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キンパっていいよね

 たまに食べたくなる、素朴な海苔巻きのキンパ(김밥)

 海苔の「キム(김)」とご飯・お米の「パㇷ゚(밥)」を合わせてキンパです。ちなみに、おむすびは「サㇺガㇰキㇺパㇷ゚(삼각김밥)」といいます(※)。直訳すると「三角キンパ」。覚えやすいですね。

주먹밥(チュモㇰパㇷ゚)ともいいます。주먹(チュモㇰ)は「拳(こぶし)」という意味。三角じゃないおむすびを言いたい場合はこちらを使いましょう。

 野菜が入って種類も多いキンパは、実は最強なんじゃないかと思うことがあります。

 この日も、そんな日でした。

 キンパは、粉食屋ブンシㇰチブ(분식집)と呼ばれる大衆軽食屋をはじめ、街の至る所で売っています。キンパ専門店もあり、新しいお店も次々に登場しています。

 昔から有名なお店にヨニキンパ(연희김밥)があります。

 ソウル西大門区(서대문구)延禧洞(연희동)を中心に展開するキンパ専門店で、イカを使った辛いキンパが有名です。

 以前から一度は食べてみたいと思っていましたが、わざわざバスに乗って買いに行くようなものでもないため(ごめんよ、キンパ)、なんだかんだでタイミングがありませんでした。

 この日お邪魔したのは、ヨニキンパ1号店(本店ではありません)。店内に食事スペースはなく、お持ち帰りのみ可能です。

 注文したのは、店名と同じ名前だから初めての時はとりあえず食べた方がいいよね「ヨニキンパ(연희김밥)」、名物だっていうし辛いものも食べたい気分なんだよね「イカ入りミニキンパ(어징어꼬마김밥)※」、本当はツナを頼むつもりだったけど「ベスト超おすすめ(BEST 강추)」の表示に釣られて買っちゃったよ「肉の煮付け入りキンパ(장조림김밥)」の3つです。

※イカ入りキンパは、ミニサイズと普通サイズがあります。

 注文すると同時に、アジュンマがキンパにごま油をぬって胡麻をふりかけてくれます。それを受け取りるんるん気分でバスに乗り、それにしてもここ数年でキンパの値段も高くなったなあと考えながら家まで帰りました。

 15年ほど前、韓国に来たばかりの頃は1,500ウォン(約150円)で買えました。1,000ウォンで売っているお店も見掛けたことがあります。ツナキンパやプルコギキンパは2,000ウォン。安くて手軽に食べられるキンパはお金のない学生時代に重宝しました。

 その頃の記憶が強いため、一番安いヨニキンパの3,500ウォン(約350円)でも高く見えてしまいます。ただ最近はこれも安い方で、4,000ウォン、種類によっては5,000ウォンを超えるものもあります。

 うーん、キンパ1本で500円かあ。2本で1,000円は高すぎる。

 ――と思っていましたが、家に着いてあらためてこの量を見ると、考えはすぐに変わりました。思った以上にボリューミー。これで11,000ウォン(約1100円)は安いぞ。

 さて味はというと、ヨニキンパは素朴でシンプル。これぞキンパ。基本中の基本という味でした。

 イカ入りキンパは思った以上の激辛でした。しかもその辛さはジンジンと後を引き、なかなか去ってはくれません。少々ピリ辛なものを・・・程度の気持ちであればやめた方が無難です。ミニにして良かった。普通サイズだったら食べ切るのに苦労したと思います。それでも、このパンチのある刺激的な甘辛味はここでしか食べられない(多分)と思うので、キンパ好きな方でソウルに来られた際はぜひ一度お試しを。

 肉の煮付け入りキンパは超おすすめするだけあって、一番おいしかったです。ゴボウやキュウリ、人参などの香りと食感が楽しい野菜に、甘じょっぱく味付けされた豚肉。そこに爽やかなエゴマの葉っぱの風味が加わって、複雑であるも調和の取れたキンパでした。

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