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イジメられのカリスマ2 〜娘もイジメられた〜 第拾弐話

あの頃のトトは自殺を失敗したのではなく誰かに助けられた?

そして問いかけられた…

「死ぬ事に成功して嫌な事から逃げきれた時をはっ   
 きりと想像して見て。

 君は良くても、死んだ君の姿を発見する家族の気  
 持ち・・・

 君の死んだ事を聞かされた周りの人達の気持
 ち・・・
 
 1 妹が帰ってきて発見してしまったらその先、
   妹は幸せな人生を歩んで行ける?
   妹は兄が大好きで、何で自分が気付いてあげ  
   られなかったんやろう?と自分を責め、
   夜な夜な兄の死体の夢にうなされ、
   トラウマになり、心に一生の傷を負って
   生きていく。

   明日からまともに学校にも行けず、
   イジメで亡くなった子の妹として周りから
   見られ、自分は何もしていないのに
   同情される。

   自然と友達も気を遣い、気がつけば一人に
   なっていて、本来君が生きていたら両親から     
   君と同じ位の愛を妹も受けていたはず
   やのに、君が亡くなる事によって、
   親は数年間、君に愛を注ぎ、妹が学生時代と 
   いうトンネルで彷徨う事になり、
   それに耐えきれなくなり、兄と同じように
   人生を絶つ手段を選ぶかも?
   今は楽しく生きているのに・・・ 

          可哀想・・・


2 ご両親が一生懸命家族を守る為に仕事をして、  
  疲れて帰ってきて、お母さんがご飯の支度を
  して、お父さんが部屋に入ってきて君を発見  
  してしまったらその先、ご両親は幸せな
  人生を歩んでいける?

  君達を幸せにしようと仕事をして、疲れて
  帰ってきて会話が無くても毎日元気な顔を見る
  だけで幸せやったのに、息子が自ら命を
  絶ってたら・・・

  お互いが自分を責め合い、まともな会話も
  交わせなくなり、仕事も手につかず、       
  犯人探しに没頭し、犯人が見つかり、
  裁判をおこし勝てたとしても、息子は戻って
  こない事に気付き、受け止める事が出来ず
  路頭に迷う・・・

  君が病気や事故にあったり、事件に巻き込まれ 
  たりして亡くなったとすれば、また話は違う。  
  自ら命を絶ったんやから。

  何故、相談してくれなかった?
  自分達の育て方に問題があったんやと
  自分達を責めるんやから・・・ 

         一生・・・

  今まで家族で行った楽しかった思い出の
  場所も、悲しい思い出の場所になり、
  田舎にも帰れなくなる・・・ 
  何処にも行きたくなくなる・・・
  この家にもおりたくなくなる・・・

         一生・・・

  ご両親は真面目で、深い欲も無く、自分達の命  
  が尽きるまで、ただ、君達と幸せに暮らしたい 
  っていう普通の夢も叶わない・・・

  君は、ご両親の事が嫌い?          
  ご両親は君が病気になった時や、
  誕生日に何でも好きな物を買って急いで
  帰って来てくれてた・・・

  嫌いやったらそんな事するかな?

  普通の幸せっていうのが一番難しい・・・

         可哀想・・・

3 お爺ちゃんや、お婆ちゃん、親戚の叔父さん達 
  が、君が自殺したと聞いた後幸せな人生を歩ん 
  でいける?

  皆がご両親と同じ気持ちになって自分を
  責めるよね?

  君に関わった人達皆が、
  幸せじゃなくなるよね。

        皆、可哀想・・・

・・・

何より君が一番可哀想・・・

ここで自ら命を絶てば、家族や大切な人が今後どうなるかも分からない。

分かりたくなければ、それでいい・・・ 

でも、それでいいの?

本当なら傍にいてあげれるのに、君はそれを自ら拒むんやね?

君が居なくなれば確実に周りの人達は不幸になるよ。

君が生きているだけで、君から生まれてくる子供や、周りで困っている人を助け、少しでも命を増やしたり、延ばしたりする事が出来るはず、それに伴い幸せな事が増えるんやから。

その分大切な人達が亡くなって行くのを見届けないといけないという現実もあるけど・・・。

そこでまた絶望に堕ちるかもしれへんよ。

でもその時は年を重ね君もその絶望を受け入れれる器を手にしてるはず・・・。

さあ、どうする? もう一度死ぬ? 

次は助けへんよ。」

って言う話をしながら、あの頃のトトとサヨナラをして、ジィジの家に歩いていった。

二階へと上り、仏壇がある部屋に入り、二人で
トトのジィジとバァバに線香をあげ手をあわせた。

「さっきの言葉、この人に言われてんで。」と
指を指したのは、ハナの身長よりちょっと小さい、大きな日本人形やった。

その人は大きなプラスチックの入れ物に入っていて
寂しそうな、楽しそうな、哀しそうな、嬉しそうな
優しい顔をしていた。

そういえばジィジの家で遊んでる時、最初は怖かったけど、途中から一緒にお母さんゴッコしたりして
よく話しかけていた。

ハナの夢にもたまに出てきて遊んでた…

…。

この人はハナの事も守ってくれてたんや…

手首の痛みもひいていた…

「ありがとう…。
 生きるから・・・
 どんなことがあっても生きるから! 
 もう死んだりせーへんから・・・
 トトとハナを守ってくれて…
 ホンマにありがとう…。」

あの頃のトトも一緒に泣いていた…

夕日に照らされ泣きじゃくるハナをトトは優しく抱きしめ、日本人形は優しく微笑んでいた…


参話へ続く…



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