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ゆっくり食べたい

完全ぽかぽかデイズ到来、と思いきや、なんとなく肌寒い日がやってきて、春ってずっとこんなんだよな、という気分。春、好きなんですけどね……気まぐれな気温変動と飛来物系をなくしてくれると大変ありがたい。桜はばんばか咲いてほしい。

昨日のエッセイの最後で、文芸ムックの「たべるのがおそい」に触れたせいか、食べるスピードについて考えていた。
わたしは昔から食べるのがほんとうに遅くて、給食の時間などは地獄そのものだった。いつも量は多いし、どう頑張っても20分で完食するのは難儀。大学や会社のお昼休みだって60分はあるのに……! 人にあげてもいいかどうか、残してもいいかどうかが担任の先生次第だったのも納得いかなかった。いまは変わっているのかもしれないけれど。

そこから年齢を重ねていって、頑張ればそこそこ速く食べられるようになったが、急ぐ食事ほどかなしいものはない。むかしの、食べることにあまり興味のないまま過ごしていたら、ただの栄養補給時間として、急ぐ急がないはどちらでもよかったのかも。でも、おいしいもの大好き!な今となっては、食事はできるだけゆったりしたいものなのだ。そもそも「急ぐ」という行為に向いていない気がする。かたつむりか?

国によって食事の時間のとりかたが異なるらしい。フランスはけっこうゆっくりとか、ドイツは夜はかなり早めかつ簡素に済ませるとか。実際の食事風景を見てみたいな。カナダにホームステイしていたときは、夕食はだいたいワンプレートだった。ホストマザーがベジタリアンの方だったので、かなりヘルシーにささっと終わっていた気がする。ただ休日は、親戚の家のホームパーティーに行ったり、テラスにテーブルを出してちょっと豪華に過ごしたり、ゆっくり過ごしていた記憶。

一人で食べるときはあまりスピードを気にしなくていいし、なんなら誰かと話しながら食べるよりも早く終わる。ただ、人と食事をするとなるとその遅さが露呈する。家族や友人などの近しい仲だったら、気にしないでいてくれるのでとってもありがたいのだけど、よくわからない会食とか、ちょっと気を遣う食事会みたいな場のあれ。特にコースの場合、皆が食べ終わったら次のを運んできてくれるので、あーーーこの美味なる魚の一切れのためだけに待たせてる待たせてるごめんなさい!!!と思いながらもぐもぐ。一皿の終盤は落ち着かないことが多い。その点、居酒屋で単品をわいわいつつくのは楽だなあと思う。ただやっぱり意識していないと、いつの間にか食べたかったものが無くなっちゃってることも多々……。

喋りながら食事をすると、手が止まってしまうのと、相手の話を聞きながら(いま、わたしは箸を動かしていいんだろうか、それともうんうんと頷くべきタイミングを待ってからのほうがいいか、いやこのフライを片さないと次の料理が)など余計な思考に入りがちなので、結果的にのろいんだと思う。話はちゃんと聞いております。
というか同じ量の料理を食べ、双方向に会話をしているのに、なぜわたしよりも皆、そんなにスムーズに食べ終わっているの!? わたしのまばたきって5秒くらいかかってるんですか? これまで同じくらいのスピードで食べる人とあまり出会ったことがないので、はたから見たらわたしってどれだけとろい食事なんだろうか……とちょっと不安になる。

自分の体のどこかに「食事スピードボタン」とかないかな。押したら意識しなくてもちょっと速くなるみたいな。消化にわるそうですね。


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