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卒業。言葉より大切な見えない『こころ』

私の暮す地域では今日が中学校の卒業式でした。
私もスクールソーシャルワーカーとして、小学生の頃から支援している男の子とそのお母さんと一緒に、体育館の一番後ろで卒業式に参加。
久しぶりに在校生も参加し、吹奏楽の生演奏もあった盛大な卒業式。

毎週決まった曜日の決まった時間におうちに迎えに行き、雨が降っても、寒くても暑くても、毎週毎週、学校に一緒に行きました。
今朝もいつもと変わらずインターホンを押す・・・。
「卒業おめでとう!!」を声をかけた。その瞬間、彼の清々しい表情に涙が溢れそうになった私。。。

卒業式の間も、校長先生やPTA会長さんの話を聞いては、周りの保護者さんが涙を拭う様子を見ては、自分は「お仕事で来ているのだから」と必死に涙を堪えて参加した。

体育館から戻る廊下の途中で「式最後まで出れたね」と声をかける。
彼は学校ではお話しをすることはありません。
でも、いつも声をかけると『聞いているよ』と言わんばかりに、私に目配せしてくれます。

毎週彼が、私や先生達と一緒に過ごしていた小さな会議室のお部屋に戻る。
小さな会議室もきちんと卒業式仕様に設えられている。
黒板には『卒業おめでとう』とメッセージとイラストがあり、机にはお花を飾ってくれていた先生達。

先生達から彼に卒業の言葉が送られる。
沢山の愛のこもった言葉に、「この先生達だったからうちの子は学校に行けてたんだと思ったわ」「この先生達に出会えて(彼は)とても幸せだったねぇ」と、帰りの車の中でお母さんと話しながら帰った。

「君はみんなに愛される人なんだよ。君の誠実な人柄はみんなを惹き付け『何かしてあげたい』と思わせるんだよ。これからもその自分の良いところを大切にしながら歩んでいって下さい」
彼のことが『可愛くて可愛くて仕方がない』が伝わってくるような優しい微笑みで、語ってくれた担任の先生。

彼は黙って聴いている。。。
何も話さないけれど、きちんと伝わっていることが伝わってくる。

「何でも丁寧に一つ一つの事柄を、自分が納得がいくまで考えてから、前に進んでいく。そんな君にピッタリの言葉を贈るよ」と、『一隅を照らす』の言葉を紹介してくれた。目立たなくても自分のいる場所で正しい行いをすること、そしてそれが出来る君は素晴しいと話してくれた補助の先生。

彼は黙って聴いている。。。
何も話さないけれど、きちんと伝わっていることが伝わってくる。

何と!私にも『贈る言葉』を振ってくれた担任の先生!
それまで堪えていた彼への気持ちがあふれ出し、涙がポロポロポロポロ止まらない。
私の隣で「もぉ土居さんたら~」と一緒に、笑いながら泣いてくれたお母さん。

ただただ私は。
彼に「幸せに過ごしていて欲しい。もっともっと幸せになってもらいたい」
涙は止まらない。。。

「自分の良いところを、お母さんや周りの家族、友達や、これから知り合う人達の為に・・・」
誰かの為に自分の強みが使えることが、幸せなんじゃないかと私は思う。

「どうぞ自分の良いところ(強み)をしっかり忘れずに・・・」周りの人の為に小さなことの積み重ね、それが自分の大きな幸せに繋がっていく。

どうぞどうぞ。
彼がこれからの人生も幸せに歩んでいってくれますように。

彼は黙って聴いている。。。
何も話さないけれど、きちんと伝わってくる。彼の『ありがとう』が。
綺麗な澄んだ瞳で。私を真っ直ぐに見つめてくれる彼の「ありがとう土居さん」が伝わって来る。
声は震える。涙は止まらない。。。

言葉は大切だ。でもそれ以上に気持ちの方が大切だ。
相手を思いやる温かさ。
自分に嘘をつかない誠実さ。
決めたことをやり抜く実直さ。
彼から沢山のことを教えてもらった私。

違和感があれば、無理して進まなくたっていい。
立ち止まって考える。
寝そべって一休み。
腑に落ちてから、次ぎの一歩を踏み出してみる。
それでもまだ違和感があるなら、それはそれが感じられたことが素晴しい。

時間の流れが矢のように速い現代。
「違和感は気のせいだ」と自分をごまかし、無理矢理『前へ前へ』と進んでしまう自分に、大切なことを気付かせてくれた不登校の子ども達。

私は私の強みを活かして彼らと向き合って来た。つもりだったけれど。
彼らは彼らの強みを活かして私と向き合ってくれていた。

次の一歩はどう進む?
彼らの幸せな未来を乞うご期待☆

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