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メガネ初恋【毎週ショートショートnote】

僕はディズニーランドオタクだ。
今日も一人で来ていた。
僕が一人でベンチに座っていると突然声をかけられた。

「お一人ですか?もしよかったら一緒にアトラクションに乗ってもらえませんか?」

声をかけてきたのは僕と同い年位のメガネをかけた普通の女の子だった。

「僕でよければ」

二人で色々なアトラクションに乗ったり、ポップコーンを食べたりした。
記念にお揃いのシルバーのリングを買った。
夢のようだった。

「次、何に乗ろうか」僕がそう言うと、彼女は遠くを見つめたまま
「…ごめんなさい、私そろそろ行かなくちゃ…短い間だったけど、とても楽しかった。ありがとう…」
寂しそうにそう言うとメガネを外してこちらを振り向いた。

彼女はディズニーランドには不似合いの黒いスーツを着た男の元へ歩き始めた。


数ヶ月後

僕はアパートの部屋でテレビの歌番組を観ていた。

「次は今日がデビューのアンさんで曲は『メガネ初恋』です」

アイドル歌手の薬指のリングがキラリと光った。


410文字


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