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訪日インバウンドの準備を始める前に知ってほしい3つの事

訪日インバウンドが2年ぶりに始まる予感!
さぁ、準備を始めましょう!
 
の、前にっ!
 
インバウンドが無かったこの2年間で中国がどう変化したか、お分かりですか?え、知らない?それ知らないで始めたらダメっしょ!
 
はい!
という訳で、この2年間中国で何が変化したか、とても多いんですけど…その中でもインバウンド施策に影響しそうな変化を3つピックアップしたので、準備始める前にとりあえず見てよねん!
 
目次はこんな感じです。

① SNS:「Weibo×WeChat」から「Douyin×RED」に
② 消費:「モノ」から「コト」に(※2022更新バージョン!)
③ 思考:極端化

① SNS:「Weibo×WeChat」から「Douyin×RED」に

2年前は訪日インバウンドっていったらWeiboとWeChat。WeiboやWeChatでライブ配信やったり投稿したりして「あぁ、うちら中国のトレンドのってるわ。」ってなってたじゃん?
 
違うんです今は!
 
コロナやら、なんやらでこの2年間、中国SNSは大変化です!まず結果からいうと、インバウンドを含む旅行関連の主要SNSは「Weibo×WeChat」から「Douyin×RED」に変化。この背景にあるのは、言うまでもなくDouyinの爆成長による変化でございます。
 
このお話をすると「でも私の周りの人はDouyinなんか見ないです。」という方がたまにいますが、自分の周りの人は中国全体でみると本当に偏りのあるデータなので、周りだけで中国全体を判断するのはとてもリスキーです!
 
こちらがコロナ前と現在の主要SNSの数字の変動です。
(※WeChatに関してはチャット機能使用人数も含む。)

中国主要SNSの比較

プラットフォームの人気を示すユーザ数はもちろん、それに加えて広告収入を見る事でどのプラットフォームが情報拡散により適しているかが分かり、平均使用時間からはコアなユーザが多いかどうかが分かります。
 
ここで…「でも、ユーザ数でみるとそうだとは思えませんが。」という方がたまにいるわけですよ。
 
違うんです!ユーザ数が多いからと言ってそのプラットフォームがインバウンドに「適している」とは言えないのです。これはSNSの細分化による結果なのですが、砕いて話すと…

元々、何を見るにもWeiboやWechatのどちらかで見ていた人も、DouyinやREDなどのプラットフォームの発展によって目的ごとに使用するSNSを使い分けるようになった。つまり、使用目的が各プラットフォームに分散されたという感じです。

中国ユーザのSNSの使い分け ★ナウバージョン★
Weibo:芸能人の日常投稿、社会の最新ニュースや情報など。
   (芸能界色が強いTwitterというイメージ)
WeChat:日常チャット。お財布。深堀の内容や、観点、詳細。
    (LINEとPayPayとnote合わせたみたいな)
RED:口コミの検索、トレンドの発見。
   (検索機能がめっちゃ使いやすい、動画が多いインスタって感じ)
Douyin:日常の娯楽。暇あれば見る。
   (若者だけでなくどんな年齢でも暇あれば見るTikTok)

こういう感じに細分化されたわけです。なので、WeiboやWeChatはユーザ数でみると多くの人が見ていますが、どちらかというと「娯楽」や「口コミ」がコンテンツになるインバウンド施策にとっては、最も適してるわけでは無かったりします。

ただ、それぞれの特徴があるのでDouyinとREDメインで、いい感じにWeChat(詳しい旅行攻略)とWeibo(芸能人ネタと絡めたネタ)を加えて多角度から攻めるのもいいですよね!
 
ちなみにBiliBiliは日本好きな人が多いとか、形式がYouTubeっぽくて一見適しているように見えるのですが「月間アクティブユーザー2億人未満」「学生層がメインで消費力が低い」「比較的長い動画なので企業アカウントとしては制作に時間がかかりすぎる」などのデメリットもあるので、こちらもコストと時間と相談しながらやっていきましょう。
 
他にもMafengwoとかDazhongとかもインバウンド施策に使われるのですが、各プラットフォームの適した使い方は話すと長くなるので今回は割愛させていただきますわん。また今度ね!

② 需要:「モノ」から「コト」に(2022更新バージョン)

中国旅行客の訪日インバウンドをやっている人なら一度は聞いたことがある「モノ消費からコト消費」。確かにそうなのですが、もう2022年なんで少し思考を更新しましょう!
 
まずは、「モノ」から「コト」に変わったからと言って「モノを買わない」という意味ではないのです。簡単にいうと、単純に日本の「モノ」であれば買ってくれた時代は過ぎた。が!「モノ+α」は買ってくれるよということ。
 
まず思い出してみてください。今まで中国の旅行客は何を買っていましたか?

観光庁の訪日外国人の消費動向 (2019年 年次報告書)によると、訪日中国人の日本での購入品ランキングトップ3は上から「化粧品・香水」「菓子類」「医薬品」。特にトップ2項目は購入率75%を越し、トップ3の医薬品50.8%を大幅に超えています。

観光庁《訪日外国人の消費動向》2019年 ― 訪日中国人購入品ランキング

でもこういうモノって2022年の今、中国のECで簡単に買えるし値段も高くないんです。日本に行けない2年間でちゃんとしたバイヤーも増えましたし、メーカーも中国ECをオープンしたり、TmallなどのECプラットフォームもグローバルショップの発展を積極的にサポートし、日本でわざわざ買う必要が無くなりました。

化粧品からお菓子、医薬品までなんでも買えるTmall

ただ、それでも日本で買う価値のある「モノ」は存在します。私は「日本で買う理由」がプラスされるということで「モノ+α」と呼んでいます。

「モノ+α」の例
高価なモノ:ECで偽物を買ってしまうリスクが高いから
口に入れるベビー用品食品:少しでも安全リスクがあってはいけないから
数量限定、日本限定のモノ:ECで買えたとしても原価よりかなり高いパターンが多いから
オフラインでのサービスや体験を伴うモノ

など…

なので、インバウンドで何か商品を販売したいとするなら「モノ+α」を意識して商品選びをしてみても良きかもです!
 
そして「コト」についても少しお話をしたいのですが、「コト」に関して中国旅行客は何を求めているのか?そこをしっかり考えるのが成功のポイントになります。私はこれを「魅力の再検討」と言っています。魅力の部分がそもそも中国旅行客にとって魅力的ではなかった場合、それをどれだけ推してもあまり意味がないのです。じゃあどうすればいいんだよぉ!ってなりますよね。焦らないでください。とりあえず間違いないキーワードがあります。

「映える」です。

あくまでも映えないコトはインバウンドに適していないという意味ではなく、映えるコトは中国でのSNSプロモーションにとても向いているということです。

例えば、どの自治体も推しているであろう温泉。どんな良い成分が入ってるとか、どれくらい歴史のある温泉だとか、私だって素敵だと思いますし、是非行きたいなと思います。でも、それはビジュアルとして映えるかというと、そうではない。深く知るうえで感じる魅力なのかなと思います。このような「魅力」はSNSで映えません。でも、桁外れの大量な情報が猛スピードで出現している中国SNSでは秒でユーザの気を引かないと、クリックもせずに他の内容に移ってしまいます。写真や動画で映えない「魅力」は中国でプロモーションする際にとても損なのです!

では、中国ではどんな温泉が今までに人気だったかというと…

・千と千尋の世界観「銀山温泉」

REDの個人投稿から引用


・富士山が見える「湖山亭うぶや」

REDの個人投稿から引用

どちらもSNSですっごく映えますよね。温泉に限らず「コト消費」は「映える」という視点で考えていくと、中国SNSでのプロモーションもよりスムーズになります。
 
何を魅力とするか、それはインバウンドの出発点であり、一番大切な部分でもあります。インバウンドの施策を始める前に、是非「魅力の再検討」をしてみてください!

③ 思考:極端化

もともと中国ではVPNを使わないと海外のウェブサイトが見れないので、一般の人が海外の情報を得るには一定のハードルがあります。それに加えてこの2年間は海外旅行も出来ず、VPNの規制もさらに厳しくなったため、海外の情報に触れる機会がかなり減ったのです。

これによってどう変わるかというと、中国人の思考の極端化です。
 
こんな規制が厳しい時期でもVPNを使用して海外の情報を見ている人は、中国の問題や国内国外の報道の違いを目の当たりにしており母国に対する不信が昔より高まっています。

反対にVPNを使用せず中国国内のメディアだけ見ている人は、ここ数年でヒートアップしたプロパガンダに流されまくり「アメリカ、日本、韓国を始めとする外国は卑怯だ。中国こそが世界最強。」との思考になるでしょう。

つまり、国民全体が極端な考えに分かれつつあるのです。
 
これちょっとマイナスな面でもあるので、触れない事が多いと思うのですが、マイナスな面を知っておくことで、インバウンド施策で地雷を踏まずしっかり一歩一歩進めるのかなと思い、この内容を書くことにしました!
 
でも、そもそもプロパガンダ信じる人は訪日ターゲット層じゃないのでは?と思うかもしれません。そうです!そうなんです!

中国でパスポートを持っている人数は約1.2億人。つまり中国人口約14億人で訪日インバウンドのターゲットは12%未満なのです。でも、SNSという大きな広場にはどんな人もいます。ターゲット層以外を無視してしまうとインバウンド施策に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
 
「炎上」です。
 
何はともあれ、日本のコンテンツは今すごく炎上しやすいのです。伝え方やテーマ、投稿する日付等々、絶対に適当ではいけません!炎上は一度してしまうと大変です。(例えばアパホテルの件)。ごちゃごちゃにしてしまった紙はどう伸ばしても跡が残っている、そんな感じです。
 
コンテンツの最終チェックが中国人の思考や中国語の分からない方である企業や自治体の皆様、本!当!に!気を付けましょう。それか一層プロに任せちゃってください。

ネット民10億人以上の中国での炎上はマジで恐ろしいので(泣)
 
はい!以上!
インバウンドや今の中国SNSに関してお話ししたいことはまだまだ沢山あるのですが、その中でも「とりあえず知っトク!」方がいい内容をまとめました。
 
皆さん、中国SNSマーケティングに関してこれが知りたい!こんな悩みに直面している!などありましたら是非コメントで教えてください。

ではまた。
Makiでした!


参考資料一覧:
2019年抖音数据报告
腾讯新闻《潜望》栏目 ― 抖音内幕:时间熔炉的诞生
QuestMobile2020中国互联网广告大报告
天风证券研究报告《小红书:深耕内容社区,掘金种草经济》
《向上的生活—2019年小红书社区趋势报告》
WEIBO Annual Report 2019
Tencent Annual Report 2019
36Kr《抖音上市,估值几何?》
新京报《字节去年收入约3678亿元:广告约2500亿,直播约700亿》
QuestMobile2021中国互联网广告市场洞察
腾讯网《小红书官方宣布月活达到2亿》
新浪科技《小红书完成新一轮5亿美元融资 投后估值高达200亿美元》
WEIBO Annual Report 2021
Tencent Annual Report 2021
観光庁《訪日外国人の消費動向》(2019年年次報告書)


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