最後のマスカラ【毎週ショートショートnote】

ボクは主にショートショートを書いている売れない作家だ。

「誕生日おめでとう、これプレゼント」

ボクは毎年麗子にマスカラをプレゼントしていた。

「また、マスカラ?」

「今まで、安物のマスカラしかプレゼントできなくてごめん。麗子はそんな安物でも大切に使ってくれて本当に感謝している。これは恋人のボクから麗子に最後のマスカラ」

「えっ、どういう意味…?」

「今まで、ボクを支えてくれてありがとう。
昨日連絡があって、今年の日本ショートショート大賞の最優秀作品賞を受賞することになった」

「それはおめでとう…でも最後ってどういうこと」

「これは恋人のボクからの最後の手紙」

『らかるすとんぜれぷをらかすまいかたてしととっおはらかんねいら。いさだくてしんこっけばれけよでクボ』

「どういう意味?」

「だから、最後のますから」


『ボクでよければけっこんしてください。
らいねんからはおっととしてたかいますからをぷれぜんとするから』

麗子の目から黒い涙がこぼれた。


410文字


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