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雑感記録(253)

【空は堕ちてこない】


最近、こういうSNSの媒体やインターネットをゆらゆら泳いでいると、何というか打ちひしがれることが多い。それは情報があまりにも多すぎるという、インターネット特有の環境もある。押し寄せる情報の渦に巻き込まれ、気が付けば求めていることの遥か遠くに自分が位置していることが時たまある。

特にSNSなんかはそう。とりわけこのnoteなんかはそれが正しく顕著な訳だが、重厚な記事が多い。何のトピックにしろ、その面白さや思慮深さ、思考の深度の深さに僕は毎回やられてしまう。この「やられてしまう」と一言に言っても、それは多くの意味を孕んでいるということだけは注意しておきたいところである。


「やられてしまう」というのは僕にとってまず1番大きな意味で言うと、「自分の矮小さ、卑小さというのがまざまざと見せつけられる」という意味での「やられてしまう」ということである。これは非常に良い意味での感覚である。これには本当に頭が上がらないというか、感謝してもしきれないのである。僕はそういう記事に会うたびに感謝しながら読んでいる。良い記事に出会うことは嬉しいことこの上ない幸せである。

何だかこう書いてしまうと、僕はマゾヒズムみたいな感がしなくもない。だが、文章を読む時や書く時ぐらいはマゾヒズム的な姿勢の方が色々と学べることは多いと思う。自分自身の文章や思考などを見直す際には必要不可欠である気がする。「自分の方が正しいんだ」という考えなど今すぐにでも捨て去るべきである。例えそれが確実に、第3者から見ても正しいことであるという場合に於いてでも。

何かを読む、何かを考えるということはまず以て、1度自分自身の中にどんな形であれ対象を受け入れることから始まる。相手が間違っていようが、間違っていまいが。道徳的に正しかろうが、正しくなかろうが。とにかく1度、自分の中に落とし込む作業が必須になる。ところが、こういった「自分が正しい」という人の場合にはそれを跳ね除けてしまう傾向にあるようだ。受け入れる以前の問題である。

何かを読む、あるいは語る(書くということでも良いかもしれない)為にはそこを一旦受け入れることが大切だと僕は思うんだ。そういうマゾヒズム的な態度でなければそれを受け入れることは不可能だと僕には思われて仕方がない。僕が様々な記事を読んで「やられてしまう」、つまりここでは「自分の矮小さ、卑小さというのがまざまざと見せつけられる」という意味に於いては非常に大切なことなのだと思う。

上には上がいる。

これは本当にSNSをやっているとよく分かる。どれだけ自分が考えて、どれだけ自分が読んでも、それを遥かに上回る人が必ずいる。それに、自分がこうして書いていることや考えていることなどは、少なくとも誰かと重なってしまうことはある訳だし、何なら僕なんかよりもそっちの人の方が面白いことだってある。そこでどうするかということが求められる訳だ。このままダラダラ書き続けるか、あるいは辞めて他の方向を見出すか。

でも、その「やられてしまう」という経験は僕は大切だと思う。それはあらゆることに於いて、自分自身を振り返るキッカケにはなるからだ。よく自分を卑下してはいけないとか、自分のことを下げない、自己肯定感を上げろなんて言われるけど、僕は別にどうでも良いと思っている。何なら下げられるのならばとことん下げればいいと思う質の人間である。だって、人はどこまで行っても堕落することは出来ないのだから。

しばしば、こう上を見て、「上には上が居る」と悟り落ち込むことがある。自分自身の限界と現実を知ってしまった時。でも、周りの人は「そんな落ち込むなよ」と囃し立てる。僕は昔からずっとそれが嫌いだった。というよりも、こういう落ち込んでいる状態はむしろ喜ぶべき状況ではないのかとすら僕には思えてしまう。何故なら、現実を知れるから。そこで「落ち込むなよ」と馬鹿にする人よりも現実を知ったから。そして、自分が今どこに居て、何をすべきかが微かにでも分かってくるからだ。

この「やられてしまう」というのは、まず以てマゾヒズム的態度であり、そこから自分の現実を知り自身のパースペクティヴを広げていく。僕は毎回様々なnoteの記事を読む度にそれをヒシヒシと感じながら愉しく読ませてもらっている。


とにかく、上には上が居る。これはどこの世界でもそうだ。自分が如何に矮小で卑小な存在であるか思い知らされる。だけれども、それでいいじゃない。皆1度「やられてしまう」と良いだろう。そういう経験があっても良いはずだ。これを世間では挫折というのだろうか。僕には分からない。だけれども、堕ちることは悪いことではない。

何故なら、人間は堕ちることが出来ないのだから。だったら、とことん、骨の髄まで堕ちて行こう。その先に何か見えるものがきっとあるはずだ。

ただ、精神疾患にならないように気を付けて。

よしなに。



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