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【読書①】〜『多賀少年野球クラブの「勝手にうまくなる」仕組みづくり』を読んで〜

今回は読書感想文です。笑
これまでも野球の指導に繋がる多くの書籍を読んできましたが、読んだ書籍についてnoteに初めて投稿します。

ちなみにこの4月から毎日、勤務時間開始前の職場での朝の時間に、読書を再開しました。

この4月からもうすでに何冊か読みましたが、最近読んでいた『多賀少年野球クラブの「勝手にうまくなる」仕組みづくり』という本を今日読み終えたので、その感想を思いつくがままに書こうと思います。

ストレスをなくす

本書の中で

「まずは子どものストレスを取り除き、次に親のストレスを取り除き、指導者のストレスも取り除かせてもらう」

とありました。

子どもたちの(精神的な)ストレスをできるだけ減らし、笑顔でのびのびとプレーできるように雰囲気づくりや言葉掛けを大事しているそうです。

監督曰く、子どもたちのストレスをなくしたら、保護者のストレスも指導者のストレスも自然になくなったという思わぬ効果が現れたとのこと。

面白いものですが、なんとなくわかるような気がします。

また、ストレスを減らすというのは、精神的に追い込むような指導をしないというものであり、体力を消耗する練習を減らすわけではありません。

肉体的に苦しい練習や厳しい練習をいかに明るく楽しくやり切るかが大切だということだと思います。

監督曰く、精神的に追い込む練習をしなくても、十分成長するそうです。

本書では

「逆に指導者が子どもたちのストレスをなくすことに集中していったほうが、いいアベレージでずっと成長していってくれる。追い込むような練習などしなくても、間違いなく育成はできる。」

と述べており、なるほどな!と感じさせられました。

魔法の言葉掛け

本書を読むと、「多賀」の指導者の方々は子どもたちへさまざまな言葉のアプローチをしていることが感じられます。

例えば、遠くに投げられるように練習する時は、投げ方やフォームを教えるのではなく、「あのネットを越えるように投げてみよう」と言ったり、ボールをグラブで捕る練習では、捕り方を教えるのではなく、「グラブで落ちてるボールを拾ってカゴに入れていこう」と言ったり、リードの構えだと「自分の体の真下でホンマに地面が割れたようなつもりで、左右どっちにも行けるような感じで構えてみ」と言ったり。

人それぞれ、子どもによって感覚は違うもので、さまざまな言葉でアドバイスすることで、その子に合った感覚で技術を習得することができるということ。

それに何と言っても、練習が“球遊び”のようなものなので、楽しい
そして、楽しいからさらに頑張る!という循環になるということ。

意識を外に向けさせて、無意識のうちに無意識で技術を習得できるような声がけで、素晴らしいなと感じました。

他にも、「挨拶をしなさい!」ではなく、例えば

「今日は遠征に来た。このグラウンドには4つのいろいろな土地で育った子どもたちが集結してる。お前らは滋賀県の中で育っているけど、全然違うところで育った子は全然違う言葉やし、全然違う性格なんや。今日はそういう子らとどれだけ友達になれるかが大事だぞ。でもな、急に喋りかけたらびっくりしょうる。だから、喋る前にまず『おはようございます』と言ってからいろんなことを聞いてみぃ。」

というように話すと、自然とあいさつをし、相手と喋り、その日のうちに仲良くなり、帰る際には「じゃあねー」「ばいばーい」と自然とあいさつするとのこと。

これこそが「あいさつ」の本質であり、「あいさつのできる子」を自然と育てる声がけであり、あいさつを通してコミュニケーションをとる能力を育てる良い声がけだなと感じました。

ただ「やらせる」のではなく、「やりたくなるように導く」巧みな言葉掛けだなと思います。

教育者として、改めてこれが「本当の教育」だなと感じました。

また、感情をすぐに乗せてしまうという方は、本書ではまずはずっと我慢して黙り込んでおくことから始めなければならないと述べています。

それからの言葉探し、言葉のチョイス

これをするようになると、怒りの感情が薄くなっていき、冷静になり、子どもを褒めることが増えていくという。

これを読んだ際には、以前コーチングに関する研修でアンガーマネジメントについて学んだ際に「怒りの感情は6秒耐えると収まる」と聞いたことを思い出しました。

監督の脳の中の余白

本書では、

「監督は脳の中に30%の余白をつくって、その部分で次のことや新しいことを考える」

ということを述べています。

私は監督をしているわけではないが、今こうやって仕事をしていると、このことはよくわかります。

自分自身に心のゆとりがないと、仕事をしていても、この先のことがイメージできないし、新たな学びを求めなくなったり、学びに気づかなくなったりする感覚があります。

本書でも

「監督が常に100%になっているとチーム全体のことが見えず、運営のことや保護者との関係性などにも目が向かなくなり、結局はうまく回らなくなってしまう」

と述べられているように、まさしくその通りだと感じます。

指導者、特に監督は「心にゆとりを」ということだと思います。

みんな仲間、グラウンドは「ランド」

他には、

「野球をしている人はみんな仲間です。相手チームも仲間、審判員も仲間、大会の役員も仲間、観客もみんな仲間なんです。」

という言葉を聞いてから、相手選手のナイスプレーを自然と褒めるようにしたら、チームに対する悪口やネット上での批判がなくなったそうです。

本書にあるように

「グラウンドは戦場ではない。『ランド』」
「グラウンドをディズニーランドのような場所にすること」
「みんなが共通して野球という競技を楽しむ場所であって、その中に『敵』をつくる必要はない」

というような考え(指導者の心のゆとり)は非常に大事であり、そっちの方に舵を切っていると思いがけない効果が現れるのではないかなともと感じました。

さいごに

他にもまだまだたくさん、本書からの学びはありましたが、文字数が増えてきたので、これくらいにしておこうかと思います。

私もいずれは、「多賀」のように、

世界一楽しく! 世界一強い!

チームを作りたいものです。

子どもへの接し方や、野球というスポーツに対する指導の考え方、それ以外にも参考になる書籍でした。

小中高生に野球を指導している方はもちろんのこと、子どもと関わる仕事についている方や、野球というスポーツに携わっている方々にも、ぜひ読んでいただきたい本です。

よければ、ぜひ!

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