ダンボール

今日は仕事が休みだ
思う存分寝てやれと昼寝をする

「実は柳さん嫌いなのよね」
「私も~なんかうざいよね」
「私、柳さんに嫌なことされました」
「みなさんで被害届出さない?」
「最高~アハハハハハ」

そんな……みんな……
うそ……

目を覚ました
夢を見ていた

PM:15:23

かなり寝たようだ


ガシャン!


?!

郵便物かな

なにこれ……

ポストに何枚も重ねて結んだような
大量のダンボールを畳んだ状態で
私の名前が記載され投函されていた

つい先程入れられたようだ
なんなのよこれ……

ポストはそれが入るはずがない大きさで
そこだけ不思議に思っていた
どのようにして入ったのか……


とにかく
これは嫌がらせだ

隣人の嫌がらせに違いない

頭に血が登ったが
私はある秘密の場所を知っている

何かをいつでも燃やせる場所
 それを持ってその場所へ向かう

相変わらずずっとその場所は燃えている
すぐにダンボールを投げた

ふう……スッキリした

家に戻ってドアノブに手をかけると

「どうした?」

慶太に見つかった
彼は恋人だ

「なんか、焦げくさいけど」

そっか、ちょっと散歩してて……

シャワー浴びてくるね

シャワーを浴びて夕飯の支度をし
彼氏と夕飯を食べた

「昼間どこ行ってたん?」

と気になって仕方ないようだ

もういいや
話してしまおう

話し終えると
「で、そのダンボールの名前は剥がしたのか?
ちゃんと燃えたのを見届けてから帰ったのか」

あ……

ごめん投げてすぐ帰ったの

「俺ちょっと嫌な予感するから今から見に行くぞ」

わかった……

その場所に着くともう夜だから
あまりよく見えないけど
懐中電灯で照らしながら
私はダンボールがすべて灰になっているかどうかを
確認した

まだ火は出ている
バチバチいっていて
本当にこの場所は火が消えることはないようだ
ここまで火を起こすにはその分薪が必要だが…

それに
ダンボールは全く燃えていなかったのである
焦げてる感じも全くない

キャー!と私は叫び腰が抜けてしまった

慶太が走ってくる

やっぱりか……
と言った

どういうこと?
何か知ってるの?

「このダンボールは人の皮膚が入っていてただのダンボールじゃねえらしい。俺の知り合いがお前と同じ体験をしたんだ」

え……

誰がこんなことを…

「それは知らないけど、ポストに入らないデカさってのも共通しててさ。」

どうしよう

「とりあえず知り合いに聞いてみるから」

そう言って慶太は帰って行った

その夜は眠れなくて怖くて仕方なかった
それでも仕事には行かなければ…
休みたい……

柳さんおはようございます~
どうしたのよそんな暗い顔で
と背中をバンと叩かれる

夢に出てきた従業員たちは普通だった
よかった、嫌われてなかった……

あれは燃えたのか
あれは燃えたのか
あれは燃えたのか

あれは燃えるのか



仕事を終えて、すぐにその場所へ向かっていた
誰かが体を操るようだった

やっぱり、火は凄まじいけど
ダンボールは別の次元の物であるかのように
燃えていない

ポストに入らないのに投函される
薪を補充する者がいないのに火が燃え盛る
ここら辺が奇妙であり不可解だ

私は名前だけでも消したかったため
ダンボールをそこら辺の枝を使って
こちらに寄せて暖炉から出した
ゲームみたいにバールのようなものなんてあるはずもないから

マジックペンを取り出して書き消そうと触れた瞬間

\ミャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!/

と言った
生きている? なんなのよこれ……!

そしてまた驚いた勢いから放り投げる

電話が鳴った
また心臓が刺激される
慶太の名前が表示される

息を荒くしながら電話に出た

「わかった事がある!その暖炉?は昔火葬場で使われたやつだ!燃え続けているのは怨念のせいらしい。あと!問題のそいつは、無惨に殺された女の皮膚だけで造られたみたいだ!」

 さっきこれが不気味な声で鳴いたの!!

「何?わかった!とにかく話を最後まで聞いてくれ!
その女は愛していた男がいて妊娠してたんだ。
結婚するって時に攫われて子供と一緒に
殺されてバラバラにされた。旦那はそれを苦にして首を吊って死んだらしい。

 その犯人がさ、
俺の知り合いだったんだ……」

「なあこうしないか?
供養する気持ちで
あいつを殺してここで燃やすんだ
もちろん犯罪で捕まる
でもそうするしかこいつは燃えないかもしれないだろ……」

どうしよう
殺人なんて
私たちは関係ないじゃない……

霊能者とか呼べない?

「時間はやる。考えてくれ、それじゃ[プツーツーツ]

慶太に話さなければよかった
私はぼーっとダンボールを見つめている

 供養……それなら…
私は慶太に犯人の名前を聞いた

それがあれば……

私はポケットから長い数珠と鈴を出す

首に巻いて手を合わせお経を唱える

その犯人の名前を書いては燃やし
ずっと唱え続けた

辛かったわね
痛かったね
もうあなたは自由よ
お子さんとずっと一緒にいられるわ

そう念じ

ダンボールから悲しみの声が入ってくる

妖怪であろうと、心はあるはずだ
何故こんな姿にまでされたの
ひどい

私は泣いていた

悲痛の声とともに凄い速さで
燃えていくダンボール

やっと燃えたわ……

慶太が走ってきて

「お前……まさか自分に取り込んだんじゃ…
すまない……ごめん俺があんな無責任なことを言ったから……」



翌日────
私は乱暴にポストにねじ込まれ、投函された






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