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ファッションと周波数

新しい季節の気配がする時、それはアパレルショップに新作が並び始めた時で。今このタイミングだと、春夏の新作が展開されている。

もちろん新春初売セールが終わる1月頃から春の新作は少しずつ展開されるけれど、本格的に春夏の新作がずらり、になるのは今頃で。オフラインもオンラインも店内の雰囲気が春夏バージョンにリニューアルされるから、季節が変わる感じが増す。

大きなブランドで発表されていたトレンドにならったディテールや生地、雰囲気やカラーと、今年はこれが流行るのね、というのがわかりやすく人気アイテムとして紹介される。

わたしは洋服をほぼオンラインショップで購入する。そこを見ているだけでもトレンドもわかるし、価格帯もリーズナブルにいつでも好きなタイミングで買えるから助かっている。

しかし、なるべく隙間時間で新作が並ぶ頃には店頭にも行くようにしている。ザーッと見る程度だし、いち早くトレンドアイテムをチェック&ゲットするわけでもないんだが。

トレンドのファッションを追い続けることが重要な仕事をしていなくても、店頭でひと通り見ておくことは大事だと認識している。

それは常に最新の情報を持ち、オシャレに抜かりがないように、と思っているのではない。

ただ、今年の新しいファッション的周波数を感じておこうと思う。わたし自身は、シンプルで飽きのこないデザインとベーシックなカラーを好むから、トレンドを把握したところで、意気込んで取り入れたりしない。でもそのエネルギーを頂戴しようとしている、図々しいやつなのだ。

これは、やっぱり店頭じゃないとわからない。入口に紹介されている新作と、ニューアイテムがずらーっと並んでいる店内に行くことでわかる周波数(のようなもの)がある。感覚的なものだからこれ以上説明しづらいんだけれど、まだ多くの人がその洋服を手に取っていないタイミングだと、店内の空気も澄んだ印象になる。新作たちが、「今年の私たちです(ピース)!!」という表情をしている気がして、わくわくする空気がある。

この感覚は、書店の新作が並ぶコーナーにも似ている。入荷されたばかりで冊数も多く、まだ人が手にとっていない本からは明らかに新しい空気と雰囲気、香りを感じる。その先の新しい感覚の出会いにわくわくするのかもしれない。

新作が並ぶアパレルショップでは、華やかな気持ちを一瞬で浴びることができる。なんだか楽しい気分になって、花柄のワンピースを着ちゃおうかしら、ノースリーブとショートパンツなんか着ちゃったりなんかしちゃったりして?わぁーかわいぃ、ひゃーテンション上がるぅ、今年の春夏は恋する気分!くらいまでになりかける。

この感覚を味わうことから始まって、次に、どのデザインやカラーテーマがトレンドで、高級ブランドで発表されていたトレンドから、この価格帯のお店では、ファストファッション版では、どんな感じに仕上がったのかを数店舗回って確認する。生地感と価格帯、サイズ展開とフォルム、着こなしのディスプレイまでを把握しておく。しかし仕事に活かすとか、情報をまとめて記事発表することもない。なんとなくついやってしまうだけの話。

もちろん実際にその場で買うこともある。ワンシーズンのキャッチ&リリースになるとわかっていても、これは持っておいた方が今年を取り入れてる感があるな、というものは、少しでも早めに取り入れた方が長く使えるから。

ウインドウショッピングの効用はもう1つある。お金をかけずに脳内を新しい季節感で切り替えすることと、トレンドを更新し続けておけば、少なからず現役感を保てる。年の差がある後輩のファッションを的確なポイントで褒めることで、円滑なコミュニケーションにもつながる。

衝動買いをおさえるため、店頭に行かない人も増えたと聞いた。しかし、夜な夜なネットショッピングで買ってしまうのだから、あまり意味がないように思う。

わたしはオシャレな格好やセンスのいい洋服選びが得意ではないから、この組み合わせをそのまま買えばいいと教えてくれるディスプレイもありがたい。店員さんともこの時には積極的に話をする。トレンド情報と推しポイントが頭に入っている店員さんと少し話すだけで、ファッション雑誌いらずになる。

こんなに新作ファッション推しをしといて恐縮だけど、正直わたしは自分が着る洋服のことを考えるのがめんどうな人間で。社会人としてTPOをわきまえるファッションはできるけど、おしゃれな人になる研究は全然進まない。

そして何より、人からおしゃれだと思われたい欲求よりも、わたしの脳内をざわつかせないファッションを優先している。色や柄に主張があるものを身にまとうと、目から脳内がざわついてしまうから、落ち着いて物事を考えることができなくなる。これも感覚的なことだから、みんながそうではないとは思っている。できるだけ華やかな洋服で元気をチャージしたり、目の前の人を笑顔にできることはすばらしい。ただそれにも才能が必要で、わたしには備わってなさそうという話。

リゾート地に行く予定はないけれど、そうなったとしても派手なシャツやワンピース、Tシャツは選ばない。リゾートで、より気持ちを解放&リラックスしたいなら、尚更シンプルな白のTシャツがいい。現地に行ったら花柄ワンピースを買っちゃたりはしそうだけれど。場所の空気にはのまれやすいタイプではある。

好きなファッションには、その人の哲学が現れる。長く残るブランドには「ブランドコンセプトが好き」という人が多いように思う。デザイナーの哲学に惚れて服を選ぶ人は、そのブランドを長く使い続ける。毎日同じような洋服を着ていることを卑下することもない。

きっと肌感覚の周波数と相性がいいから、着ていて心地いいのだろう。好きな洋服を着ていることは、守られている感覚があるのかもしれない。

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