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冬の風物詩 ~冷たい手オバケ~

冬になると、主婦の手は冷たくなる。
ずっとソファに座りブランケットの中に手を入れていられれば良いが、それでは家庭が立ち行かないので、家事をする。そして、冷たくなる。

その冷たい手に保湿剤をたっぷり広げ、お風呂上りの子供の背中や肩に触るわけだが。

「冷たいっ」
と笑いながら逃げる我が子が、どうにも面白い。

悪い母である。
お風呂上りのホカホカの身体に冷たいものをあてられるという苦行は簡単に想像できるのに、やめられない。
それをやられたら自分だったら怒ってしまうだろう。だが、面白くてやめられない。

狭い場所で逃げる子供と、「逃~げ~る~な~」と悪い声と顔をして、冷たい手オバケをワキワキと動かす母。
大人の長いリーチを活かしてすぐに捕まえたときの、
「冷たいー!」
とわめく我が子が、これまた面白カワイイ。

一緒にお風呂に入る年齢はもう終わった。
小学生に上がると同時に私が宣言して終わらせたわけだが、最後に一緒にお風呂に入った時の思い出が一切残っていないのがとてつもなく寂しい。
今はこの冷たい手オバケに変わったのだが、この冬の風物詩も、きっともうすぐ終わるのだろう。

今はとてつもなく手がかかり、心配事だらけの叱る事だらけ。
イラつかない日はない。
しかし、甘えるような可愛い顔には、まだ毎日お目にかかれる。

母親業はまだまだ続く。
甘える子どもは、続かない。
いつかこの冷たい手オバケもお役御免となるように、面白可愛い姿も、見れなくなるのだろう。

冷たい手オバケは、せめて背中くらいは長く担当できるようにと願いつつ、今日も出現する。


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