里山の　風の通り道では
母さんの　呼んでいる声が
聞こえます

透き通って　眩しい
ソーダー水のような　声です

ボクが　呼んでも
返事は　帰ってきません
竹が　サヤワワ　と
鳴るだけ

でも　耳を澄ますと
母さんの　笑い声が
耳に　響いてきます

母さんが　いつも
幸せな事が　あった時の
高く　空の雲まで
届くような　笑い声
籠の　文鳥も　
喜んで　いっぱい　さえずります

きっと　天国で　楽しいことに
出会っているのに
違いありません

母さん　今度は
もっと　早く　お医者さんに
行こうよ
そうすれば　ずっと　長く
元気で　居られたよ

母さんが　編んでいた
手袋　まだ　そのまま
裁縫箱に　しまってある

ボクの　誕生祝い
だったんだよね。

あれから　誕生日が
巡ってくるたびに
母さんからの　プレゼントを
今も　探してしまう

里山の　風の通り道では
母さんの　呼んでいる声が　聞こえる
そこは　時間が　止まり
やさしい　光が照らす道だ

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