俳句「桜/行く春」(三句)
つい先週までは仕事に向かう為に通っていた道。
退職した今は、まったく違う心持ちでいる。清々しさと淋しさが半々。
心なしか桜さえ泣いているように見える。
取引先からの帰り道。普段は見せないような顔して桜を見る同僚に、思わずドキドキした……という妄想……
退職してまだ3日しか経っていないけど、職場の賑わいや他愛のない会話がもう懐かしい。
あの空間にいた自分自身を私は好きじゃないと思っていたのに、今は愛おしく感じる。
時間は残酷だと思う。
その最中にいる時は幸せを感じにくく、振り返った時に大切なものを手放してきたような寂しさに襲われる。
春を惜しんだ昔の人も、過ぎ去った時が一番美しいと感じたのだろうか。
今のこの時間も感情もすべては贈り物。
バトンをつないだ後の走者の、倒れ込むような気だるさと解放感。
この感覚もしばらくすれば忘れてしまうから、せめて俳句に託してタイムカプセルのように保存しておきたい。
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