企業文化フレーム

いろんな会社のビジョン・ミッション・バリューを見てみよう


他の会社の企業文化はどんなもの?


ファクトブックを作る前から「課題だよね」とZIZOの広報プロジェクトメンバーで話していたことの一つに、「今のZIZOにぴったりのミッションやバリューがない」というのがありました。

これから人もどんどん増やしていきたいし、社員みんなの日々の判断や行動の拠り所となる言葉や仕組みがあったらいいよね、という気持ちは、ファクトブックをつくりたいと思ったきっかけの一つでもあります。

広報プロジェクトを通して成し遂げたいのは、ZIZOの企業文化をデザインすること。これを明言化できたのは、こちらのnoteのおかげ。

ファクトブックづくりの途中で迷ったら、折に触れて読み返している、栞のようなnoteです。わかりやすく知識をまとめ、惜しみなく放出してくださったKenji Tomitaさんには本当に感謝。


▼Slackで即川口さんにもシェアした。


今回は、こちらのnoteの定義に乗っ取り、各企業文化を構成するビジョン(WHY=存在目的)、ミッション(HOW=手段)、バリュー(WHAT=行動、判断)のフレームワークを用いて、いろんな会社の企業文化を整理してみようと思います。企業によって、「理念」とか「行動指針」とかいろんな呼び方があるけど、今回は「このフレームワークに落とすならここだな」、という形で私が判断しました。
人事や企業文化まわりの本でよく事例として挙げられている企業を中心に、私が「強固な企業文化がありそうだ」と思う、ミーハーなセレクションになっております。


Case1:Netflix

出典:https://jobs.netflix.com/culture

個人的にほぼ毎日お世話になっているNetflix。(マスター・オブ・ゼロ最高だよ!)
こちらのnoteでも企業文化を戦略的にデザインしている例として挙げられています。バリューについては「Netflixのカルチャーデック」というスライドの中でこれでもか!というくらい詳細に表現されていて、「ランチやジムが提供されることや、オフィスが豪華なことよりも、卓越した能力を持った社員が集まっていることこそが最高の職場の条件だ」というドリームチームの項目なんかめちゃくちゃかっこいいです。(カルチャーデックの日本語訳はこちら。)

私が一番「それな〜〜〜!」となったのは、「Communicaiton」の項にある「よく話を聞き、反応する前に理解しようとする」です。反応したいのをぐっとこらえてまず傾聴するって、相手を尊重することそのものですよね。それな〜〜〜!!!

Case2:パタゴニア

出典:https://www.patagonia.jp/company-info.html

パタゴニアって、アウトドア系の衣料品の中でもレディースがメンズの下位互換という感じじゃなく、ちゃんとかわいいところが好きです。ティール組織の本で紹介されていた会社の中で唯一知っていたのがパタゴニアだったのもあり、今回ピックアップしてみました。
Valueの中で「ビジネスは自然を保護するための手段だ」と言い切ってるところがいいですね。
店舗での買い物時のショッピングバッグが有料だったり、ステークホルダーを巻き込みつつビジョンを具体的な行動まで徹底的に落とし込んでいるところがすごい。

たとえ利益を生み出さないとしてもビジョンから外れることは絶対にしない、という姿勢を貫いていて、それが結果として長期的な収益の拡大につながっている、勇気を与えてくれる事例です。


Case3:カヤック

出典:https://www.kayac.com/vision/vision

今回紹介する中で唯一、弊社と同業であるカヤック。代表の柳澤さんが書かれた「アイデアは考えるな。」は、アイデア出しの教科書のような本で、社内でも多くの人が読んでいます。
サービスのメインは制作事業でありながら、実現したい世界は「つくる人を増やす」であるというギャップがおもしろいです。サイコロ給などのおもしろい制度も、人にコミットしているからこそ生まれるのかもしれません。

私が秀逸だなと思ったのは「何をするかより誰とするか」という考え方。多くの人が無意識に持っているであろう優先順位について、「カヤックはこっち!」と明言することで、採用においても仕事を受ける上でもすごくいいフィルタリング機能を果たしているのではないでしょうか?結果として強固な企業文化のデザインに貢献していそうです。
カヤックの理念ができる経緯はこちらで詳しく紹介されています。

Case4:CRAZY

出典:https://www.crazy.co.jp/whoweare/

オーダメイドな結婚式や、創業者の山川さんが情熱大陸に出演したことで話題になったCRAZY。「Style For Eath」だったビジョンを、2018年にリニューアルしました。

一度友人とCRAZYの説明会に行ったことがあるのですが、来ている人3人に対して1人くらいの割合で社員さんが付いてくれて、「人と向き合おうという熱量がすごい・・・!」と思ったことを覚えています。
企業文化についてはこちらの採用サイトでも熱く語られていて、働き方やビジネスの方法自体でも世の中の矛盾へ挑戦するんだ、という意志が感じられます。きっと、結婚式業界を満足がいくレベルで変えることができたとき、新しく解決したい矛盾に向けてビジョンを作り直しながら進化していくんだろうな、と思わせる、すみずみまで美意識にあふれた会社です。

Case5:サイボウズ

出典:https://cybozu.co.jp/company/job/recruitment/business/

サイボウズ代表の青野さんの「チームのことだけ、考えた。」は「会社のビジョンとか理念って一体なんなんだ・・・?」と悶々としていたときに出会った「ビジョンに対するマイ・ベストアンサー本」です。ちなみに起業家の友人はこの本のことを「クソバイブル」(「めちゃくちゃバイブル」の意だと思われる)と言ってました。

オウンドメディアの成功事例としても有名な「サイボウズ式」は、チームワークについて考える機会をたくさんの人に与えているという意味でビジョンへの貢献度がすごく高いですよね。サービスとしての収益性などを考えたら同業他社はやりたがらなさそうだけど、うちはやりたい!と思える事は、企業文化の面ではすごくポイントな気がします。

Case6:メルカリ

出典:https://about.mercari.com/about/

出ました、メルカリ!!組織づくりや人事の話題では外せない会社ですね。メルカリが組織づくり・文化づくりのためにやったことがまとめられたこちらのnoteは、私たち広報プロジェクトメンバーでも読みました。

これくらい施策のPDCAをばんばん回していきたいものです。

メルカリのValueは、ワーディングにもこだわったということがこちらの記事にかかれています。短くて分かりやすいからこそ社員の中にいち早く体質化されて、「それってGoBoldだっけ?」などと日々の判断基準として生きている。すごく理想的な状態だなぁと思います。

メルカリは最近コピーライターを採用しましたし、前述のサイボウズにはサイボウズ式の編集などを行う「コーポレートブランディング部」が、会計ソフトの会社freeeには「カルチャー推進室」があるなど、自社の企業文化を社内外に浸透させていくことを重視する動きは、今後も盛り上がっていきそうです。


Case7:Google

出典:https://www.google.com/about/philosophy.html

GoogleのValueにあたる「Googleが掲げる10の事実」は、一文が長すぎて図が大変なことになっちゃいました。笑

一つ前のメルカリではValueをあえて端的にしたことの効用に触れたばかりですが、GoogleのValueは言葉の言い回しからウィットを感じますし、これはこれで一つのイズムですね。
読めばGoogleが「Web」、「ユーザー」、「情報」といったものに対してどんな見方をしているかが明確に伝わってきます。この文章を読んで、「まさにそう。それこそがクールだよね!」と共感できるかどうかで、社員としての適性が充分わかりそう。

例えば10個目の「『すばらしい』では足りない。」は、称賛を得ることよりも、後に世の中のスタンダードになるようなものを生み出す方が理想的だ、という考えを表しています。さらに実例としてGmailが紹介されていて、Valueを体現したファクトがすでにあるところに、理想論で終わっていないかっこよさを感じます。


Case8:ピースオブケイク

出典:https://www.pieceofcake.co.jp/n/ncdf97fd53291?magazine_key=md5d06b2116b5&current_menu_id=5

noteが好きなので入れさせていただきました。
クリエイターがnoteにアップするコンテンツに自分で価格設定できる仕組みや、クリエイターをフォローしてくれるnoteディレクターの存在など、ビジョンドリブンで仕組みが考え抜かれている印象があります。

小まめでスピード感あるアップデートや、ピースオブケイク社員の多くがnoteを書いている点など、バリューの浸透度合いの高さも伺えます。ミッションやバリューを明言化したのは2018年の頭頃とのことなので、できてから浸透したというよりも、すでにそこにあったものをカタチにしたことで、より強固になったのだろうなぁと想像されます。「企業文化とは、すでにそこにあるものである」という考えに、しみじみ納得。


Case9:ほぼ日

出典:https://www.hobonichi.co.jp/company/philosophy.html

人事をしている友人から、「まいちんほぼ日とかすごい合いそう〜!」と言われたことがあり、それからとっても気になる存在となったほぼ日。
組織を船に例えたり、組織図を人間の内蔵に見立てるなど、”ほぼ日らしさ”の追求を呼吸レベルで行っている企業、というイメージがあります。

ほぼ日には明確なビジョンはなく、「行動指針」として「やさしく、つよく、おもしろく。」があるだけです。このこと自体がめちゃくちゃほぼ日らしい気がしていて、「やさしく、つよく、おもしろく」価値あるものを世の中に提供し成り立たせていけば、実現したい世界は自然とついてくるということなのかなぁと思います。そう考えるとほぼ日の行動指針はすごいです。

「やさしく、つよく、おもしろく」は言葉の順番にもこだわりがあり、やはり優先順位を明確にするタイプのバリューは企業の美意識が伝わりやすくていいなと思いました。


Case10:鳥貴族

出典:http://www.recruit.torikizoku.co.jp/fresh/culture.html

住んでる街にあったらうれしいお店御三家は鳥貴族・王将・ガストです。
鳥貴族のビジョン・ミッション・バリューからビンビン伝わる、「焼き鳥屋で行けるところまで行くんだ!」という決意。もう、末永く応援したい。

「298円均一の感動」は言わずもがな、鳥貴族の魅力って店員さんがみんな楽しそうにリラックスして働いてる所だと思うんですよね。割とどこの店舗行ってもそう感じるのがすごい。

鳥貴族コーポレートサイトより拝借。

トリキファンなら常識、こちらの「鳥貴族のうぬぼれ」。トリキ店内には必ず貼られています。そこにある「たかが焼き鳥屋 されど焼き鳥屋」という言葉、本当に店員さんがみんな、心から思ってそうなんですよね。

今回調べてはじめて「トリキウェイ」なるものの存在を知ったけど、こちらは新卒採用サイトにしか掲載されていないし、実際どういう風にしてアルバイトレベルまで「たかが焼き鳥屋 されど焼き鳥屋」精神を根付かせているのかは本当に気になります。いつか取材とかしてみたいな。

ちなみに新卒採用サイトは「えっリンク先間違えた!?」ってドキッとすること間違いなしです。私はドキドキしました。

まとめ

どの会社の企業文化も、このフレームワークに当てはめただけで網羅できるわけではもちろんなく、採用〜オンボーディングまでのフロー、社内制度、評価制度などによって、注意深くデザインされているはずです。
Kenji Tomitaさんが書かれていた通り、どの企業にも当てはまるいいミッションやバリューはないというのはうなずけます。

結局は「なぜ、なんのために私たちの会社は存在しているのか?」という問いをどこまで深めていけるかと、その問いに対する答えをどこまで自分たちらしいカタチで、美意識をもって表現できるかなんだろうなぁと改めて思いました。これからZIZOも社員を含めてミッションやバリューを言葉にしていくことになると思うので、その前に大切なことやそれぞれの言葉の定義を腹落ちするまで整理できたのはすごくよかったです。

今回使った「企業文化フレーム」はこちら

今回このnoteをまとめるためにつくった、「企業文化のフレーム」はこちらです。(keynote形式です。)

自社や他社の企業文化の整理・分析に使われたい方がいらっしゃればぜひ〜。ご自由にnoteなどで掲載していただいてOKです!その際このnoteのリンク貼ってもらえると喜びます!

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