「どうしても生きてる」朝井リョウ

朝井さんの本の題名って、いつも読み終わったときに本を閉じてもう一度表紙を見たときに、じわじわと題名の意味が身体中に広がるのをめちゃくちゃ感じる。

今回も誰もが感じたことのある、汚い悲しいできれば知らないふりをしたい気持ちがたくさん書かれていてそれを怖いもの見たさで読んだ。

余命とか病気とかじゃなく死んじゃいそうな人や死にそうな人の人生がたぶん続いていくのを感じる短編集でした。
終わるのも悲しいけどそれを越えて続いていくのも地獄だろうなって。

人はそんな簡単に死なないとか命は儚いとかを言ってるんじゃなく、投げ出せないうまく逃げられない生きるのがちょっと下手な人はどうしたって逸らさずただ少しずつでも進んでしまう。

それを強いとか正しいとかいう言葉で表せるほど現実は物語みたいじゃない。

けっこう救いようなくて自分の物語残り何ページとかめくれないからどこが絶望の山場か分からない。

それっぽい今っぽい先輩ヅラした生き方のコツみたいなものが定期的に生まれるけど一瞬で消えて「後悔しない生き方をしよう」レベルの擦りきれそうなお言葉がいつまでたっても沁みてむかつく。

罪悪感なく逃げれたり都合良く忘れたり大事な時だけ絶対に間違えない人がうらやましいよな。


性別や年齢、生まれ育った環境だったり今の生活によってどの話に感情移入するか変わってきそう。

わたしは特に
健やかな論理、流転、籤が心に残りました。

怖いもの見たさでだめで嫌なときの自分を客観視したいときに読み返すことがありそうです。

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