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お客様と安心感 ep2



有休を取って


「今日、すごくしんどくて。会社休んで来ちゃいました」と、ご来店下さるお客様もいらっしゃいます。

ひと昔前とは違って「しんどい時は休みましょう」って多くの人が言うような時代になってきました。私には、そんな時代の方が温かくていいなって思います。

「癒されたかったんですよね」そう言って、チーズケーキを召し上がりながら、温かなお飲み物で身体の中から温まって、お客様のお顔が解れてゆくと、店主の私もあたたかな気持ちが胸の中に広がります。ご不安な時や、勇気を持ちたい時も、お客様はご来店下さいます「チーズケーキいただいて、ちょっと元気出そうと思って」と。そんな時は、店を始めてよかったって思うんです。大好きなお客様の役に立てているなんて、心を込めて毎日一生懸命頑張ろうって、私も思えるんです(店も大変な事が多いので笑)。

そして、当店はお世辞にも「便利な場所」ではなくて、駅も遠い、駅からバスに乗らなきゃいけない、近所に有名スポットは無い「たまたま見つけて来ました」なんて事はおおよそ無理だと思います。そんな場所で、当店を目指してご来店下さる、当店の為だけにご来店下さる、そんな有難い事にも感謝いっぱいです。

イケイケじゃないふんわり感

一人で事業をしていると「周りを蹴散らして、勝つことに執着している人」と、想像で誤解される場合があります。

それはホントに勘違いで、逆にそういうタイプの方は苦手で笑。あまり人と連めないのは、よく知らない方と何かやっても、嫉妬とか、挙句の悪口とか、見た目の見せかけだけの仲良しというのをよく見るので、、そういった関係は棘のように居心地が悪く。急激に仲良くなった感じで、ノリで「一緒にやろうよ」というのもすごく苦手。

ゆっくりとじっくりと仲良くなってゆく、途中で行き違いがあっても、怒ったりしないような・・ちゃんと信頼と安心を積み重ねた関係が居心地が良いです。

急激に作った物には歪が生まれ生れるものです。家だってせっかく高い買い物をしても、突貫工事だと新築の時の見た目は良いですが、時間が経つとあちこちに不具合が出てきて、残念ですが取り壊すしかなくなってしまう・・人と人、事業もそれと同じ感じに思っています。

お客様ともそんな風。急激に垣根を越えるようなのは心地が悪く。何度も通って下さるうちに「この前もご来店下さいましたよね」と話しかけてみたり、レジの時に「いつもありがとうございます」って言ってみるとか。じわじわです。お客様の方も、そういうスタンスが心地よいと思って下さっているようです。通って下さっているうちに、akaiitomaisonが大好きになって「この店って心地よいなぁ」って感じて下さり、疲れた時は会社を休んで「akaiitoでチーズケーキ食べて癒されよう」。

お互いを邪魔しない距離感、でも、心から思い合う距離感、そういうのが心地よい小さな店です。

心を込めるという魔法

ひとりでチーズケーキを焼いています。

「もっと美味しくなるために」研究や努力も日々重ねていますが、心を込める、愛情を込めるという事を一番大事に思っています。(子供の頃、母がお菓子を焼いてくれたように)お客様のお顔を思い浮かべて「このチーズケーキは、無花果が好きなあの方に喜んでいただけるように愛情を込めて」「この新しいレシピは、スパイスが多いからきっとあの方に喜んでいただけるように愛情込めて」とひとつひとつ心を込めて、全て手作りしています。アルバイトさんを雇って任せたり、どこかの工場に外注する事もなく、私が作っています。

よくご来店いただくお客様は、何年も何年も週1回くらいご来店下さっています。それでも飽きなくて「罪悪感のないチーズケーキ、すごく美味しい!もうこの味じゃなきゃ、この甘さじゃなきゃ美味しいと思えない」なんて仰ってくださっています。

昭和な感じで、今の「効率的に事業をする」という考え方のスタンダードからは、かけ離れていますが、誰が責任を持って作っているのかが見える事、そういう事も大事にして、チーズケーキを大切にご用意しています。
この私のnoteを読んで下さって「販売開始されたら、このチーズケーキを大切な人に贈りたい」そう思って下さっていると良いな。

ちいさな店の心のこもったチーズケーキの物語、これからも応援していただけると嬉しいです。


ひとりぼっちで毎日奮闘しています。 サポートありがとうございます。