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【授業③】〜2年目以降のチャレンジ/その1〜

前回の続きです。

1年目の課題

教員1年目の授業では、私の中では、大きな課題が3点ありました。

(1)授業スタイルが「塾」のスタイルに近いと、知識の伝達が多く(話を聞いて黒板を写しているだけで受動的)、生徒が「主体的に活動している時間が少ない」ということ。

(2)生徒の興味関心を引き出すような導入・展開・活動をやったり、黒板を使って丁寧に板書して授業をしたりしていると、「授業が進まない」ということ。

(3)地歴公民の授業をしていると特にですが、「人物」「事件」「戦い」などいろいろワードが出てきますが、生徒にとっては「イメージがわかない」ということ。

その課題を克服するために、2年目から授業を一新し、以下のことをチャレンジしました。

(1)「主体的に活動している時間が少ない」ことに対して


① スタンプポイント制の導入

まず、平常点の付け方を変えました。

スタンプポイント制」を導入しました。

これは本校の経験豊富な年配の先生がやっていた方法を真似てみました。
私が赴任する数年前に、行動心理学(だったかな?)を活用した授業展開をする先生を講師として招いた研修が本校で行われ、その年配の先生もその研修での内容を取り入れて、生徒の取り組みが非常に良くなったとのことでした。

どういうシステムかというと、平常点を「スタンプシート」に「ポイント」として貯めていくというものです。
挙手して発言して「1ポイント」、空欄を埋めて前に持ってきて採点してもらい全部できていたら「1ポイント」、確認テストに合格したら「3ポイント」、満点なら「5ポイント」、授業プリントの評価ごとに「●ポイント」といった感じです。
そのポイント分、スタンプシートにスタンプを押していきます。

生徒は不思議とポイントを貯めよう貯めようとします。
挙手して発言するようになり、積極的に教科書や資料集を見て空欄を埋めるようになり、確認テストに合格しよう満点を取ろうとするようになり、授業プリントの評価を上げるために授業を必死に聴き、ひたすらメモをとるようになります。

そして、スタンプシートに押されたスタンプが増えていき、嬉しくなります。
さらに、スタンプシートが2枚目、3枚目となると、達成感が生まれます。

学期終わりや1年間の終わりには、スタンプの多い生徒に表彰もします。
これまで表彰される機会が少なかった生徒たちが多いので、さらに達成感が生まれていると思います。

日頃われわれが貯めている「Tポイント」や「楽天ポイント」などと同じです。笑
みなさんも貯まると嬉しいですよね? 私もです。笑

ただこれは完全に「外発的動機づけ」だなとも思います。
本当は「内発的動機づけ」を行いたいものです。

ただ、これで今まで前向きに勉強してきたことがない生徒が一生懸命取り組むようになったのであれば、それはそれでいいのかなとも思っています。
そして、各生徒の中で、いずれ「外発的動機づけ」から「内発的動機づけ」に変わればいいかなと。

② 自習ノートの提出

次に自習ノートの提出です。

各学期の終わりに、試験範囲を勉強した自習ノートを提出を求めました。
これは任意です。やった生徒のみ提出です。
(もうすでに記憶から消えかけているのですが、1年目もやってたような気がしてきました笑)

これもページ数によってポイントをスタンプで押していきます。

まずは質より量
量をやることで質が良くなっていきます。
提出ページ数のノルマを課しているので、まずは生徒たちはスタンプ欲しさにそのページ数を超えるように頑張ります。
経験を積んでいくと、そのノルマを超え、さらにわかりやすく覚えやすくまとめられるように、自分に合うスタイルでまとめるようになっていきます

これまでで一番すごかったのは、Tくんの、ひと学期で260ページです。
Tくんは、前の定期試験が終わってから毎日2〜3ページずつ復習としてノートまとめに取り組み、テスト前には追い込みで何十ページも取り組んだそうです。
驚きを通り越して、感動しました。

テスト勉強が必ずしも結果に結びついてこなかった生徒が多いため、テスト勉強を頑張って取り組んだことをスタンプという形で評価してもらえるだけでも嬉しいようです。
ですが、不思議と自習ノートの提出に取り組んでいる生徒は、良い点数をとるようになっていきます。

③ 話し合いやグループ活動の授業の実施

つぎに、話し合いの授業やグループワークの授業です。
主体的に取り組む授業といったら、まず思い描くものです。

埼玉県の高校では、東京大学と提携し、「知識構成型ジグソー法」の授業を積極的に取り入れてきました。

正直最初は、初任研の課題としてやらされていただけの感覚でしたが、生徒の取り組みを見ると、非常に面白い授業方法です。
ここでは詳しい授業方法は割愛します。
興味がありましたら、調べてみてください。

私も、このジグソー法も積極的に取り入れました。
年に数回は実施し、多い年には10回以上行った年もあります。

ただ、ジグソー法のデメリットは、テーマを考えるのが難しい、授業プリントを構成・作成するのに非常に時間と労力がかかる、授業が進まないなどのデメリットがあります。

ですが、生徒の授業への取り組みは非常に良くなるので、頑張ってプリントを作りました。笑

授業が進まない対策として、ジグソー法の授業を行うタイミングを、通常授業のちょうどその内容をやるタイミングに合わせて、予習や復習になるようにし、通常授業との繋がりを作り、さらにジグソー法のプリントに多くの知識を入れ、通常授業では触れることができないような内容を加えるようにしました。

あと、もう一つデメリットがありました。

それは50分授業では、時間が全く足りないことです。

本当はしっかりとやりたい「クロストーク」という時間を削って、なんとか50分に詰め込んで終わらせていますが、未だに解決できていません。

④ ここ数年で取り入れたこと

最後に、ここ数年で取り入れてみて良かったことです。

7年目から取り組んでみたことですが、「隣の人と考えてみよう」という時間を積極的に作りました。

時間的には1回20秒程度です。
これも生徒たちにとっては、活動している感じになるらしく、思ったよりも効果を感じています。

また、今年度8年目は、現代社会を初めて担当したこともあり、議論・意見交換形式の授業を行ってみました。

「生命の誕生とは」「死とは」「もし余命●ヶ月と言われたら」などといった生命倫理の内容や、「原発再稼働賛成か反対か」「死刑制度を廃止すべきか」といった内容を行いました。

これも、生徒が書いた授業の感想文などを読んでみると、自分の考えとは違う意見をクラスメイトから聞くことができて、人によっていろいろな考え方を持っているのだと考える良い機会になったようです。



少し長くなったので、一旦これで終わろうと思います。

また続きは、今度投稿します。

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