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年の数だけ

2/1(木) 朝食後。アンドレアと二人で、noteに掲載された浮世絵を鑑賞したのち一首詠み、小学生レベルの会話を楽しんだあと、それとは別の記事をスマホに表示し、彼に見せながら僕は言った。
「kaekoikさん、和菓子の記事も上げたんだよ」


※この記事(上のリンクの記事ではなく、今あなたが読もうとしてくださっているこの文章)は、日本人の僕とイタリア人の友人アンドレアがイタリア語で交わした会話を、日本語に訳したものです。
ほぼ会話のみで構成されているので、どちらの発言であるかを明確にするため、僕の台詞にはL、アンドレアの台詞にはAを、「」の前に付けてお送りしたいと思います。


注意:今回、話が盛り上がり過ぎてしまい、うまく記事にまとめることができませんでした。そのため、以下、冗長です(約2,200文字)

A「ぉお、いいね。画像のドルチェなら、いくら見ても具合悪くならないだろうし」

L「...言っておくけど、昨日のあれは僕が悪いんじゃないからな。お前が...」

A「あ! この "餅" って、君が日本から持ってきたやつだろ。年始に食べるって言ってたけど...一体いつ作ってくれるんだ? もう2月だよ」

L「...それね、kaekoikさんにもコメント欄でその話題に触れられたんだけど、別にめんどくさいから作らないとか、そういうわけじゃないの」

A「じゃぁどういうわけなんだ」

L「毎年お年寄りが何人か、餅を喉に詰まらせて亡くなるんだよ。もしお前が...」

A「...俺はまだお年寄りじゃない」

L「それは分かってるけど、食べ慣れてないから信用できないの。お前が餅食って死んだら、僕は殺人犯になっちゃうだろ。殺しはやらないって決めてるから、それはまずい」

A「わけのわからない心配をするな。小さく切って食べるから大丈夫だよ」

L「あと、母さんはいつも網みたいなやつで焼くんだけど、ここにはないから...どうやって焼くのかわかんないし。パッケージには『煮てもおいしく食べられます』って書いてあるけど、餅なんか煮たら溶けてなくなりそうな気がする。ネットで加熱方法調べるのもめんどくせぇし...」

A「やっぱりめんどくさいんじゃないか」

L「...”A ciascuno il suo mestiere餅は餅屋” っていうし、既製品買ってくればよかったよね」

A「君は本当にばかだな...」

L「うるさい。ねぇ見て。いちご大福、すげぇ美味そう」

A「俺はジェラートが入ってる方がいい。これ、美味いよな。今週の土曜日にボローニャへ行くから買ってこようか。冬だし、溶ける前に帰ってこられる」

L「イタリアで売ってる雪見だいふくは美味くない。日本のに慣れてたら、こっちのなんか食えねぇよ」

A「...君の持ってきた餅で作れないかな?」

L「雪見だいふくを? 本文よく読めよ、餅は冷えると固くなるって書いてあるだろ」

A「餅を削って粉にして、水と砂糖を加えて加熱しながら練ればいいんじゃないか」

L「やだよ、めんどくせぇ... 大福は諦めろ。それより、ほら、次のパラグラフ見てみろよ。お前のことが話題になってるからw」

A「すごい、ドルチェの方にも雪の粉がかかってる。でも、俺のことが話題にって...ぁあ」

L「お前、子供のころ『アドニス』って呼ばれてたんだろ」

A「そうなんだ。あのころは...」

L「まぁ昔のことだけどな。それよりさ、僕、福寿草をイタリア語で何ていうか、kaekoikさんの記事で初めて知ったんだけど、ギリシャ神話だとアドニスの血がアネモネになったじゃん? それなのになんで福寿草が『アドニスの花』なの?」

A「さぁ... 赤い福寿草もあるし、アネモネと花の形も似ているから...そのあたりは曖昧なんじゃないかな」

L「ふーん...」

A「ねぇ、このパラグラフの最後、『あの手この手で異性を引きつける悪女のようではありませんか。私もそのような技を身につけたいものです』だって。君が異性として認識されているかどうかはともかくとして、俺たちを引きつけるのには成功しているよね、ブログで」

L「...後半はともかくとして、前半なんなの?」

A「だって『干支がひと回りちがう』からね。kaeが子供を相手にするとは思えない」

L「言っとくけど、お前だって相手にされてないからな。あと、僕は今年の誕生日が来たら四捨五入して30歳だから、子供じゃない」

A「そうだね。君は忍術もできるしね」

L「そうそう! 僕、火遁豪火球の印が結べるんだ! 火は吐けないけど...」

A「やってみて」

L「巳・未・申・亥・午・寅!」

A「WWW WWW WWW」

L「あ、でも、せっかく記事に辰の上生菓子が載ってるから、水遁水鮫弾を...」

A「もういいよ。次のドルチェは...豆?」

LSoia大豆だよ」

ASoia大豆... salsa di soia醤油と何か関係があるのか?」

L「うん。大豆は醤油の原料」

A「醤油ってこの豆からできてるのか?! 何で黒くないんだ?」

L「さあ? 腐ったら黒くなるんじゃないの」

A「醤油って腐ってるのか?!」

L「知らねぇよ。そんなことより、ほら、見てここ。『年齢の数だけ炒った豆を食べると1年中病気にかからない』って書いてある。昨日、僕が言ったことは嘘じゃなかっただろ」

A「君は『1月31日に、年齢を四捨五入した数だけ小さなお菓子を食べると...』って言ったけど... しかも昨日のカスタニョーレはそんなに小さくなかった...」

L「細かいこと気にすんな。とにかく、日本人はみんな同じようなことをやってんだよ」

A「健康を犠牲にして健康を手に入れるっていうのは...でも、確かに、『たくさんの豆を食べねばならなくなった私は、それだけでお腹の調子が悪くなりそう』って書いてある...」

L「な」

A「『な』じゃない。夜中の3時まで『気持ち悪い! 吐きたくない! 吐いたらどうしよう?!』って泣きながら苦しむのを介抱する身にもなってくれ」

L「だからそれはお前のせいだって言ってんの! 僕はカスタニョーレの、あの赤い色がアルコール入りの酒だって知らなかったもん。『料理に使われた酒はアルコールが抜ける』って言ったのはお前だからな」

ARosolioリキュールのせいでああなったんじゃないと思うけど...」

240201

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