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「育児疲れ」と「上司の無能」の類似性~認知機能低下の影響がすごい

最近、「働き方改革」など、各会社で進まれているが、人間は何に一番ストレスを感じるのか、根本的なところを探ってみた。

目次
◆人間が一番弱いストレスの原因とは
◆育児疲れと会社でのストレスの類似性
◆「睡眠不足」×「自己コントロール不可」のストレスは約20倍という事実
◆対策

◆人間が一番弱いストレスの原因とは

まず、人間は、どんなストレス下で、心身に影響を及ぼすのだろうか。

このような様々なストレスの影響は、色々な研究機関が注目し、研究結果が発表されている。色々な論文を読むと、心身に大きな影響のある事象は、以下5つ。

心身に影響大のストレスとは
・慢性的な睡眠不足
・自分のコントロール下にない現象の処理
・計画が立たない未来
・金銭不安
・身内の死などの喪失感、事故やテロなどによるトラウマ

一つ目は、「睡眠」であり、これは、人により適正な睡眠時間は異なるものの、90%くらいの人間は、7~8時間の睡眠時間が必要とされている。

次が、「自分のコントロール下にない現象の処理」である。つまり、自分でコントロールできることが少なく、「未来を予見できない」など、自分がすべき行動が第三者によって妨害されてしまう場合、大きなストレスがかかることが証明されている。

◆「睡眠不足」×「自己コントロール不可」のストレスは約20倍という事実

イギリスの研究機関の実験で、3つのグループに分け、1週間にわたり、被験者に以下の条件下のもとで、ストレス度合いをはかった。

ストレス実験
グループA
:実験期間は1週間であり、睡眠時間を4時間であると伝え、その4時間の睡眠を一日のどこで取るのかは、被験者個人に決定権を与える。

グループB:実験期間と睡眠時間は、伝えたものの、いつ4時間の睡眠をとれるかは、被験者には伝えずに、日によって変えた。

グループC:実験期間と睡眠時間は伝えず、4時間の睡眠時間も1時間、2時間ごとなど細切れに被験者にランダムな時間で起こす。また、被験者が眠りに落ちそうになったら、起こすという行動を繰り返す。

この実験は、ストレス耐性を鍛えるため、宇宙飛行士などの訓練にも応用されているようだが、

グループCについては、5日目を超えたあたりから、精神的に錯乱状態に陥る被験者が増加し、途中で脱落者も続出した。

結果は、グループCがグループAに比べて約20倍もストレスを感じていたということだ。20倍とは驚きだ。グループBについては、グループAの3倍のストレスであった。

ストレス度合いを測るために、血液検査、脳波、判断能力などを図るテストを行ったとのこと。グループC群は、判断能力が実験前の結果に比べて平均40%も減少していた。これは、驚きの結果である。

つまり、「自分でコントロールできない(未来が予見できない)」と、「睡眠不足」という状態の掛け合わせは、認知機能を驚くほど低下させてしまうということが証明されたのだ。

◆育児疲れと会社でのストレスの類似性

ここで、「育児ストレス」の根本原因をまとめると、以下。

育児の大変さ
・慢性的な睡眠不足
・睡眠時間、睡眠機会、食事、トイレなど、自分でコントロールできない
・自分の病気の時でも、休めない
・命を守るという重責を担う

「育児の何が大変か」という話については、子供を持つ前の私も含め、境遇が違う人には、絶対に実感できるものではないのだが、

育児は、人間の心身に影響を与えるストレスである「睡眠」と「自分のコントロールできる部分がほぼない」という2重苦であると説明されれば、しっくりくる人も多いかもしれない。

では、会社で「無能とも思える上司がたくさんいる」という人もいるかもしれないが、この「無能な上司」は本当に無能なのだろうか。

いくら横並び昇進するといっても、皆が昇格するわけではないので、「昔から無能だったのではなく、昔は、ある程度有能だった」はずである。しかし、「自己コントロール下にない仕事をやり続けた」結果、無能になってしまったと考えられる。

会社の上司の大変さ
・役員、客先などから、無理難題の課題を課せられ、自分でコントロールできない
・プロジェクトの責任が重くのしかかる
・平日の帰れる時間や休日なども取れるかもわからない
・朝方まで眠れない

そして、「会社の方が大変」、「いや、育児の方が大変」という喧嘩はどこの家庭でもある光景な気もするが、こう見ていくと、

もし、旦那さんが「睡眠不足」と「コントロール下にない現象を処理する機会が多い」職場もしくは、役職で働いている場合は、似ているのかもしれない。

※個人的には、育児で周囲に頼れる人がいない場合などは、トイレや食事などの生理的欲求までも自己コントロールできない時点で、育児のストレス最強説は、立証したいところではあるが、、育児系のストレスを立証した実験ってあまりないのよね。。

そして、このようなストレスがかかると、最終的にどうなるかというと、「認知機能低下」という現象が現れる。

つまり、判断力、分析力、コミュケーション能力、忍耐力などがすべて欠落していくことで、「無能」のようになってしまう。そういう意味では、「育児で半狂乱になる妻」と「無能にみえる上司」は同じような境遇のもと、起こっている現象といえる。

対策

では、この認知機能低下には、どのような対策をこうじたら良いのだろうか。

人間は、上記でもあげたとおり、「計画が立たない未来」に立ち向かうことに大きなストレスを感じる生き物であることを踏まえると、「自分でコントロールできる」状態を作りだすことが重要だ。

対策
◆必ず、睡眠時間や自分でコントロールできる時間を増やすことが大事

・確実に睡眠をまとまって取れる時間を1週間~10日に1回はとる
・週末は、自分のコントロール下でできることをする
・週末に、自分で緩く立てた旅行を計画して、実行するのも効果的
・育児では、月2,3回土曜日にビジネスホテルに泊まるなど

「会社で大変な夫」も「育児で大変な妻」もいがみ合う必要はなく、ある意味、2人とも戦友である。

ちなみに、認知機能が低下している相手に、論理は効かない。世の夫は、論理で妻や上司を納得させようとする人も多いと思うが、逆効果だ。まずは、認知機能が低下していない方の人が、どうしたらWin-Winになるのか、考えて具体的に提示すること以外に解決法はないことを心に留めておきたい。

認知機能が下がりに下がったあとは、リカバリーがかなり難しい。自分をいたわることが大事だと思う。

ということで、今日も一日素敵な夜を☆




嬉しいです^^ 美味しいコーヒーと一緒に今後の医療談義をしたいなと思います。