マガジンのカバー画像

ドイツ詩を訳してみる

41
運営しているクリエイター

#バロック

ひよこのるる訳詩目録

2018年11月以来発表してきたぼくの訳詩約70編の、作者別の目録です。もし気に入った作品を見つけたら、同じ作者や時代の他の作品も読んでみていただけたらとてもうれしいです。

 *

作曲家・ミュージシャン別の索引も用意しております。

 *

以下、作者の生年順に並べています。

Marcus Valerius Martialis/マルクス・ウァレリウス・マルティアリス(ローマ)
c.40-c.

もっとみる

グリューフィウス「重病の涙」(ドイツ詩を訳してみる 17)

Andreas Gryphius, Thränen in schwerer Kranckheit (1640)

自らの感覚すら分からず 溜め息をつきつき
昼も夜も泣き暮らす。 千の痛みに耐えつつ
さらなる千の痛みに怯え 心の強さは消え
精神はやつれ 両手はだらりと垂れる。

頰は青ざめ、 爛々たる目の輝きも
燃え尽きた蠟燭の火のように 失われた。
三月の海のように 魂には嵐が吹きすさぶ。
何なの

もっとみる

グリューフィウス「祖国の涙」(ドイツ詩を訳してみる 11)

Andreas Gryphius, Thränen des Vaterlandes / Anno 1636 (1643)

「1636年」という副題がついている。三十年戦争(1618-1648)のまっただ中に書かれた詩。

われらは今や完全に いや完全以上に破壊された。
無分別な諸民族の群れや 荒れ狂うラッパや
血みどろの剣や 轟く大砲のせいで
汗と熱意と蓄えが 底をついてしまった。

塔は燃え上

もっとみる