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子供向け『星の王子さま』オススメ絵本5選


はじめに

『星の王子さま』は、1943年にフランス人作家・飛行家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900-1944年)によって書かれた不朽の名作です。
(実際は4月6日に刊行されましたが)もともと、クリスマスに子供向けに書かれた『星の王子さま』。1943年の出版以来、大人向けの童話という側面があることからも、世代と国境を越えて愛されています(この記事を書いている時点では、世界548の言語に翻訳されており、これは非宗教的・非政治的な本として、世界で最も翻訳されている本となっています)。

言語数だけでなく、同じ言語でもさまざまなバージョンがあります。今回は、基本に立ち返って、子供向けの日本語の『星の王子さま』の絵本を紹介していきます。

1.【2・3歳〜】「はじめての星の王子さま」シリーズ

全4種類のシリーズで、私の知る限り、最も対象年齢の低い絵本となっています。シリーズ名のとおり、お子様と「星の王子さま」の“はじめまして”にオススメです。『星の王子さま』に登場するキャラクターとともに、簡単な文章が書かれています(基本的にひらがな。バラ、バオバブなど一部カタカナあり)。厚紙でできているので、耐久性も高いです。

『おうじさまのいちにち』は、王子さまが自分の星で一日にしていることが書かれています。見開き5ページの短い絵本ですが、最後の1ページは『星の王子さま』の詩的な雰囲気が凝縮されていると思います。大人になってもこの感性は忘れたくないですね。

『おうじさまの1・2・3』は、「おうじさまはひとり」「おはなはにりん」「バオバブはさんぼん」「とりはよんわ」「おおきいほしはいつつ」と、ひらがな・カタカナ・数字・助数詞・形容詞の短文を学ぶことができます。最後のページはちょっとした仕掛けが付いています。

『ぼくのおともだち』は、「きつね」「おはな」「とり」など、王子さまの友達を紹介しています。ほかの3冊と異なり各ページの端が段々に切り取られており、表紙から各ページの友達を見ることができ、「今日はどれを読もうか?」と楽しむことができます。個人的には、最後のページにこの友達を持ってきたかと感心してしまいました(皆さんは、最後のページは何だと思いますか? 気になる方はぜひ読んでみてください)。

『ぼくはおうじさま』は、王子さまについて、ひらがなと、なんとフランス語で書かれています。もともと「はじめての星の王子さま」シリーズはフランスのガリマール社(フランスで『星の王子さま』を初めて出版した出版社)で出版されたものを翻訳したものなので、その原文(フランス語)が書かれているなんともオシャレな1冊です。

上記4冊が箱に入ったセットもありますが、単品もセットもすでに絶版になっているので、基本的に中古でしか購入することができません。ご購入後は、しっかり消毒などしてお子様と楽しく読んでくださいね。


2.【3・4・5歳〜】『絵本で出会う 星の王子さま』(ひさかたチャイルド)

サン=テグジュペリ財団の依頼により、フランスの出版社「Fleurus」が
『星の王子さま』原作から抽出・編纂し直した絵本作品の日本語版。
詩人・童話作家の工藤直子さん訳。タイトル通り、お子様が初めて「星の王子さま」と出会う1冊としてオススメです。工藤さん自身、「若い頃に『星の王子さま』と出会い、とても大切な作品として『星の王子さま』を何度も読み返してきた」とのこと。『星の王子さま』が好きで翻訳している人は、その想いが本当に溢れ出ています。個人的には、見返しの総柄がオシャレで好きです。もしかしたら、本文よりもこの総柄をずっと眺めているお子様がいるかもしれないです(24ページ・漢字にはふりがな付き)。


3.【3・4・5歳〜】『星の王子さま』(白泉社)

『ファーブル昆虫記』の完訳(全20巻)で有名な奥本大三郎先生が翻訳された絵本です。奥本先生が『星の王子さま』の中でも特に大切だと思われたところを選び、短く書き直したものです(45ページ・漢字にはふりがな付き)。
奥本先生は、サン=テグジュペリは「他の人の気持ちを汲み取り、大切にすること」を私たちに教えていると考えており、そのことから3種類の言葉遣いを覚えられるように意識されています。
 ・子供と大人(王子さまとパイロット)の言葉遣い
 ・恋人同士(王子さまとバラの花)の言葉遣い
 ・子供とその友達(王子さまとキツネ)の言葉遣い
この絵本を読んだお子様が適切な言葉遣いを習得し、さまざまな人と絆を結んで幸せになっていただければと思います。


4.【〜大人】『絵本 星の王子さま』(集英社)

絵本と同じ出版社(集英社)から全文訳も刊行されている芥川賞作家の池澤夏樹さん訳。「幼い頃に出会って、ずっと読み続ける本」であるために、「星の王子さま」に出会ったお子様が絶対につまずかないように、全文を24章に翻訳・再構成したもの。『星の王子さま』の全訳を読んだけどよくわからなかったという大人の方にもオススメです(72ページ・漢字にはふりがな付き)。


5.【〜大人】『ポップアップ絵本(コンパクト版)星の王子さま』

翻訳は、「4.『絵本 星の王子さま』」と同じ芥川賞作家の池澤夏樹さんだが、ほとんどすべての見開きページがポップアップ絵本(飛び出す絵本)になっているのが面白い。コンパクト版というとおり、もともとはこれよりも大判のポップアップ絵本でした(内容は同じ)。文章は集英社から刊行されている池澤夏樹さんの全文掲載(64ページ)。

現在、コンパクト版は新品を購入できます(画像上↑)。これよりも大判のポップアップ絵本は絶版(画像下↓)。古本購入の際は、仕掛けが壊れているものがありますので、ご注意ください。

以上、5つの絵本を紹介してきましたが、「5.『ポップアップ絵本(コンパクト版)星の王子さま』」以外は、『星の王子さま』の物語の一部分だったり、翻訳者によって再構成されたものになります。
これらの絵本も『星の王子さま』の魅力をぎゅっと詰め込んでいると思いますが、いつか全文を読んでいただけたらと思います(きっと、お子様が大きくなったときに、心の支えになる一冊になってくれると思うから)。
そのために、お子様が小さいときに、「王子さま」とお友達になれるといいですね。


【次回予告】サン=テグジュペリ以外のイラスト(挿絵)を使った絵本『星の王子さま』

・『星の王子さま』(完訳絵本)

・『ほしのおうじさま』

・『ミニ版CD付 星の王子さま〜The Little Prince〜(世界の名作 The Little Prince絵本)』

・『星の王子さま〜The Little Prince〜(世界の名作 The Little Prince絵本)』

※Amazonのアソシエイトとして、Librairie B612は適格販売により収入を得ています。

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