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弩級の血湧き肉躍る勧善懲悪エンタメ映画でした S・S・ラージャマウリ監督 『RRR』

S・S・ラージャマウリ監督スゴい!
インド映画界のスティーブン・スピルバーグ!
「そんなもんじゃないぜ!」って言われるかもですが、
2015年のラージャマウリ監督の『バーフバリ』で
「ハリウッドじゃなくても、インドにもこんなにど派手で面白い映画があるんだ!」
と開眼させてくれた。

それまでのインド映画の印象といえば、
面白いんだけど、ちょっとアウトオブデートな感じで、目元くっきりのイケメン・美女達が突然全員で歌って踊りだしちゃうやつでしょ!?
って『ムトゥ踊るマハラジャ』の印象が強すぎた。

インド・ムンバイを舞台にした『スラムドッグ$ミリオネア』はこれまで知らなかったインドを教えてくれた、めちゃくちゃ面白い映画だったけれど、
あれはダニー・ボイル監督のイギリス映画なので、インド映画じゃない。

2019年の『ガリーボーイ』は正真正銘のインド映画だったな。
スラム街の若者がフリースタイルラップで頂点を目指すという物語で、インドのヒップホップシーンが新鮮だった。

だけど、アタマ空っぽにして何も考えずにただただスクリーンに映される物語を堪能して「映画っていいなぁ」と楽しませてくれる、
これまで見たこともないようなアクションシーンに手に汗握り、ドキドキハラハラさせてくれる、
悪者はとことん悪く描いて、善良な民が、正義が、悪をやっつける、
時代劇でいうと「遠山の金さん」のような(違うか!)、
そんなエンタメ映画がインド映画のスケールで見れるのは、
ラージャマウリ監督の映画が一番!

ただただ語彙が少なくなってしまうけれど、
「なんじゃこりゃ~!」
という見せ場シーンが、次から次へと出てくる出てくる。
5分おきにはびっくりさせてくれる。
「そんなん無理やろ!!ドカッ!(爆)」
まぁ、黙って観ているなんて出来ないです。
観ているだけでアドレナリン放出、
よくもまぁこんなシーンを思いつくもんだ。
そして、それを映像化するもんだ。
と気がついたら顔が笑っている。

映画の紹介や予告編でも、「うそやろ!」という相当激しいシーンが出てきていましたが、「こんなに見せちゃって大丈夫?」と思っていたが、
それは杞憂。
そんなのはまだまだ序の口、前半部。
映画本編ではもっともっとどえらいシーンがてんこ盛り。

惜しむらくは映画館で観ればよかったか?と思わなくもないが、
流石に3時間(179分)の上映時間に恐れをなして、なかなか劇場に行くことは躊躇われました。
今回自宅で配信で観たけれど、実際途中トイレ休憩を2回挟みましたから!

いや、ほんと。
スゴいスゴいと噂では聞いていたし、前作バーフバリシリーズの感想からも、もっとスゴいんだろうと思っていたけれど、
『RRR』はさらに何十倍も上手を行ってました。

主役のお二人がまた素晴らしい。
お目々パッチリ、立派な顎髭に鍛え上げた肉体美の典型的インドイケメンのラーム・チャラン。火の男。
途中までは「こいつは敵か味方か?」と油断ならない感じでしたが、
ラストで髪をおろして、まさにインド神話の神のような出で立ちで、カッコよかったぜ!
そしてもう1人の主役 N・T・R・ラオ・ジュニア(名前が長い!)水の男。
くまさんのような大きな図体に優しそうな物腰の隣のあんちゃん風の彼、しかし虎にもガチ勝負して勝ってしまうほどのパワー系。
しかも、身のこなしが軽い!身体重くないのかーい!?と心配してしまうが、ひょいひょいと壁をつたって軽々と屋根の上まで登ってしまう。

この2人が激しく戦い、友情をはぐくみ、そしてまた戦い、最後はお互いを信頼しきって巨大な敵をやっつけるという胸のすくような展開。
いや、たった2人でなんでそんな宮殿のようなお屋敷と軍隊一小隊以上をやっつけれらるんや!

まぁ、こればっかりは観て驚愕するしかない。
こんな映画本当に観たことない。

ラストシーンのお約束の歌と踊りも、歌詞がちゃんと映画のストーリーとシンクロしていて、物語を総括するようなものなので、存分に楽しめました。
本作は「男同士の熱い友情」がメインテーマなので、女性成分少なめでしたが、ヒロインのシータ役のアーリヤー・バットさん(日本人好みの可愛らしいインド美人さん)も歌って踊ってくれますよ。
ラージャマウリ監督もついでに登場します。

やっぱり観てよかった『RRR』

『RRR』をより理解するための背景事情など、Wings2Flyさんがnoteで詳しい解説をして下さっています。
こちらも是非どうぞ。


そうそう、もう1つ付け加えておきます。
冒頭で、ラージャマウリ監督をインド映画界のスティーブン・スピルバーグと書きましたが訂正します。

「スティーブン・スピルバーグとクエンティン・タランティーノを足して4倍増しにした」インド映画の監督がS・S・ラージャマウリです!

<了>

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