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#7 塚原諒さん/mikko(佐久穂町)

長野県・佐久穂町にある「mikko」は、南佐久で唯一のドーナツカフェ。ふわふわ系のドーナツは雑誌でも紹介されるほどの人気で、住宅地という立地かつ小さな店舗にもかかわらずファンが多く、地域のハブのひとつとして町に溶け込んでいます。そしてお店の店主である塚原諒さんは、「イエナプラン教育」で全国的に知られる大日向小学校・大日向中学校に関わっている一面も。お話によると、ドーナツ、学校、地域、という3つの要素が相乗的につながっている、ということが見えて来るのですが、果たして……?

編集・取材・構成=岡澤浩太郎/八燿堂
写真=林光

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mikkoのエントランスにて。いまや風景に溶け込む街のシンボルのひとつに

■プロフィール 塚原諒/mikko
群馬県高崎市出身。大学院修了後、石巻の復興支援団体、東京建設不動産ベンチャー(鹿児島に赴任)、鳥取のベーカリーの勤務を経て、2017年から長野県南佐久郡佐久穂町に移住し、日本初のイエナプランスクール、大日向小学校の設立準備に参画。18年、mikkoをオープン。現在は同校、および22年に開校した大日向中学校の地域連携ファシリテーター、両校の理事、同店店主を兼務。


※インタビューのダイジェスト+αはポッドキャストで公開しています


南佐久唯一のドーナツカフェ

岡澤浩太郎(以下、K) 塚原さんは2018年、長野県の佐久穂町にドーナツカフェ「mikko 」をオープンしました。長野県の南佐久地方は、気軽に入れてコーヒーと甘いもので時間を過ごせる店がとても少ないので、mikkoは貴重なんですよね。僕も利用させてもらってます(笑)。

塚原諒さん(以下、塚原さん) もともとはドーナツ屋じゃなくてカフェでもよかったんですけど、年配の方は家でお茶を飲む文化があるので、老若男女誰にとっても魅力のあるドーナツというおやつを意図的に店に置いたんです。それで、わりと最初から地元のみなさんも来てくれて。

K そうなんですか。当初、ドーナツの原料には地元佐久穂産の小麦を使っていたそうですね?

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見た目から文句なし。シンプルな味付けが素材のよさを引き立てる

塚原さん そうですね。いまはその方のお友達の小諸市の農家さんの有機小麦を使っています。畑のある御牧台という土地が、太古の地層が盛り上がったミネラルが豊富な台地で、さらに有機栽培にすることで地面から豊富な養分を吸う根っこの力が強くなるそうなんです。確かにシンプルな味付けのドーナツにすると、めちゃくちゃ美味しいんですよ。小麦粉の、ふんわりした甘みを感じられて。

K そうそう、mikkoのドーナツはふわふわしているのが特徴ですよね。多幸感があるというか(笑)。小麦以外に地産地消の取り組みはしているんですか?

塚原さん 毎シーズン、地のものを使った季節限定のドーナツをつくるようにしています。例えば佐久穂町はブルーベリーやプルーンなどフルーツがたくさんとれるし、ほかにも東御市のクルミとか、佐久穂町の東隣の群馬県上野村のイチゴとか……。

K 地域のものを使うのって、味のこともあると思いますが……。

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取材時に販売していた季節限定メニュー「POP’N CRAZY」。後述の展示に合わせて、見た目も味もカラフルに

塚原さん もちろんです。美味しくないものはつくりたくないので(笑)。

K それ以外の目的もありますか?

塚原さん 「なるべく小さいエリアでお金がぐるぐるまわったほうがよさそうだな」ってシンプルに思ったからですね。ドーナツが売れれば売れるほど、近くの誰かにお金が流れていく。で、その人がまた地域にお金を流す。
富が外にどんどん流出しているのを、ちょっとずつでも防いでいかないと、多分、こういう場所はあっという間になくなっていっちゃうと思うんですよね……ちょっと言い過ぎたかな(笑)。 

魅惑の“穴”

K 塚原さんのnoteにはお店のオープンまでの経緯が書かれていますけど、「概念としてのドーナツに憧れていた」とチラッとありましたね。

K それってどういうことですか?

塚原さん あの、真ん中に穴が開いているのに、ものすごく惹かれるんです(笑)。中身がないですよね。ないからこそ、いろいろな想像ができるし、あらゆるものを自分が代入できる。それが面白いなと。

K はー!

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ドーナツはもちろんお店で揚げる。音と香りが店内に広がる

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