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非ロマンティック

村上春樹さんの小説に【誕生日の曜日を言い当てる少年】が出てきました。

その少年は、ほとんど人と会話をしません。
しかし、自分が興味を持った相手には突然、生年月日を聞きます。
何年 何月 何日。即座に少年は

「水曜日」
とぶっきらぼうに返します。

今ならそれが正解なのか、すぐに調べることができます。
このことが小説の中で「非ロマンティック」と表現されていました。


この世界は日々 便利に そして 非ロマンティックな場所になっていく

Google を使って調べれば 今では10秒もかからずに誰にでも簡単にわかってしまうのだ

<街とその不確かな壁> 村上春樹


◯非ロマンティック

確かに現代は非ロマンティックが増えているかもしれないと思いました。

調べれば何でもわかる時代です。

行ったことのない外国も、調べれば何でもわかり、
行った気分になって、行かなくても良くなる。

車を持ったらどうなるのか、調べればメリットデメリットがわかり、
持っても面倒だな〜と思って、買うのをやめる。

こういうのって非ロマンティックだよな、と思います。

何がいいって、わからないことが簡単にわからなかったからロマンティックだったんだな、と昔を思い出しました。
情報がないから、身をもって学ぶしかなかったのです。

◯探偵ナイトスクープ

上岡龍太郎さんがお亡くなりになったニュースが流れました。
とても悲しい思いの中、彼の番組「探偵ナイトスクープ」を思い出しました。

これは『視聴者からの悩みや疑問を解決する番組』です。

例えば、
・蜂の巣を駆除してほしい
・昔お世話になった先生を探してほしい
・通学途中に見かけるもの、変な物体あれは何?調べてほしい
・お腹いっぱい◯◯だけ食べたい

そんな依頼に答えます。時にくだらないことに全力で取り組み、調べます。

今でも続いている長寿番組ですが、昔(上岡局長の時代)の方がロマンティックだったなぁと思うのです。

◯情報がないからロマンティック

それは、インターネットがなかったから。
テクノロジーがそこまで進化していなかったから。

・電話帳の上から順に電話をかけて探す
・駅前でひたすら声をかけて探す
・人から人を紹介してもらい、ようやくその人にたどり着く
・その道の「専門家」に出会えるのもやっと

そんな感じでした。
時間がかかりますが、それがロマンティックだったなーと。

わからないからこそ、情報を得るために、足を使って調べていました。
今ではインターネットを使えば、一瞬でわかることです。

情報がないため、情報と結果を得るまでのプロセスにロマンティックが詰まっていたのだと思いました。

◯ロマンティックな香り

「探偵ナイトスクープ」
関西を代表する番組。私が育った田舎にも、これは流れてきました。

よく知らない大阪という土地の独特な空気感。
毎週金曜の深夜、親に隠れてこっそり味わっていました。

上岡龍太郎さんの品のある喋りに、子供ながらに魅了されて。

また一方でくだらないことを一生懸命にする姿(これって大事です)にロマンがあふれていました。

私はそのロマンティックな香りに魅かれていたんだと思います。人間らしさが詰まっていたような。

今後は、くだらないことと、ロマンティック。
これを裏テーマとして大切に生きていこうと思います。



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