マガジンのカバー画像

ドイツ詩を訳してみる

41
運営しているクリエイター

#秋

ひよこのるる訳詩目録

2018年11月以来発表してきたぼくの訳詩約70編の、作者別の目録です。もし気に入った作品を見つけたら、同じ作者や時代の他の作品も読んでみていただけたらとてもうれしいです。

 *

作曲家・ミュージシャン別の索引も用意しております。

 *

以下、作者の生年順に並べています。

Marcus Valerius Martialis/マルクス・ウァレリウス・マルティアリス(ローマ)
c.40-c.

もっとみる

リルケ「秋の日」(ドイツ詩を訳してみる 23)

Rainer Maria Rilke, Herbsttag (1902)

主よ、実に良い夏でした。今こそ
あなたの影を日時計の上に落とし
草原に風を放ってください。

最後の果実らには 満ちよと命じ
あと二日だけうららかな日を恵み
一気に熟させ たわわな葡萄の房に
最後の甘い汁を注ぎ込むのです。

いま家のない者は 永遠に建てないまま、
いま孤独な者は 永く孤独なままだろう
夜も眠れず 本を読み

もっとみる

ヘッベル「秋の絵」(ドイツ詩を訳してみる 20)

Christian Friedrich Hebbel, Herbstbild (1852)

見たこともないような秋の日だ。
息をひそめたような静けさのなか
ここかしこのあらゆる木から
美しい果実の落ちる音がする。

おお 自然の祝祭に手を出すな!
これは自然みずからによる収穫なのだ。
太陽の光のやさしさに耐えかねたものだけが
今日 木の枝を離れて落ちてくる。

Dies ist ein Herb

もっとみる

ゲオルゲ「高まりゆく年の中で、庭の香りは……」(ドイツ詩を訳してみる 19)

Stefan George, Es lacht in dem steigenden jahr dir (1895)

高まりゆく年の中で、庭の香りは
なおもほのかにあなたに笑いかけ、
風にたなびくあなたの髪に
木蔦と九蓋草を編み込む。

風にそよぐ種子は なおも黄金のようだ、
おそらく前ほど高く豊かではないけれど。
薔薇の花は なおも愛らしく挨拶してくれる、
その輝きもいくらか色あせてしまったけれ

もっとみる