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しゃべる画像【毎週ショートショートnote】 「愛していると言ってくれ オマージュ作品」

夫の49日の法要が終わった。
遺影の代わりに使ったのは彼が描いた自画像だった。
突然 自画像がしゃべり始めた。

紘子
僕は何度 君にこうして語りかけたか
何度 君の名前を 心の中で呼びかけたか

あの日、僕と君が初めて出会ったあの日
君は言ったね

あなたと私はそんなに違うの?
耳が聞こえないあなたと
聞こえる私はそんなに違うの
だったら私はもっとあなたをわかりたい
あなたを知りたい

あの時の君の涙と言葉は今でも色あせず僕の心の中に住んでいます


いつだったか君が あなたの声が聞きたい、愛していると言って欲しい、泣きながら僕を困らせたことがありましたね
でもそんな君が愛しかった

あの時 僕は、君を愛していると言葉にできたなら、たった一言でも君の声を聞くことが叶うなら、この命と引き換えてもいいとさえ思いました

紘子
今まで本当にありがとう
君のお陰で幸せな人生でした
本当に本当に感謝してます

いつまでも 君を愛しています

自画像は言い終わると満足そうに笑みを浮かべた


413文字

※この作品は、1995年TBS放映「愛していると言ってくれ」第11話 榊晃次から紘子への手紙 の内容を一部引用しております。

「愛していると言ってくれ」は聴覚障害者の画家と女優の卵が、障害を乗り越えながら愛を深めるというストーリーです。主演は豊川悦司さんと常盤貴子さん。第33回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞し、主題歌の「LOVE LOVE LOVE」(DREAMS COME TRUE)は売上が約250万枚の大ヒットとなりこの年のオリコン年間第1位となりました。


たらはかにさんの企画に参加させていただきます。




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