「心の視覚」のありがたさ
もう二昔ほど前のことになるけど、当時、横浜の盲学校で写真教室をしていた管洋志(すが・ひろし:1945〜2013)さんが、
君たち、自分にとって一番大切なものを自由に撮ってきて
と言って生徒さんたちにカメラを渡した。
その中の一人、当時、小学校二年生だった女の子にとって、一番大切なものは一歳の弟の慎ちゃんだった。
菅さんが借してくれたカメラを持って家に帰った彼女は、慎ちゃんが眠るまで辛抱強く待った。うっかりカメラを向けると、まだ赤ん坊の慎ちゃんの好奇心を刺激して手に取ろうとし