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出禁の嫁

 姑とは相性が悪かった
「口答えばかりする嫁はいらない
あんたの事は 前から気に入らなかった」
 捨て台詞の言葉たちは いまだに耳に残って離れない
そんな姑とトラブり義実家を出入り禁止になったのが10年以上 前の話し
思い込みが激しく他人を見下したような物言いをする人だった…
姑との関係は 修復出来ないまま 姑は数年前に
この世を去り 私の義実家出禁は なんとなく
なし崩し的に解禁となった

そして今度は舅が末期ガンで余命わずか…
舅に寄り添うのは見たこともない女性
いわゆる愛人だった
もう30年来の関係と夫に聞いた…
いや 待てよ?子供達 皆公認かい?
そんなに長い付き合いなら姑も知っていただろうし 舅の留守がちな これまでの行動も今更ながら納得がいく
「時々ストレスが爆発する」「ヒステリーを起こす」
他人事のように夫は自分の母を語った
本来は舅やその愛人に向かうべき姑の憎悪の対象やストレスの行き場は些細なことをきっかけに嫁に向かったのは言うまでもない

怒りの矛先が他者に向かえば自分達の平穏は保たれる

ヒステリックな刃に傷つけられる嫁を10年知らん顔して見過ごしてきた夫や舅が無責任すぎて あきれてものが言えない
私は義実家の不満の捌け口にされただけなんだ
嫁としての立場を失くし 自分の実家にも散々心配かけたのに

私は不倫に対して 世の中の人ほど不寛容ではない
でも義母の気持ちを察すれば夫婦の住む家以外に家を持ち そこに自分以外の女と一緒に過ごす義父に対し嫉妬だけじゃない たまらない思いが込み上げることもあったとして無理はないだろう…

ただ身内全員がほぼ知っていたこと
私もうっすら わかっていたこと
見て見ぬふりや意図的に耳を塞いでいたことの負債を
知らず知らずに 自分が全部かぶり 請け負っていたなんて…
姑の癇癪の原因
全ての しわ寄せが来ていたのは 赤の他人の私だった

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