見出し画像

新藤朱華『run ~病とわたしの全力邁進物語~』


この小説は、線維筋痛症の方が執筆したと聞き、購入しました。同じ病気を患っている者同士、少しでも力になれればと。

ちなみに線維筋痛症とは、全身に痛みや痺れ、倦怠感が生じる難病です。原因不明で、治療法は確立していません。

物語にも線維筋痛症の大学生が出てきます。主人公の親友(蘭)で、その生き方は、作者の自伝風になっているそうです。

私は社会人になってから線維筋痛症になったので、もし学生時代になってたら、こんなにがむしゃらだったのだろうか… 病気に対する考え方が、私と全く異なりました。

共通しているのは、病気に負けない、病気に支配されない毎日を送りたい、と言う気持ちです。

蘭はこの言葉を「病気を治す」という解釈をしています。そのため、あらゆる治療法を試す。保険適用外のものが多いので、お金のためにアルバイトを頑張る。同時に就職も目指す。一方私は、病気に負けないとは、「病気があっても、楽しく充実した日々を過ごすこと」と解釈しています。治すことだけに捉われず、今の身体でも出来ることを探す。心の健康だけは、病気に奪わせない。だから、受け入れて、共に生きていく術を探しています。

そのため、同じ病気であるにもかかわらず、あまり共感できませんでした。でも、病気の捉え方は人それぞれで、周囲の解釈もそれぞれだなと、改めて思うきっかけになりました。

頑張っても報われない。それにどこまで耐えられるか。治療法がないと言われている中で、何かを信じ続けることが出来るか。私にはできません。だから、これをしている方々はすごいです。私は、先が見えない治療と金銭的な悩みを抱えれば、きっと心が壊れてしまう。「受け入れる」「共に生きる」などという言葉に逃げているとも言えます。

そんな私も、明るく生きて、出来る範囲でチャレンジしている。それを褒められることもあるし、何より今の毎日に満足している。だから、病気との向き合い方に、どっちが正しいとか偉いとかはない。本人が一生懸命考えて出した答えであれば、何でも正解なんだと思います。私はそう信じて、今の自分に出来ることをコツコツとやっていきます。日々の充実が、病気の改善に繋がったらラッキーですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?