァルト!」考

           帝国劇場ミュージカル「モーツァルト!」を観てきました。  せっかくnoteで長文を書ける場ができたので、これから、好きなミュージカルを好きなように語り散らかしていこうと思います。 ++++++++++  「モーツァルト!」はミヒャエル・クンツェ脚本、シルヴェスター・リーヴァイ作曲、小池修一郎演出・訳詞のミュージカルだ。2018年6月現在、山崎育三郎さんと古川雄大さんのWキャストで上演されている。  脚本・作曲・演出は、ミュージカル界隈だと有名も有名、いつもの安心・安全コ

          帝国劇場「モーツァルト!」考

          私は私のままで結婚したかった.3

           しとしとと降る雨の音が美しい6月ですね。  とっても有難いことに、前回や前々回の記事を何人もの方々が読んでくださった。  広まるにつれて、「そんなに嫌なら結婚しなきゃいいのに」「そんなに嫌なら結婚式やめればいいのに」という、いつもの無遠慮な言葉を頂戴する機会も増えた。  うん、そうなんだけど。そうなんだけど、そうじゃないの。ちょっと立ち止まって聞いてほしい。  今の結婚式の様相を「嫌だ」と感じる人を排除して、従来のままの結婚の風習を守るのは、自分が臭いと感じるものに蓋をする

          私は私のままで結婚したかった.3

          「自分なら激務でも大丈夫」と信じる学生さんへ、そして「やっぱり辛い」と喘ぐ社会人の貴方へ

           ―2015年12月、電通の新入社員だった高橋まつりさんが長時間の過重労働を苦に、自ら命を絶った。だが現在、この事件を受けても東大生には「自分は過労死をしないから大丈夫」「激務でも自分なら大丈夫」と根拠のない自信を持つ傾向が少なからず存在するのではないか。「彼女の死はあくまで例外的な出来事だから」。就活を控えた東大生の一人がぽつりと口にした言葉から、その根拠なき自信が透けて見えるように感じた。―  2017年5月16日の東大新聞の記事だ。  これは東大新聞だから主語が東大生

          「自分なら激務でも大丈夫」と信じる学生さんへ、そして「やっぱり辛い」と喘ぐ社会人の貴方へ

          頑張るのやめよっか、と社畜が知った日(1.自由への逃走)

           最近自分のキャリアというか、働き方というか、仕事と人生についてとりとめもなく考えている。  働き方改革法案も通ってしまいそうだし、2020卒の学生さんの就活も解禁されてタイムリーだから、結婚式の記事の息抜きに、考えていたことをぽつぽつ書き留めてみます。  前回の記事以上に「誰向けだよ」って感じなんだけど、貴方のまわりに「なんであの子あんなに必死に生きているんだろ」って不思議に思うくらい頑張ってしまう子がいたら、もしかしたら私と同じような子なのかもしれない。  「なんで私こ

          頑張るのやめよっか、と社畜が知った日(1.自由への逃走)

          私は私のままで結婚したかった.2

           「私は私のままで結婚したかった.1」に、過去と未来の花嫁/花婿さん達を含む何人の方々から共感の声を頂いた。嬉しかった。  ウェディング業界さん、これってチャンスなんじゃないだろうか。今LGBTsフレンドリーな結婚式会場が特集されたりするけれど、同じように花嫁フレンドリーな会場も売りになるんじゃないだろうか。  結婚式ってそもそも花嫁花婿が主役のはずなのに、花嫁フレンドリーな会場が売りになりそうな現状っていうのもなんのこっちゃって感じだけど。  そういえば改姓については、た

          私は私のままで結婚したかった.2

          私は私のままで結婚したかった.1

           もうすぐ6月、ジューンブライドですね。  ツイッターの140文字にも限界を感じてきたので、長文を書くツールを模索中です。初めてnoteを使ってみます。  私自身は夏の花嫁だったのですが、6月だし、結婚式についてつらつら思っていたことを吐き出したい。  具体的に言うと、マリッジブルーになったあの時を思い出しながら書くことで、今この瞬間結婚関連のことでもやもやしてる人に「あなただけじゃないよ」って言いたい。  もっと具体的に言うと、最近結婚ラッシュを迎えるとともにすごい悩んで

          私は私のままで結婚したかった.1