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インドの祇園祭ラトゥ・ヤートラー

2022年夏。
コロナウィルスの猛威を乗り越えてラトゥ・ヤートラーが開催されました。

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真夏の暑さと雨季のジメジメが混在する時期。そんな時期にやってくるのが、ラトゥ・ヤートラー(Rath Yatra)だ。ラトゥ・ヤートラーの総本山はコルカタから約500km離れたプリーなのだが、コルカタでも盛大に祝われる。

山車に集まる人々(筆者撮影)
山車に集まる人々(筆者撮影)

プリーの土着神ジャガンナータが、兄のバララーマ。妹のスバドラーと共にそれぞれ3台の山車に乗せられ、人々によってグンディチャー寺院(Gundicha Temple)へと曳かれて行く。コルカタのメイン会場はパークサーカス。ここに山車が集まり、人々が祈りを捧げ、お賽銭を渡し、食べ物をお供えする。この祭りはヒンドゥーの中でもクリシュナを崇拝する人にとって、とても重要な祭り。クリシュナ信仰団体のInternational Society for Krishna Consciousness(通称、ISKON)は世界中で活動を行っており、そのネットワークを通じて、世界各地でもラトゥ・ヤートラーが催されている。そのためか、外国人への案内も手馴れている。

中央丸目の神様がジャガンナータ(筆者撮影)

山車の中をよく見てみると、黒くて目のパッチリした可愛らしい大きな顔がみえる。この神様がジャガンナータ。クリシュナの遺骨がオリッサに送られた際、その地の王インドラデュムナが遺骨を納めるクリシュナ像を作ろうとヴィシュヴァカルマンに依頼をした。ヴィシュヴァカルマンは王に「私が完成させるまでは、絶対に見ないで下さい」と、約束させた。しかし、王が約束を破って覗いてしまい、ヴィシュヴァカルマンは姿を消してしまった。そこには、手も足もまだ作られていない神様の姿だけが残っていた…という話があります。まるで「鶴の恩返し」のような話。

山車の大きさや、細やかなペイントを眺めるのも良いが、私は子ども達の行列が気に入っている。クリシュナと恋人ラーダーに扮した子ども達は、まるで絵本から飛び出してきたようだ。

神様に扮した子供たち(筆者撮影)

このラトゥ・ヤートラーが開かれるのは毎年6~7月頃。奇しくも京都の祇園祭の時期と重なる。祇園祭の起源も神輿3基だったとのこと。“神輿(ラタ・)渡御(ヤートラー)”という表現と重なって、日本の夏を思い出させる西ベンガル州のお祭りだ

車輪にも美しいペイントが(筆者撮影)
お布施をささげる人々(筆者撮影)


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