REV /レヴ

作家の京極夏彦さんが好きです。素人によるオカルト/ホラー/官能/エロ/グロ/短編小説

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最近の記事

桃太郎

背中に傷がある。と聞いたら何を浮かべる?悪魔の引っ掻いた爪痕か?刺青か?痣か?実はどれでもないのだ。それは空気中にある痛みだ。うつ伏せで寝ると凄まじい痛みが襲う。私は寝具を叩く。記憶が原因でそうなる。どんな記憶だろう。それを想像したならばあなたは意識が私の背中にあり見つめている。上から。 踏み付けるように。流れの悪いリンパは冷たくなり冷気を出す。背中は凍結する。あなたは寒いところにいる。誰かがわたしにそう言った。その言葉は背中の傷となった。空気中で光る水晶は鬼の胃の中だ。雑念

    • 友達100人できるかな。あの遠い虹はどれほど綺麗だったろう。独りがかっこいいなんて誰かが歌ったりするから僕はかっこわるくなる。髪が靡く彼女は太陽となり僕に栄養を与える。僕は変わり者で夜が嫌いだ。彼女が消えてしまうことの理由が一つと暗くて怖いからだ。誰かに見られてる気がするんだ。だから早めに寝た。カーテンは寒くても開けていた。理由はわからない。今日は落ち着かなくてベランダにでた。ぼーっとしていたから気づかなかったけれども白いドロっとした液体が広がった。僕は瞳孔を開き何故か嬉しく

      • 妄想妊娠

        くすぐったい。膝が。私はテストを受けている。机の下の何かが私の下半身を貪っている。私は冷や汗をかきキョロキョロとした。先生を呼ぶにも呼べない。それは見えないから。私は恐怖で意識を失った。数時間後、目を覚ました。下半身をゆっくり見つめた。いないというオチがあるあるだが、普通にいて目が合った。手を伸ばして来たので叫んだ。けれどもその手は優しく私の頬に触れ、ソレは泣いていた。あなたは誰なのだろう。頭は真っ白で先生の呼びかけに気付かず。もう少し保健室で休みたいと伝え、私は意外にも冷静

        • 白昼夢

          白昼夢を見る。それは懐かしいようで線香のような香りがしている。多分だがそう感じた事がある人はいるかもしれない。僕だけかもしれない。その白昼夢で名前を呼ばれたり話しかけられたり様々だろう。そこからタイムスリップしてしまった僕の前には黄色く大きな鳥がいた。美しいわりに眼が怖かった。どう怖かったか説明するには語彙が欠ける。が、ギョロギョロとしていた。僕は無言でなんのリアクションもせずにいた。鳥はようやく口を動かしたと思えば、「貴様はどこで生きている?」と言った。そういう質問やそうい

          コンクリート

          「目が覚めたか」 @○&★■◆§>☆¥! 「聞こえないな?」 ¥@#☆&◆>$□!!! 細い脚をバタバタさせて暴れる女は、 口をガムテープで塞がれていた 黒い服の男達に囲まれ 彼女は報われない叫びを響かせる 精神的に憔悴仕切っていた彼女は 何もしなかったわけではない 彼らを怒らせる言動があったからだろう 「安心しろよ、食うことはしねえから その変わり」 二人の男がコンクリートを持って運んできた よく見るとドラム缶だと認識する 女は怯え、これ以上にないほどに暴れ

          コンクリート

          数字という名の脅威

          最近Xのフォロワー数が妙だ アカウントを実際に数えてみると増えていない しかし表示数はどんどん増えている 監視されている気分だ 何か、から その翌日も増え、またその次の日も増え…… 私はアカウント削除を考える しかしそれはやりたくは無い 私にとってXはブログである なくては困るものだ それを見えないものが見ている 害がないならば構わないが どうもモヤモヤとする自分がいる 一度、鍵アカウントにしてみたらどうかとも考え 鍵アカウントにしてみた しかし 意味はなく、変

          数字という名の脅威

          短詩

          私は道を外した者 同じ”人”ですらない 「おかしいのは私では無く向こう、此処は真実であちらは幻想、人が目を背けたものが私の所にゴミ捨て場のように斜め上から流れ降る」 稲に隠れた異怪者のような私の名は ハエジコク───。

          もう懲り懲りな、雛祭り

          雛祭りといえば何を思い浮かべるだろうか 子供の頃は 雛祭り仕様のお菓子をよく食べていた それだけならば良かったのに お殿様とお姫様を作って遊ぶのが めんどくさいという理由で好きじゃない 保育園でそういうのを作るのが 「だりぃ」と思っていたのだ 人形 あの人形は私にとっては恐ろしい たまたま雛人形を飾る部屋で寝た事がある なんともこわかった とても見下ろされてる感じが不気味で眠れなかった それに出したものを大切にしまう家族ではなかった 放ったらかしで 人形たちはみんな首

          もう懲り懲りな、雛祭り

          心霊写真

          あなたは人様の墓を撮影しようだなんて 思ったことはあるだろうか。 殆どが無いはずだ。 母の妹が身内の納骨の際に 面白半分で人様の墓を撮影してしまったのだ 私はおばさんのそういう所が大嫌いで嫌悪していた そして私に写真を送ると 「何処に映ってる?」とわざと聞いた 白々しくて憤りを感じながらも 墓から顔が出ている瞬間の写真であった 男性の浮遊霊という表現がしっくりくる 私はおばさんに怒った なんてことをしたんだと、 二度とこんなことはするなとキツく言った 他人の墓を撮影

          口裂け女

          ”誰かに認められたい” それは人間誰しもが求めるもの 男女問わず リリナはガラケーの時代から自撮りして サイトに上げるのが趣味のようになっている みんなやっていることだ だから日常の息抜きとしか思っていない 昔は写メコンというものがあり 写真でコンテストに参加でき、 投票が多ければその人が上位でサイトに載るなんてのがあったものだ リリナもそれを経験した一人だ 写真写りが良ければそれで良いのである ”カワイイね”、欲しいのはそれだけ 必ずリリナの写真にはいいねがたくさん付

          蜘蛛

          「うまいか?」 俺は金が無くて安い事故物件に住んでいる 床はギシギシいうし寝る時は勝手にドアが開いていたり 誰もいないのに悲痛の声がしたり 激しい物音が毎日ある 信じてくれないかもしれないけど 快適に過ごせるはずがないが 金がない貧乏男だから 身寄りもいなくて仕方がなかった いつまで持つかはわからない ある時トイレで用を足しながら張り付く イエグモがいた デカイ卵を抱きしめる女グモは天井に卵を植え付ける 獲物をしっかり持って ムシャムシャと捕食している お前はその女グ

          お母さん 今 おじさんと目が合った 私 おじさんを食べちゃった 入ってきちゃった こわいよ、どうしよう 「また始まった、また変な動画みたでしょう スマホはしばらく取り上げるから」 お母さんたすけて こわいよ 「いい加減にしなさい」 母、登美子は妙な娘がいた ”弥生” 夫、克彦が”お姫様のように育つように” と名付けたそうだ 弥生はまだ5歳だ まだ愛情不足で不安定である 登美子は弥生に厳しかったのだ 一度も抱きしめたり 優しく話しかけたりなんて登美子はしなかった

          「明日バレンタインだし チョコ買いに行かない?」 まゆみがそう言う まゆみには彼氏がいるが、作らないのかと聞くと めんどいと言った 最近は作るより買うのが多い感じもしなくない 昔好きな人にチョコをわざわざ溶かして さらにチョコにしたものに 飾りをつけて渡した事がある 小学生の時の話だけど、 無事赤い顔をして受け取って走って途中で転んだらしい なんとも微笑ましい思い出である バレンタインというイベントはなんだか苦手だ まあ、 パートナーがいなくても自分用で買って食べる人

          神との散歩

          私は実家にいた時 数々の霊障に苦しみました いわば、妖(あやかし)です 当時は浮遊霊ばかり視えていて 憑依されていました 弱い心を持つ人間を家にし 操ります そんなものは気の所為だ、 幻覚と言われてしまえばそれまでですが。 その中で一つ これは悪い意味ではないだろうと言う体験を 話そうと思います ある日の夜、いつものように寝床について 寝ようとしていたんですが 何故か私は座り込んでぼーっとし始めました 体が動かずそのまま座っていました すると黄色く発光するチェーンのよ

          神との散歩

          ダンボール

          今日は仕事が休みだ 思う存分寝てやれと昼寝をする ~ 「実は柳さん嫌いなのよね」 「私も~なんかうざいよね」 「私、柳さんに嫌なことされました」 「みなさんで被害届出さない?」 「最高~アハハハハハ」 そんな……みんな…… うそ…… 目を覚ました 夢を見ていた PM:15:23 かなり寝たようだ ガシャン! ?! 郵便物かな なにこれ…… ポストに何枚も重ねて結んだような 大量のダンボールを畳んだ状態で 私の名前が記載され投函されていた つい先程入れら

          ダンボール

          テレビ

          おい おいって! 「ああ……わりぃ」 翔太はマックのハンバーガーを持ったまま 目が虚ろを向いて止まっていた どうしたんだよ? 俺は心配になった 「いや…実はさ」 彼女ができたのだという 俺という連れを残して なんだよ……幸せじゃんかよ なんでそんなぼーっとしてたんだ? 「凪にはわかんねえよ」 どういうことだよ 彼女がいない俺にはわからないって? 「そうじゃねえよ。ただ、彼女のことでちょっとな」 喧嘩か? 首を横に振ってハンバーガーを食い終わった翔太 気にな