見出し画像

韓国料理#28.オリタン(鴨鍋)~光州のご当地グルメをソウルで~

 韓国では、鴨/アヒル(오리)を使った料理を比較的よく見掛ける気がします。調理方法は様々で、燻製にしたり鉄板で焼いたり、一羽丸ごと使った水炊き(백숙)やピリ辛なスープで煮た鍋料理(전골)もあります。

 なかでも今回ご紹介するのは、オリタン(오리탕)です。

 オリタンは光州(광주)地域のご当地グルメです。鴨を長時間煮込んで作った鍋料理で、エゴマをたっぷり使った濃厚スープが特徴です。光州に行ったら必ず食べるべき光州五大料理(광주 오미)の一つにも挙げられ、現地にはオリタン通り(오리탕 골목)という場所があるほど有名な料理です。

ヨンミオリタン(영미오리탕)

 光州まで行けない場合は、ソウル市広津区(광진구)のヨンミオリタン(영미오리탕)で味わうことができます。光州に本店を持つ名店で、地下鉄5号線の君子駅(군자역)からは歩いて5分程度で到着します。

◆付け合わせ(반찬)

 オリタンを注文してまず並んだのが、付け合わせ4種です。

 甘~いじゃがいもの煮っころがしに、シャキシャキ食感が特徴の豆もやしの和え物、食事の合間のアクセントにちょうどいいさっぱりとした酢の物、そしてどんな料理にも欠かせない定番の白菜キムチです。

◆オリタン(오리탕)

 そしてオリタンの登場です。

 鍋が運ばれて来たその瞬間、エゴマの香ばしい香りが一気に立ち込めました。スープの下にはぶつ切りにした鴨肉がたっぷり入っていて、その上にはこれでもかというほどに大量のセリが乗っていました。

 少しずつしんなりしていくセリを横目に、スープを一口・・・。

 鴨の出汁がしっかりと効いたエゴマのスープは、思った以上にクリーミーで濃厚でした。すべてのうまみを一身に背負ったその味は、鴨肉を食べる前からすでに満足感を与えてくれます。またここに使われているだろうエゴマの量を考えると、贅沢な気分にすらなりました。

 お肉は長時間煮込まれてただけあって非常に柔らかく、ほろほろと簡単に骨から外れました。鴨肉特有の臭みも一切感じません。

 そんなお肉に負けない存在感を発揮しているのがセリです。シャキシャキとした食感がアクセントとなり、また濃厚がゆえにしつこいと感じてしまいそうなスープを、セリ独特の爽やかな香りが見事にカバーしてくれました。

 鴨肉、エゴマ、セリの調和が素晴らしい。

 お肉はこちらのタレを付けて食べるといいそうです。

 酢が入ったコチュジャンにエゴマをたっぷり混ぜたもので、鴨肉の臭みを消す役割もあるそうです。肉の味がより引き締まり、そのまま食べるのとはまた違った味わいになります。

◆◆◆

 個人的には、ビジュアルと味どちらを取ってもこのような鍋料理は初めてで、それまであった鍋料理に対する認識を変えた一品です。辞書でオリタン(오리탕)と調べると「鴨スープ」と出てきたりしますが、どうもしっくりこない・・・。新しいジャンルの料理な気がしました。

 機会がありましたら、是非一度お試しください。


この記事が参加している募集

ご当地グルメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?