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日記

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記事一覧

24.05.18 薬膳スープ

『自然のレッスン』という本を通勤中に再読している。著者はかつて宝島やPOPEYEなどの雑誌の編集者を務めた人らしい。そんな彼が海外に渡って学んだ、日々を自然に生きるための言葉がポエムの形式で書かれている。直感的に読める本だ。

食べもののレッスンという章があり、そこでは化学調味料が執拗に批判されている。僕は普段の生活で味の素を沢山使うし、外食でふと入った店が「無化調」を掲げているとガッカリする。そ

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24.04.27 ハンマーヘッド

数年来の友達と久しぶりに二人で会う。横浜のハンマーヘッドには常に海外の缶ビールの在庫を異常に抱えたセブンイレブンがあるというので、そこでビールを買って横浜港の近くで外飲みをした。彼とは抽象的な話題についての議論ができるので会う度にとても楽しい。せっかくなので、取り留めもなく話したことを文字に起こしてみることにした。

「可愛いもの/好きなもの」
通りがかる犬や猫を可愛いと思うか。僕は動物よりも人間

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24.04.12 春の夜

2024.04.12
好きな男と数ヶ月ぶりに飲みにいく。彼とは前に会った時にXのアカウントを交換していた。僕は彼のことを天真爛漫で、細かいことを気にしない、ぶっ飛んだ人間と認識していた。でも、Xでの彼は日々の生活におけるストレスをなかなかに汚い言葉で吐き出していて、普段の愛嬌のある姿とのギャップに驚いた。僕はもう彼に惚れていたので、そのギャップすらも可愛く思えたのだけど。

駅前で合流して店を探し

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24.04.02- 松屋

2024.04.02
誕生日を迎えたら、大好きな友達や先輩や家族からお祝いのメッセージが届いた。僕の好きな高校の友達は野球観戦に誘ってくれ、好きな男とは久しぶりに飲みに行くことになった。

僕は基本的に「好き」を安売りしたくない。種類に違いはあれど、自分が「好き」と表明したものについては、一定の基準のもと熱量を保ってきた自信がある。ただ、今は多くの方向に好きの矢印が向いているのを感じる。それは幸せ

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24.03.31- てりたま

2024.03.31
戸川純のバースデイライブへ行ってきた。14年前からほぼ毎年参戦している恒例のイベント。ただ今日のライブを観ながら、僕は確実に戸川純という存在に救われて生き延びてきたけれど、ここ最近は彼女の助けが無くても生きていける状態にあることに気付いた。

戸川純という人はいつまでも圧倒的に可愛くて、MCの独特な間合いも、命を削るような歌唱も、60歳を過ぎてボイストレーニングに通い始めて、

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24.03.06- ココナッツカレー

2024.03.06
胃カメラを終えてご飯を食べる。まだ喉と鼻に麻酔が少し残っているようで気だるい。カメラを入れた後だから、食事をしてもなんとなく、胃に物を入れる作業をしている感覚になる。さっきこの目で見た空間に、今は食べ物が詰まっていっているのだ、などと考えると自分にとっての「食事」という概念自体が変わってしまいそうだ。

それにしても、自分の胃の色は想像以上に綺麗だった。生命を感じさせる、ハッ

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24.02.24- 能楽堂

2024.02.24
早起きして千駄ヶ谷の能楽堂にライブを観に向かう。千駄ヶ谷は通勤で毎日通過しているが、駅で降りるのは数年ぶりだ。そして、僕は東京にずっと住んでいるのに新国立競技場を初めてこの目で見た。

国立競技場に思いを馳せたことなど、今までたぶん1秒もなかった。でも『東京都同情塔』を読んだことで、その造形に興味が湧き、偶然にも目にすることができて嬉しく思う。同時に、自分は改修前の国立競技場

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24.02.10- ベーコン

2024.02.10
夢。酒の席で意気投合したゲイと、自分を含む4人で彼の家に泊まることになり、終電に乗っているシーンから始まる。彼は寮生活をしていると聞いていたが、その寮につくと、人の良さそうなおばちゃん数人と、太った外国人のお姉さんが寮母となって、寮で暮らす人の生活を仕切っていた。深夜のはずなのに、電気の付いた明るくて広い寮には夜ご飯が用意されていて、寮母のおばさん達は配膳をしたり、洗濯物を取

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24.01.26- ピストルズ

2024.01.26
前に家のカーテンを褒めてくれた男を飲みに誘う。彼は予定がどんどん埋まっていくのが嫌いと言っていたので、事前に調整することはせず、前日に声をかけたら誘いに乗ってくれた。

でも自分は本当はそんな気軽に人を誘える人間じゃない。彼を誘うために前々から予定を空けて、どこで飲むかのシミュレーションまでしているのに、重いと思われないように「明日の夜暇?」という一文だけを送信した。屈託がな

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24.01.06 カーテン

前にリアルした男と久しぶりに会う日。家の近くの居酒屋で飲む約束をしていたので、そのまま家飲みの流れになることを想定し、早起きして少し気合を入れて部屋の掃除をした。

彼は美術館が好きと聞いていたので、六本木のキース・ヘリング展に行くことにした。よくユニクロのTシャツに使われている絵、という印象があるくらいで、腰を据えて観るのは初めてだったが、カミングアウトへの祝福、エイズへの関心のあり方に対する問

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23.12.31 すべりだい

今年も残すところあと数時間。年末はいつも浮き足だって酒を飲み、二日酔いで呆けているうちに終わってしまう。そのせいもあって、今月は日記を書く暇がなかった。折角なので、年が明ける前にこの一ヶ月間を振り返ってみる。

上旬。友人とハコが大きいので有名なゲイバーに行き、酔って気分が良くなりそのまま2丁目に移動する。翌日に新規リアルの予定があったので早く帰るつもりだったのに、結局朝まで飲み明かした。案の定、

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23.11.25 同窓会

2023.11.25
サークルの同窓会を企画したら、大学時代の親友で、僕の好きだった人でもある友人が久しぶりに帰省してくることになった。彼と直接会うのは数年ぶりだ。

思えば、今住んでいる一人暮らしの家を選ぶ時にも彼が付き添ってくれた。住む家を二人で一緒に探すのは恋人同士みたいだな、とか都合良く考えていたのが懐かしい。僕が一人暮らしを始めてすぐ、彼は転勤が決まって、年上の彼女ができて、結婚して子供

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23.11.09- Tinder

2023.11.09
彼氏と別れた。でも、心がスッキリとして晴れ渡っている。やっと彼に言いたかったことが全部言えて、聞きたかったことが全部聞けたからだ。

別れ話から始まった彼氏との通話は、久しぶりに本当にすごく楽しかった。くだらない掛け合いとか、お互いが何を考えてどんな気持ちでいて、それはなんでだろうって話し合ったりとか。堰を切ったように、積み重ねていた思いが言葉になって溢れ出す。

「付き合う

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23.11.07- 風邪

2023.11.07
風邪を引いて仕事を休んだ夜に街を歩いた。今日は何も生産していない日。でも、劣等感ではなく喜びに満ちている。生きることに誰かの許可なんていらない。何も生産しなくても生きていていいのだ。それよりも、出来栄えが悪いと分かっているものを何とか生産する日々のほうが、ずっと心が疲れる。

夜風が心地よい。熱で頭がぼーっとするせいか、住み慣れたこの街も今日初めて訪れたような気分になる。今、

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