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今だから振り返ることができる『私が指導主事を「辞めたい」と思っていた頃の話』

あるワードを検索したときに、一緒に表示される検索候補となるキーワードのことを「サジェスト」と言います。
Google検索で「指導主事」と入れると、サジェストに「なるには」、「年収」、「メリット」などが出てきます。

中には「偉そう」というのがあってちょっとドキッと・・。
確かに指導主事という立場を「勘違い」して、高圧的に「指導助言」をする方もいらっしゃいますが、正直言って、そんな指導主事の話は聞かなくていいです。
でも、そういう私も気を付けないといけませんね・・・。
指導主事は先生方の「伴走者」であるというのが私の信条です。

さて、本題。
このサジェストの中に「辞めたい」というのがありました。
私も指導主事を辞めたいと思ったことは一度や二度ではありません。

辞めてどうするかということを考えていたわけではありません。
思い返してみると、特に小学校教員から指導主事になって1年目は毎日のように思っていましたね・・・。

特に大変だったのが「調査集計」の業務でした。
この機会に当時のことを思い返しながら、私がなぜ「辞めたい」と思ったのかを記していきます。
ただ、それだけだとただの指導主事のブラック度アピール(?)になってしまうので、指導主事4年目になった今、当時の自分に伝えたいことも一緒に・・・。

<目次>
1.分からない、慣れない「調査集計」で睡眠不足とモチベーション低下のダブルパンチ
2.当時の私に伝えたい「経験を積んだことで分かる視点」&「事前の準備で集計効率化」
3.1年目の「辞めたい」と4年目の「辞めたい」は違う

1.分からない、慣れない「調査集計」で睡眠不足とモチベーション低下のダブルパンチ


指導主事になって1年目に各種調査の担当を任されました。
教育委員会が学校にお願いする調査は多岐にわたりますが、指導主事は主に「教育課程」と「生徒指導」に関する調査を集計します。

私は小学校勤務の時に校内分掌で「教務」「生徒指導」の経験がほぼなく、17年間、ほとんど校内研修を担当していました。
「教育課程」や「生徒指導」に関する調査については、指導主事になってから初めて目にするもので、まず、その見方が分かりませんでした。


まさにこのイラストの状態・・・


例えば、「中学校保健体育科の「武道」の実施学年に第1学年が入っていない」という学校があった場合。
武道は第1学年、第2学年で必修、第3学年は任意となっています。
調査で届いた数値をチェックして時数が計上されていない学校には指導が必要となりますが、まずは「入力忘れ」を疑います。
もし、万が一、本当にやっていないということであれば、市町村教育委員会を通して指導するという流れになるのですが、
ずら~~~~~っと並ぶ数字の列から、その部分を見つけ出すには「眼」と「経験」が必要になります。

もし、指導主事になる前に教務の仕事をしていたなら、そうした「眼」や「経験」があらかじめ備わっていたのかもしれません。
私はそうした「眼」も「経験」もないまま指導主事になったので、調査項目1つ1つの意味を学習指導要領や文部科学省の通知、事務連絡などを調べて知るところからのスタートでした。

さらに、調査結果は必ず公表しなければいけないので、集計完了の「リミット」があります。
その「リミット」に間に合わせるために、ほぼ徹夜で数値を確かめるなど、著しい睡眠不足になりました。

また、ずっとパソコンに向かって仕事をすることは、私が思い描いていた指導主事としての仕事のイメージと大きくかけ離れていました。
「指導主事って何のためにいるんだろう?」という気持ちになり、仕事に対するモチベーションが低下します。

調査集計の業務が1年中あるわけでありませんが、時期によっては複数の調査が重なることもあります。
「睡眠不足」と「モチベーションの低下」のダブルパンチに見舞われ、自らやりたいと思って志した指導主事を「辞めたい」と思っていた時期がありました。

2.当時の私に伝えたい「経験を積んだことで分かる視点」&「事前の準備で集計効率化」

今、振り返ってみると、よくあの時辞めなかったなと・・・。
「自分で自分を褒めてあげたい」です。
おそらく心はかなり蝕まれていたはずですが、家族の支えや昔の同僚の励ましなどで何とか乗り越えられたのでしょう。
当時の私に伝えたいことが2つあります。

1つ目は「経験を積んだことで分かる視点がある」ということです。
2年目になり、私の後輩である新任の指導主事が調査集計に困って相談に来たとき、衝撃を受けました。
1年間、必死の思いで何とかこなしてきたことが「眼」や「経験」になっていたのを強く実感したからです。

先輩指導主事が「2年目になったら全然違うから」と言っていた意味がよくわかりました。
もちろん、2年目になったから全ての業務が見えるようになったわけではありません。
でも、1回苦労してやった業務のことは確実に自分の中に蓄積されているんだということを感じた瞬間でした。

2つ目は「事前の準備で作業効率化」です。
1年目に調査集計をしたときは、全ての市町村教育委員会から調査が届くのを待ってから、集計業務を始めていました。

一見そちらの方が効率が良さそうですが、送られてきたファイルを開いて、集計用のフォルダを作ってデータ格納し、その後印刷して・・・といった集計の最初の段階は事前に準備しておくことができます。
そもそも調査集計をやったことがなかった私はこのことに気が付かなかったので、まずスタートの段階から丸1日分くらいの時間をこの作業に費やしていました。
事前の準備をして、市町村教育委員会が〆切に間に合わせるために頑張って送ってくれた調査は、片っ端から動かす。
当時の自分に伝えてあげたいアドバイスです。

3.1年目の「辞めたい」と4年目の「辞めたい」は違う

指導主事1年目の「辞めたい」はとにかく辛い業務から逃げ出したい、という気持ちでした。
体力的にも精神的にもハードな1年間だったと思います。

今、4年目になって当時のことを振り返りながら、今の自分を見つめ直すとやはり心のどこかで指導主事を「辞めたいなぁ」と思うことがあります。

ただ、それは1年目の時とは違って、指導主事として多くの経験をしたことを別の職種で生かしたいという気持ちです。

指導主事になって多くの人と出会いました。
指導主事になって多くの学校の様子を見てきました。
その経験を、指導主事としてではなく違う形で生かすことはできないか。

学校でいえば、まだミドルリーダーと言われる年齢。
これからの自分のキャリアを見つめ直しながら
いつか指導主事を「辞める」決断をするんだろうなぁと考えているところです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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