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DELF B2に合格しました!!

前回気持ちを書き殴ってから、はやくも2か月が経とうとしている。
(今読み返したら、ちょっと言葉遣いや書きぶりが気になったけど、あの時しか書けなかった文章だから、編集はせずに置いておきましょう……)
あっという間に過ぎてしまった2か月間に何をしていたか、というか主にタイトルの件を書き残しておきたくてキーを叩く。

7月に悔しい思いをしてからまずしたことが、「DELF B2」の試験申し込みだった。

2016年に仏検準1級を取得したのを最後に、就職もあり本格的なフランス語の勉強から離れてはや数年。

そんな状態でいきなりDALF C1受験は無謀であること、そしてB2を取得すれば、大学の学部への入学申請はできるため、とりあえず最低限のレベルとして取得を目指したかった。

正社員として働きながら隙間時間で勉強して仏検1級を受験したのだが不合格だったので、7年ぶり(!)のフランス語試験合格を目指すことになったものの、DELFのは10年前にB1を受けて以来ご無沙汰だったため、まずは情報収集に入る。

※DELFとは?→https://delfdalf.jp/ja/accueil/

浦島太郎状態のままネットの海を徘徊すると、いくつかの情報が入ってきた。

①2020年に試験改革があり、問題形式が大幅変更

DELF/DALFの試験改革があり、B2では▽CO(聴解)で読み上げる文章の本数が増加(2本→5本)、▽CO・CEで記述式の回答がなくなるーーなどの変更が加えられるとのこと。

そして以下リンク(DELF/DALF公式サイトより引用)によると、2023~24年にかけて新形式の問題に移行完了を予定。

※リンク先はPDFです!
https://www.france-education-international.fr/document/kit-evolution-delf-dalf-2021

大学時代、記述回答がうまくできずB2の参考書を前に頭を抱えていた私からすると、たとえCOの読み上げが増えようと、CO・CEで記述式の回答がなくなるのは易化としか思えず、これは大チャンス。

②パリ以外の受験候補地

最初はパリで受験を考えたが、やれ値段が高い、やれ試験官が厳しいというネガティブな情報が飛び込んでくる。
そんな中で候補地となったのがルーアンのアリアンス・フランセーズ。

ルーアンで受験する一番のメリットは、試験結果が10日で分かること。
また先人のブログを読み漁ると、試験官がパリより優しいという噂があった。あくまで噂だけど。

以上の要素を踏まえ、夫も誘って(小旅行も兼ねて)ルーアンでのB2受験を決めた。

そして受験

申し込んでから約1か月半、オンラインレッスンも活用しつつ、新形式の問題演習をこなしていたら、あっという間に試験日を迎えてしまった。

当日、夫が朝8時に口頭試験を受けるのを見送り、少し仮眠を取ってから、耳慣らしのためにfranceinfoを視聴。この日の番組テーマは育休だった。

あいにく、この日のルーアンは雷雨。朝から雷雨が断続的に続いているが、地方なのでUBERを呼ぼうも車が少なすぎる。はてどうしたものかと外を眺めていると、雨の切れ間!これはチャンスと急いでアパルトマンを出て、アリアンスへ向かった(が、アリアンスまであと大通りを1本渡れば!というところで大雨に降られる……)。

着いてから謎のオランダ人おじさんに絡まれつつ順番を待つ。
くじ引きの前に試験官と鞄はここに置いて~などと事務的な話をしたが、緊張しすぎていて記憶がおぼろげ。

そして運命のくじ引き。2本引いた中、どちらも話せそうだったが、なんと今朝ヤマを張った子どもの保育系の話を引けたので、ほぼ迷わずSujetを確定させる。正直、これが引けた時点で「口頭試験はしくじれない(しくじってはいけない)」という思いでいっぱいになった。

別室でオランダ人おじさん+監督官と30分缶詰で準備。おじさん、時計を忘れたので「あと何分ですか?」って定期的に聞く。うるさいぞ!!

30分経過し、試験室へ移動。「いや来る途中でOrage(雷雨)にふられちゃって、マジで寒いんですよ今」などと世間話をしてからエクスポゼ。

最初は緊張でうまく話せなかったけど、練習の成果もあり途中からはわりと話せた、と思う。試験官のペンの調子が悪く、エクスポゼの途中でペンを取りに席を外されるハプニングもありつつ、6分50秒台でフィニッシュ。(持ち時間は7分なので超ぎりぎり!ちなみにペンは結局ダメだったので私のを貸した。今こうして書くと試験官にペンを貸す受験者ってなかなかシュールで笑える)

「エクセロ~ン(Excellent)」と言われたのでこれはもう大丈夫だなと安心しながら討論パート。試験官がふたりとも女性かつお子さんがいらっしゃったので、あまりこういう言い方は良くないかもしれないけど、女性同士、女性ならではの国を跨いだ共通の悩みや苦労を共有しつつ、円満に終えられた。

終了後は、先に筆記試験を終えた夫と合流。玄関で偶然会った先ほどの試験官に「あら、旦那さん?」と話しかけられる。うれしい。

14時からの筆記試験に備え、夫から教室の雰囲気などを聞き取っていると、聞き捨てならないセリフ「読解、書かされるところが難しかった~!」が耳に飛び込んでくる。

それって、旧形式の問題って……コト!?


せっかく口頭でいいお題を引けたのに、「旧形式一切対策してなかったので落ちました~★」なんてアホみたいな話は許されないだろう。受験料だってルーアンまでの旅費だって宿泊費だってタダじゃないんだ。

むなしい努力とは思いつつ、購入してあったオンライン教材でざっくり傾向を見る。COの本数、記述回答のポーション、どの程度の語彙での回答が求められるか、CEの形式……。ある程度頭に入れた後は、POの対策に全振り。試験開始直前まで、手紙の定型文をひたすら暗記。

試験室に入ると、日本人はどうも私一人のようで、アジア系だとお隣の国や、そのまた隣の方がたくさん。あとはヨーロッパの方のようだった。

試験開始直前、右隣の男の子がひたすら貧乏ゆすりをするわ、問題用紙をフライング開封して試験官に叱られるわで、ここから2時間半が不安になる。

フランスらしく、少々時間が押しつつも試験開始。
問題用紙をめくって1秒で気づく、「記述式の解答欄」。

ああ、旧形式ですね!!!?????

絶望したままCOの設問を読むも、あまり頭に入ってこないまま1回目の再生が始まる。率直に焦る。スピーカーを通さず、PCからダイレクトに音源を流していくスタイル。誰かが机を定期的にカタカタとゆする音も相まって、キレイな録音がスピーカーから流れる仏検やTOEICなどでは味わえない、非常に「リアル感」あふれるサウンドだった。

COは教育系と労働系の話だった。
情けないが余裕がなく、ひたすら足切りにならないことを祈りながら、せっせと解答欄を埋めた。

CEも旧形式なので、とにかく書かされる。こちらは労働系と環境&旅行の話。労働系の方が重そうだったので、簡単に解けそうな環境&旅行から先に手を出したが、いかんせん無対策のため回答のコツが不明。とりあえず埋める。

POはテレワーク系。これは来ると思っていて対策済みだったので、問題を見た瞬間、顔じゅうに気持ち悪い笑いが浮かんでいたと思う。最後まで語数や言い回しを調整し、259語でフィニッシュ。

B2は開始1時間半以降、途中退出が認められるが、ギリギリまで時間を使ってなんとか全問回答を埋めた。(結構途中退出していく人がいるが、気にしてはいけない)

迎えに来てくれた夫には「無勉の旧形式だった。もう結果が出るまで10日間DELFのことは考えたくない」と言うのが精いっぱいだった。

POがくじ運含め良い出来だっただけに、もしCOで足切りされて落ちたらどうしようとひたすら不安だった。二度とあのレベルのPOは叩き出せないかもしれないのに……

結果発表

10日を待たず、ルーアンから「取り急ぎ合否だけ教えるよ~」というメールが来る。
ドキドキしながら結果を開くと……Admis(e)!?一緒に受験した夫も合格。
そしてピッタリ10日後、点数の通知も到着。

総合点は74.5点。うーん、新形式なら80点取りたいと思ってたけど、旧形式でこの点数はどうなんだろう?

分野別に見ると、最高点はPEの22点、最低点はCOの16点……CO16!?
正直足切りギリギリも覚悟していたので拍子抜けした。

逆に、POがPEより低かったのには落胆してしまった。
頑張って頑張って「エクセロ~ン」でも、きっと母語が印欧言語の話者には負けてしまうんだろうなあ。悔しい。とても悔しい。

今回の感想や今後の展望

①ルーアン良かったです!!

交通費と宿泊費はかかるけど、ルーアンで受験して良かったです。
街が小さくて落ち着いているので、観光しながらリラックスして受験できました。

何より素晴らしいのが10日で結果を出してくれること。仕事が早いです。
合否に至っては10日かからなかったので、「大学受験や就活に向けて時間がない!!」という方には特におすすめ。

また、パリで受験したことがないので比較はできませんが、試験官の皆さんも親切でした。(実は受験後、街中で夕食を食べるレストランを探していたら、夫が誰かに手を振っている……「今の誰?ルーアンに知り合いなんて……」「試験官だよ~」優しいな??すごすぎか??)

②語学学習、あまりに地道で孤独な闘いすぎる

こちらでフランス人パートナーを持つ同年代の日本人の方と盛り上がったのですが、「外国語、住んでるだけじゃ全然話せるようにならない~~~!!!」いくらパートナーがいても、結局は勉強しないとダメということだそうでした。

とくに駐在員なんて、正直英語が話せれば最低限どうにかなってしまうので、年単位で住んでてもフランス語は話さず、英語で押し通している人もいます(もちろんそういう方たちの英語はめちゃくちゃ綺麗で高レベルです!!)。

そんな中で1か月半、さびついた脳みそに鞭打ちながら勉強し、ルーアンで試験開始を待っているとき、「ああ、ここから頼れるのは自分だけなんだな」と、ふと啓示のようにすっと頭の中にそんな感覚が滑り込んできました。

DELFは相対評価ではなく絶対評価の試験。
ルーアンの出している統計を見ると、どうも今回のB2は難化していた模様。
もしこれが仏検なら、難化すれば合格点も下がるところ、泣いても笑っても50点が必要なDELF。

隣の貧乏ゆすりがなんだ、前のヨーロッパ人がなんだ、
私は私の世界で全力を尽くして、合格に向けて頑張るしかないんだ。

そんな覚悟にも似たような気持ちに入れた瞬間、隣の貧乏ゆすりも気にならなくなり、自分でも驚きの集中力で2時間半闘い抜くことができました。

フランス語が話せる、というと華やかなイメージも相まって、すご~いなんて言われたりするけど、実際はいいことばかりじゃなくて。

実は今回の受験5日くらい前からいきなりフランス語の出力が低下して、お花屋さんでの会話もままらない時期があった。

このまま試験日を迎えたらどうしよう。恐怖を抱きながら「語学 スランプ」というワードで検索をかけても、答えは分かりきっていて、結局は「やり続けるしかない」。

試験前日の大詰めの勉強をしていたとき、何度聞いても分からないCOの問題があった。
分からないのなら、聞き続けるしかない。スクリプトの助けも借りながら、ルーアンの静かな図書館で、結局1時間くらいその問題と向き合っただろうか。
なんとなく意味が取れたころ、「大丈夫かもしれない……?」という根拠のない確信に至れた。

謎のフランス語出力低下は、当日のPOではすっかり収まっていた。

人間誰しも波がある。今回それをなんとか乗り越えられたことは、今後も乗り越えるべき壁ができたとき、心の支えになりそう。

③これからの目標

「結局、大学院にはC1が必要なんでしょう?仮に今回だめだったとしても、もうB2はすっ飛ばしてC1受けちゃえば?」という夫のポジティブ発言を素直に受け止めた私は、11月(一時帰国中)に開催されるDALF C1に申し込みました!!

さっそく勉強を始めましたが、サンテーズで思いっきり躓いています。
さすがに独学は無理そうなので、教えを乞う師を探しています……。


そしてB2合格が確定してから、進学したいと思える大学院を探す作業も同時に始めたが、なかなか指導教授が見つけられずモヤっとしつつ、とりあえず図書館でC1の参考書と向き合う日々。

そして今日、図書館で少し離席したとき、一冊の本が目に留まった。
なんの変哲もない本だったけど、手に取りたくなった。

座席へ持ち帰って目を通して驚いた。
サンテーズで疲弊した頭が回り始める。
「大学院は無理かもしれない」と枯れていた心が、潤っていく。
はやる気持ちをおさえ、著者名で検索をかけた。

以前、この大学にはアタリをつけていて、所属教授を調べていたことはあったが、この方のことまでは調べがついていなかった。

でも、やっと見つけられた。

指導教授になっていただけるかは、受け入れ人数の上限やその方のサバティカルの予定などもあるので、最後は運任せだけど。

でも、ようやく具体的に目指す先が見えてよかった。

C1取得に向けて、引き続き自分の世界を拡げていきます。

アリアンス・フランセーズ ルーアン お世話になりました、ありがとうございました

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